シリーズ【時代の名人】

イーロン・マスクのタイガーマザーと子供たち【時代の名人】(前編)

今世界で最も注目されている起業家は誰かと言えば、間違いなくイーロン・マスク氏でしょう。

電気自動車大手テスラのCEOであり、スペースXの創設者であるイーロン・マスク氏は、2021年11月にアマゾンの創設者であるジェフ・ベゾス氏やマイクロソフトの創設者であるビル・ゲイツ氏を超えて正式に「世界一の富豪」となりました。それ以来、マスク氏は長い間最も人気のある人物であり続けているのです。

特に、2022年にツイッターを買収したことで、マスク氏は世界中の主要メディアで欠かせない話題となりました。更に、スーパーなマスクの原型である母親のメイ・マスク氏(Maye Musk)や、成人したばかりのトランスジェンダーである息子ザビエル氏(Xavier)も注目を集めています。

少し前、マスク氏はオクタゴンでメタのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏と戦おうとしていたところ、メイ氏は手を出さないように呼びかけました。一方で、ザビエル氏の性転換のことがメディアに暴露され、マスク氏は、左派の連中が彼に反対するために息子を利用したのだと、反撃しています。

最近、米国の作家ウォルター・アイザックソン氏が出版したばかりの伝記『イーロン・マスク』が関連する話題をより一層盛り上げました。

マスク氏は自分が異星から来たと語っています。

彼と母親、そして息子の三世代の影響が、このテクノロジー富豪の星の軌跡を残しています。

起業の天才 イーロン・マスク

イーロン・マスク氏は子供の頃からSF小説のファンであり、コンピューターの天才でした。1999年に最初のオンライン銀行X.comが誕生して以来、マスク氏は数多くのユニークなハイテク企業を設立しました。

自分のロケット会社をスペースXと名付け、テスラの一車種をモデルXと名付け、一人の息子にX Æ a-12(Xを略して)という名前を付けました。更に、ツイッターを買収し、名前をXに変更して、マスクのX王国を構築しています。

2018年2月、スペースX社のファルコン・ヘビーロケットの初飛行は成功し、アポロ時代のサターンVロケット以来、人類が設計した最も強力なロケットとなりました。米国、ロシア、中国の国々以外で、イーロン・マスク氏は国ではなく会社として、ロケットの発射と回収技術を持つ4番目の存在となったのです。

マスク氏のスペースXは航空宇宙産業で最も安定している運営者となり、新エネルギー自動車ブランドのテスラも世界で最も売れている高級電気自動車になりました。彼が会長を務めるソーラーシティも現在、最大の商業用太陽電池パネルのインストールサプライヤーとなっています。

イーロン・マスク氏は科学研究とイノベーションの分野に継続的に巨額の資金を投資し、宇宙から地球まで人の想像力の限界を突破し、新しいエネルギー、宇宙探査、スターリンクネットワーク、AI人工知能、ブレイン・マシン・インタフェースなど、大胆なアイデアを次々に実現しました。

「タイガーマザー」は3回引っ越して、上手に子供教育

イーロン・マスク氏は母親の影響を深く受けており、「母親は私のヒーローだ。私の成功は母親の育成と教育のおかげだ」と何度も語っています。

イーロン・マスク氏の「タイガーマザー」メイ・マスク氏は非常に有能な女性です。メイ氏は 1948 年にカナダの伝統的な裕福な家庭に生まれ、幼い頃に両親とともに南アフリカに移住し、伝説の「失われた都市」を探すため、アフリカ南部を探検したと言います。また、砂漠でキャンプする際に、飢えたライオンに遭遇したこともあり、この経験が彼女のチャレンジ精神と挑戦する勇気を生み出しているのでしょう。

75歳のメイ・マスク氏は起業家、栄養士であるだけでなく、今でもTステージで活躍する有名なファッションアイコンです。31歳で離婚し、40年以上シングルマザーだったのですが、波瀾万丈な運命に打ちひしがれることなく、ますます充実した人生を送ってきました。メイ氏は逆境に直面しながらキャリアを達成しただけでなく、3 人の子供全員を億万長者に育て上げたのです。長男イーロン・マスク氏は世界一の富豪であり、次男キンボール・マスク氏(Kimbal Musk)は「ファーム・トゥ・テーブル」飲食グループのオーナーであり、長女トスカ・マスク氏(Tosca Musk)はハリウッドで自分のエンターテイメント会社を経営しています。

これらの成功は、メイ氏の子供たちに対する独立能力の育成がベースになっていたのでしょう。メイ氏の子育ての哲学は、「子供を守るためでも、責任は取らなければなりません」というものです。メイ・マスク氏は、まさに「タイガーマザー」と言えるでしょう。

子供周囲影響を受けやすいので、子供教育には環境を選ぶことが大切であるという古い教えに忠実で、メイ氏も子供たちのために3度引っ越しをしました。 まず、長年家庭暴力を行っていた夫と離婚し、子供たちが不健全な成長環境で心に傷をつけないように、3人の子供とともに家を出ました。

次に、イーロン・マスク氏をカナダに留学させるために、南アフリカの家を放棄し、カナダに移住しました。最初、カナダに来たとき、節約するためにメイ氏と3人の子供は家具のない小さなアパートに住んでいました。

このような最も困難な時期には、生活のために、同時に5つの仕事をやらなければなりませんでした。しばらくの間、ピーナッツバターサンドイッチと古着で生計を立てていたのです。

(つづく)