草庵居士:中国の金融界はなぜ中国の未来を破壊するブラックホールなのか (六)
【大紀元日本6月14日】著名な政治経済評論家・草庵居士は、4月3日、大紀元北カリフォルニア支部主催で、サンフランシスコ・ベイエリアにて行われた第13回“九評共産党”シンポジウムに出席し、「中国の金融界はなぜ中国の未来を破壊するブラックホールなのか」と題する講演を行った。
現在パンアメリカンキャピタル副会長兼CEOである草庵居士は、講演において、中共当局が発表した経済指標を用いて、中国経済がなぜ、表面的には繁栄し、実際には至る所に危機を内在しているのかについて分析を行った。
草庵居士によると、まず、中国経済は不均衡な発展をしており、70%が外需に依存している:郷・県・省3級の政府の財政赤字はGDPの70%になっており、銀行の不良債権は全国の営業利益(年ベース)の20倍である:さらに、銀行の不良債権の内幕は驚異的であった。
「中国建設銀行の現在の行長である郭樹清の話を引用すると、中国の銀行界にはシステム的なリスクが出現しており、このシステム的リスクについて、少しでも注意を怠れば、中国の金融システム全体は直ちに崩壊するであろう」と草庵居士は述べた。
草庵居士はまた、中共が膨大な支出を補うため、如何に紙幣を乱発し、株式市場の下落をもたらし、インフレと人民元の減価をもたらしたのかを分析した。彼の指摘によると、人民元の減価は、民衆の血と汗で中央財政の穴を埋め合わせるものである。
次の内容は、草庵居士のスピーチにより記録したものである。
株式市場大幅下落 民衆の資産が大量に蒸発
中共は、膨大な支出を補うために紙幣を乱発しています。こうした状況が株式市場全体の下落、住宅価格の高騰を引き起こしているのです。なぜなら、住宅を購入するのが最善で、住宅を買って賃貸に出せば、さらにいくらかのお金を稼ぐことができ、資産価値を維持できると皆が考えているからなのです。株式市場が下落した場合、株式は紙きれになってしまいます。
中国政府はバーチャル経済を語っています。このバーチャル経済がどうバーチャルなのか、私には分かりません。また、投資家は紙を取り出してこれに字を書き込んでお金を払っているのかも分かりません。しかし、投資家がリアルの預金を引き出して株にお金を払っていることは知っています。中国大陸において、政府はこう語っています:“株価の下落はバーチャルな経済における話で、我々中国の本質に影響を与えない。”彼らは、1兆元、2兆元もの民衆のお金がどうバーチャルなのか分かっていません。このリアルのお金の全てが株式市場に投入されていったのです。だから、アルゼンチンではこのようなプロセスが発生しました。株式市場が下落し、下落が終った後で不動産の価格が上昇しました。この上げ幅がある程度に達したとき、民衆は耐えられなくなって不満の声を上げました。また、物価全体が上昇しましたが、その際何が起こったのでしょうか?紙幣が発行されたのです。
中国大陸は現在このプロセスをたどっています。現在、株式は既に下落しており、2001年、2002年初めから現在にかけて、2400ポイントから1100余ポイントに下落しました。この1100余ポイントを2400ポイントだった当時の基準で考えますと、株式市場は2倍拡大されていますので、当時の700ポイントにしか相当しません。2400ポイントと700ポイントの間にはどれだけの差があると思いますか?大量の資産が既に蒸発してしまったのです。
アメリカのナスダック市場を眺めますと、皆が感慨深く感じるのは、株価全体が下落した時の多くの富豪達・・・、私の友人もその一人で、彼は現在南カリフォルニアに行っています。
彼は以前、シリコンバレーの企業におり、私に島を買う話をしていました。 “私には現在3000万ドル余りの資産がありますと” 彼は言いました。ナスダックの指数が5000から下落した後、彼はロサンゼルスの自動車販売センターに車を売りにいきました。
私は彼に尋ねて:“あなたはどうしてここへ来て車を売るのですか?”
彼はこう答えました:“人に見せる顔がありません。家族への顔も立ちません。あの3000万・・・、私は今、毎月の住宅ローンさえも支払うことができません。”
このように、彼はシリコンバレーの家を売り、ロサンゼルスに行って車を売ったのです。
中国の株式市場も同様です。民衆にとって悲惨なまでに株価が下落しています。株価が下落し、住宅価格が上昇したわけですが、それは皆が残ったお金で住宅を買い、資産価値を維持しようとしたからなのです。
中国経済のインフレは既に始まっているのか?
