【党文化の解体】第6章(21)

【大紀元日本4月14日】

6.党話が広められた結果

3)党話―当代中国人の色眼鏡

言語は思想の道具であり、人間の思想は単語と語句の組み合わせによって表現される。党話は中国人の世界を見る目を変え、当代中国人の色眼鏡となった。

(1)人々が無意識のうちに党を擁護してしまう党話

党話(あるいは中国共産党によって作り出された、改造された言葉)は中国共産党の統治を維持するために存在している。中国共産党が提供したねじ曲がった言葉を用いると、中国人は真実の世界が見えなくなり、中国共産党が人々に見てほしい世界だけが見える。

中国共産党は自分の歴史を上手く説明するために、一通りの言い方を作り出した。このような言い方を以って中国共産党の歴史を分析すれば、中国共産党が望ましい結論しか得られない。下記のリストを参照しもらいたい。

「党話」 <本質>: 分析

「起義(「南昌起義」、「秋収起義」など)」 <反乱、暴動> :起義は正義のために立ち上がり抗争することをいうが、中国共産党のいわゆる「起義」の本質は当時の合法的な政権を転覆するための反乱、暴動である。

「長征、北上抗日」 <逃亡、敗退> :1931年後、多くの日本軍が中国に侵入したところに、中国共産党は江西省で武装反乱を起した。中央政府に包囲討伐されて南西方向に慌てて逃避した。それから、旧ソ連まで逃げたいために北上して、かろうじて延安にたどり着いた。その後、日本軍が全面的に中国へ侵入した機会に乗じて共産党の武装が強くなり、最後に全国の政権を奪い取った。

「整風運動」 <延安で起こった恐怖に満ちた洗脳運動> :「整」は整頓、管理の意。「整風」とは中国共産党が自らの管理を強化し、党風を正常化させたと国民に暗示したが、「整風運動」の本質とは延安時代に党が党幹部らに強制した洗脳で、将来的な政治運動の総演習であった。

「解放」 <中国共産党が中国の政権を奪い取った> :「解放」のもともとの意味は「束縛を解除して自由にさせる」だが、中国共産党が政権を奪い取ってから中国全体を一つの大きな刑務所にして、全国民をその独裁政権の奴隷にさせた。

「下放」 <下放(流刑に近い)> :知識青年層を地方の農村に送り出して、肉体労働を通じて思想改造をしながら社会主義国家建設に協力することを目的にしたいわゆる「下放」は、多くの青年層から教育の機会を奪い、中国の教育システムを崩壊させた。

「三年の自然災害」 <三年間の大飢饉> :その三年間は自然災害ではなくて、中国共産党の間違った政策によって人為的に作り出された災いである。

「文化大革命」 <文化に対する前例のない大きな破壊で、国民全体に対する洗脳運動> :中国の伝統文化で「革命」とは「天命が変わる」の意だが、中国共産党は「革命」の意味をねじ曲げて、「統制階級を打ち倒す荒々しい暴動」と解釈して、またこの言葉に良い意味を与えた。「文化大革命」という語彙はその荒々しい運動の本質をぼやかし、今日の若者、とくに外国人にとって識別し難い。

「上山下郷」 <青年知識人が強いられた労働思想改造> :「上山下郷」の言葉は人々に温かくてロマンチックな連想をさせることができるため、当時の知識青年はあの厳酷な日々に対してかえって懐かしむ情緒を生じる重要な原因の一つである。

「改革開放」 <政権を維持するため、経済面での規制を緩和させながら、政治面での統制を強化させる> :鎖国と経済発展の後退は中国共産党が人為的にさせた結果だ。いわゆる「改革開放」は部分的に1949年前の経済活動を回復させただけで、政治分野で実質の緩和は何一つ見えない。

「反革命暴動、政治騒動」 <1989年民主運動> :最初、中国共産党は1989年の民主運動を「暴動」と称したが、その後、共産党自身も被害者だと国民に思わせるために「政治騒動」との言葉に変えた。

ここ数年、独裁政権を粉飾するために、中国共産党はまた大量の「政治隠語」を新たに創造した。例えば、失業を「就職の配分を待つ」、「職場を離れる」、「内部退職」と称した現象を見てみよう。「就職の配分を待つ」とは将来いつか仕事をする機会があることを意味し、「職場を離れる」とは過去に仕事があったことを意味し、将来と過去をうんぬんして、いずれも「現在に就職先がない」事実に言及しない。また、中国の貧乏国民を「弱者層」と称して、彼らの悲惨な境遇は自分自身に原因があることを暗示している。

失業後の辛い思い出。「労働者階級は最も先進的な階級です。卒業後、あなたは工場に行きたいですか、それとも行政機関、病院などに行きますか」
「工場に行きたいです!」(イラスト・大紀元)

中国共産党の「政治隠語」型党話は以下いくつか主要なタイプがある。

1、白黒転倒型。例えば「武装蜂起」、「解放」など。

2、共産党と中国を混同させる型。例えば「建国」、「愛国」、「反中国勢力」など。

3、事実を濁らせる型。例えば「十年の劫」、「でたらめな歳月」、「政治騒動」など、一つわけが分からない言葉を使ってある歴史事件を代表して、その中に中国共産党が果たした悪い役割を隠そうとする。

4、悪いことを良いように解釈する型。例えば「長征」、「改革開放」など。悪い事を良いように解釈して、危機を乗り越える時の仕方ない逃亡政策を中国共産党の「偉大な功績」、あるいは指導者の「賢明な策略」と解釈する。

5、陽動作戦型。例えば「四つの近代化」、「発展が絶対の道理である」など。「四つの近代化」は工業、農業、国防、科学技術の近代化といい、「政治の近代化」にまったく言及しない(「近代化」の概念自身も要検討だが、ここでは検討を広げない)。社会の文明程度と国民の福利レベルは多くの条件に総合的に決定されるものだが、中国共産党は一方的に経済発展を強調して、独裁統治がもたらした政治の腐敗、道徳の低下、環境の悪化など中国国民の生存環境を実に悪化させた事実をそらそうとしていた。

6、「事実をそらす」型。例えば「平和的勃興」など。友だちを訪れる時、「あなたの家に来たのは、強盗をするためではない」と言う人は誰一人もいない。世界中、経済発展を遂げる国は多くあるが、「平和的勃興」を公言する国はあまりいない。中国共産党のそうした公言は、経済発展の背後に隠れるその軍事的な野心を反映している。

中国共産党は文化、教育、科学研究、報道などの分野を独占しているため、今日の中国人は何かを議論する時、中国共産党の造った語彙を使わずにいられなくなり、それらの語彙を使うと、中共悪党の統治的な結論を擁護する方に誘導されがちになる。党話は中国人の正常な考えと正常な話し方を大いに妨げている。

(続く)