奇跡的な治癒効果『前世療法』とは?

【大紀元日本1月21日】

前世療法』(past-life therapy)とは、西洋の精神医学界では良く知られている心理療法の一つでる。治療法として精神科医(セラピスト)は、患者に催眠誘導をすることにより、今の人生に最も大きな影響を与えている前世(過去世)の記憶(イメージ)を、潜在意識の中から浮かび上がらせ、人生の意義などを気付かせるよう促し、現在の人生にある不可解な問題や精神的な悩みなどの解消を図り、深い癒しを得させることが出来る心理療法である。

米国の有名な精神科医であり大学教授であったブライアン・L・ワイス(Brian L.Weiss)博士の著書『前世療法』(原題:MANY LIVES, MANY MASTERS)は、たとえ肉体は滅びても、魂は永遠に不滅であるということを示してくれた著書であり、1988年に彼の本が刊行されたことを契機に、世界的にその効果が確認されることとなった。その有名な症例として一つ上げられたのは、同書に描かれていたキャサリンのケースである。

大学で正規の教育を受けたワイス博士にとって、当初、超心理学的な心理現象などは信じず、前世と輪廻(リンね)に関しても何の興味もなく、精神世界の話などは全く縁のなかった精神医科であった。しかしある日、博士を訪ねて来た患者のキャサリンとの出会いにより、博士の人生観は大きく変わり始めたのだ。

当時の彼女は30歳近くで、多種の恐怖症や鬱病を患っていて病状はとても深刻であった。伝統的な心理療法も利かず、いかなる薬物も拒否する彼女の症状に応じて、博士は抑えられていた幼児期の不幸な事柄などが、彼女が病気を招く原因なのではと推測した。催眠療法による治療法を提案し、結局それに合意したキャサリン、彼女の記憶は、博士の催眠誘導により、幼児期まで遡り、それにより幼児期の不幸な出来事を思い出したが、それにも関らず病状は好転しなかった。そこで、博士は彼女の病気にはもっと深い原因があると思い、更に早い時期の幼児期の記憶に遡るために深い催眠誘導を実行した。しかし、次に発生した出来事は、博士が予想もできないものだった。キャサリンは、紀元前1863年つまり4千年の前の記憶に戻ったのだった。当時、アランダという名前を持つ18歳の少女であった彼女は、現在とは異なる容貌、服装、体、髪と名前をしていて、その当時の地形や、人々の服装、日常生活の細かいところまで覚えていた。そして洪水によって命を奪われ、胸に抱いた子供も洪水によって押し流されてしまった、そして死んだ後で、体が解放されたような感じを体験した。今回の治療の間に、彼女は他の二つの前世を思い出すことが出来た。一つの前世では18世紀のスペインの女性であり、もうひとつは紀元前のギリシアの女性であった。

キャサリンの話はワイス博士を驚かせた。最初は、これらは彼女の想像によるもので幻想だと思ったが、彼女の病状は奇跡的に好転し始めた。幻想としては、決して治癒できない効果であったのだ。そして続く治療の中で、彼女はまた数十個の前世に退行し、今生の恐怖症の根源と見られる前世で遭った痛みを再び体験した。恐怖症の根本的な原因は生命の奥に残された前世からの痛みであることが分かるようになって、彼女は結局、恐怖の苦しみから脱出することができた。催眠状態で、キャサリンは今生で出会った人たちは、前世でもよく知る人たちであり、様々な役を演じていることを発見した。ある前世で、ワイス博士は彼女の先生であって、今生の彼氏は遥か昔、部落の戦争の中で彼女を殺したことが分かった(当時、彼女は男の人だった。)今も二人の関係はあまりよくなかった。

催眠により毎回この世を離れる時に、彼女の魂は肉体の上方まで飛び出し、慈悲な光に囲まれて高次元の世界に帰り、そこで高次元の生命と出会う、そしていろいろなコミュニケーションを取ることができた。

「あなた(ワイス博士)の父親と、息子もあの世界(高次元の世界)にいました。息子はとても小さい子供でした。あなたの父親は、あなたがきっと父親のことを覚えているはずだと言いました。父親の名前はアブロム(AVROM)で、あなたの娘の名前もそれに沿って命名したものです。あなたの父親は心臓病でこの世を去りました。あなたの息子も重たい心臓病を持ち、心臓が逆様になっていて、鶏のハートの形をしていました。彼はあなたのために、大きな犠牲を払いました。彼の魂はもっと高い次元から起源し、彼の死は、両親の負債を返済することだったのです。彼はあなたに、現時点の医学が出来る範囲はこれまでで、非常に限りがあるということを理解してほしいということでした。」

キャサリンが述べる話を聞いて、ワイス博士は呆然として言うべき言葉を失った。彼女は博士の家族のことについて、何一つ知らなかったが、彼女が述べた内容はすべて真実であった。博士の一生の中で最大の悲しみは第一子の息子の死で、生まれて10日後に、発病率が千万分の一と見られる、心臓が逆様になる一種の心臓病にかかっていると診断され、出生後23日で、命を奪われてしまった。博士の父親は心筋梗塞でこの世を去り、名前は正にアブロム(AVROM)と呼ばれていた。博士の娘は、父親が去った後の4カ月後に生まれ、亡き父親の名を記すために、エーミィー(AMY)という名前がつけられた。これらは、博士の家族の内輪話で、キャサリンが知るはずもなかったのである。

「誰がそこにいるのですか?誰がこのような話をしてくれましたか?」博士は、多くの疑問を抱えながら、キャサリンに催眠誘導をし続けた。

「あの世界のマスター・スピリッツ(高次元の生命)が教えてくれました」キャサリンは静かに答えた。

「マスター・スピリッツたちは、私はすでにこの世で86回も生きたと言いました」

彼女の経験した人生の多くが前世ではとても苦しいものであった、それは彼女が神様を信じていなかったためであると、マスター・スピリッツが教示してくれたと彼女は語る。自分は神様を信じる心がなく、怒りや憎しみ、恨みばかり覚え、いくら自分でこういう生活から抜け出そうとしても、抜け出る事ができなかった。

キャサリンの症状を治療する過程において、ワイス博士の心理療法に対する観念に極めて大きな変化が起こった。『現生における多くの恐怖や病気は古い過去からもたらされたもので、再びその時の経験した痛みに直面することにより苦痛を癒すことができるのだ』

キャサリンの症例から4年後のこと、ワイス博士は勇気を奮い起こし彼の医学界の地位に及ぶリスクを冒して、前世と輪廻に関する初めての著書を発表した。それは生命の永遠たるゆえんと意義を人々に伝えたものだ。その後、彼はこの『前世療法』で数百人余りの人々、様々な階層にいて、異なった宗教(無神論を含む)を持つ患者なども治癒することが出来たという。

(翻訳編集・柳小明)