今年、大陸政府が全人代で述べていたこととして、ある経済の責任者が次のように語っています:「高コスト、高価格は中国経済の核心的な内容で、2005年度に入り、銅及び鋼材価格の上昇については終始緩和の兆候が見られなかった。油もまた高騰の一途で、短期の原材料コストは2004年10月と比べて70%上昇し、プラスチックは73.9%、亜鉛版は39%、銅は1トンあたり1600元上昇した。こうした原材料は全体的としての価格上昇を牽引し、製造コストを20%引き上げる」
商務部部長は、3月28日に広州で次のことを述べています:「鉄鋼、鉄鉱石、建材価格が71.5%上昇しており、政策部門は強い関心を持っている。我々は、これに積極的に対処するための措置を如何に講じるべきかを研究しており、国務院総理に既に報告している」。 しかし、彼は「私はその具体的な部分を明らかにできない」と述べています。
こうして鉄鉱石や建材が71.5%上昇したわけですが、これが中国経済全体のインフレを牽引しないということがあり得るのでしょうか?考えてみてください。石油価格の上昇は世界的なものです。しかし、中国の鉄鉱石の消費量は世界の75%以上です。どうやってインフレが発生するのでしょうか?中国のバーチャル(虚構)経済の“虚”の部分が多すぎることが原因です。なぜでしょうか?こうした中国内部におけるインフレが、既に海外の原材料市場に伝播しているからなのです。中国からの大量の需要、つまりインフレをもたらす需要が既に伝播を始めています。現在、モノの流れの川上、すなわち原材料のレベルから伝播し、ゆっくりと製造業の価格を引き上げ、後に消費産業に広がって行きます。製品価格が上昇し、仕入れ値が20%上昇したけれども小売価格は上昇しません、などという小売商はいません。小売価格は必ず上昇します。
経済学に従えば、この伝播の一般的なプロセスとして、大体6ヶ月から8ヶ月の後に全体の価格が上昇します。したがって、この考え方に基づけば、中国大陸において大きなインフレが起こるのは、大体今年の後半で、8月から10月にかけて、全面的なインフレが起こるでしょう。
なぜでしょうか?彼は別の数字を用いて20%のインフレは無いと言いましたが、少なくとも10%のインフレが発生していると思われます。今年の1月から3月にかけまして、国内には完全な証明となる数字は有りませんが、全人代で言われていた話として、昨年末比で13%の貨幣が増発されました。
言い換えると、もともと17兆元あった貨幣が21兆元に増加していますが、この21兆元のうち少なくとも13%増加したとすればどれくらいになるでしょうか?2兆元余りです。4月前の3ヶ月の間に、中国大陸では2兆元余りの貨幣が増加し、蒸発したのです。といっても、この点について、競争(経済成長)による部分も含まれているのは当然です。中国大陸は競争(経済成長率)が8%であると言っており、一方で貨幣は13%増加しています。無形の形で増加した貨幣はどれだけあるでしょうか?13%と8%の差をとった5%です。この割合は非常に大きなもので、1兆元の貨幣が蒸発しているのです。これは、中共がインフレを起こして問題を解決しようとしているということなのです。皆さんもご存知のように、こうしたインフレは“資産の強奪”です。1万元を持っていて20%のインフレが起これば残存価値は8000元分となりますが、お金はどこへ行ったのでしょうか?経済学では、これを“インフレ税”-貨幣の発行権を持っている者が金儲けできる-と言います。
人民元の減価は民衆のお金で中央政府を穴埋めすること
米国のブッシュ大統領は、政権の座に着くとドルを減価させました。何をしようとしたと思いますか?ブッシュは非常に賢く、減価によって貨幣を蒸発させ、財政を補填したのです。
しかし、ここで問題があります。中国とアメリカは異なっています。米国の発行した貨幣が減価する場合、ドルの60%余りが海外で流通しています。私たちが米国で使用しているドルは40%に達していません。60%余り、70%近くが海外の各国で流通しており、日本、中国、香港、台湾、ドイツなどの国家は皆ドルの準備を持っています。だから、ドルの減価は、その責任を全世界が分担するということに等しいのです。ブッシュが政権についた時、父親のように日本やドイツに直接お金を払わせようとせず、ドルを減価させ、お金を取り戻したのです。だから、米国からすれば、この政策は非常に良い政策なのです。
しかし、中共政府もまた米国を支持しています。中共政府の外貨準備は4000億元から6000億元余りに増加しています。中共が、わかりました、ドルが減価しても私は更にドルを買いますと言って米国政府、ブッシュを助けているのです。
これが一つのプロセスですが、中国における問題は次のとおりです:人民元が減価する場合、人民元は国内では流通していますが、海外では流通していないのです。
中国は光栄にこう言います:“我々の人民元は世界通貨になろうとしている。ベトナムでは我々の貨幣を非常に多く使用している。”しかし、実際のところ、貨幣の流通は国家の信用の表れです。人民元の大部分は国内で流通しており、ベトナムや香港で流通しているのはごく一部分です。だから、人民元の減価と言っても、実は民衆の血と汗で中央財政の穴を埋め合わせているのです。