【大紀元日本8月13日】憂い顔のソフィア・ローレンがそこに佇んでいたら、風景としては完璧になるだろうなどと唐突に思った。一面に咲くひまわりを前にして、表現する言葉を失いかけたからだ。
イタリア映画の名作「ひまわり」は1970年の作。ソフィア・ローレン演ずるジョバンナと、マルチェロ・マストロヤンニ演ずるアントニオは互いに愛し合い結ばれるが、まもなくアントニオは戦地へと赴く。しかし戦局は悪化。酷寒の雪原を敗走するイタリア軍のなかにいたアントニオは力尽きて倒れるが、危うく死にかけたところをロシア娘マーシャに助けられる。
一方、ジョバンナは、戦争が終わって帰還する兵士を乗せた列車がミラノ駅に着く度に、アントニオの写真を持って、帰らぬ夫の消息を尋ねて回った。ある兵士から絶望的な情報を聞き出したものの、夫が死んだとは信じないジョバンナは、なんと自らロシアへ行って夫を探すことを決意する。そして、ついにジョバンナは真実に到達した。夫アントニオは生きていた。祖国へ帰れぬままマーシャとともに暮らす夫。二人には女児もいた。
映画のあらすじを全て述べる紙幅は持たないが、ジョバンナが夫の消息を追って歩く場面を始め、数々のシーンで使われた背景が、まさに見渡す限りに咲いたひまわりの花であったことは鮮烈な印象として残っている。私の記憶では、この作品はある種の主張を代弁するものではなく、ただ戦争によって引き裂かれる庶民の人生を、悲しくも美しい映像によって描いた物語であったと思うのだが、とにかく題名の通り「ひまわり」が圧倒的なのである。
さて、こちら日本のひまわりには、平和な時代の笑顔があふれていた。
訪れた場所は、神奈川県の座間市。休耕地を利用して、市内の数箇所で観光用にひまわりを栽培している。その数は合計55万本。開花期間を長くするため、場所ごとに種まきの時期を少しずつずらしているそうだ。
8月21日と22日には、座間会場でイベント「ひまわりまつり」が行われる。イベント当日は、小田急線座間駅前から会場までシャトルバスが運行される。それ以外の日は、座間駅より座間四谷行きバスで神社前下車、徒歩10分。
花の観賞は無料だが、本当に「畑」の中にあるので、周囲に日よけの建物などはなく、飲み物の自販機もない。熱中症予防のため、帽子と飲料水の持参をお勧めしたい。問合せは、座間市観光協会046‐205‐6515まで。
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