あなたと着物のものがたり(6)日本の伝統衣装

【大紀元日本12月14日】「日本の伝統的衣装を身につけ、世界に向けて自国の文化を伝えたい」 そう私が初めて強く思ったのは、2004年の9月でした。

当時私は大学生で、内閣府主催青年国際交流事業に参加し、中華人民共和国を訪問。北京、ウイグル自治区、蘭州、済南、曲阜、青島を訪れ、各地の学校や政府機関、企業を回り、現地の人々と交流しました。その中で、中国の人々は自国の衣装を身にまとい、非常にまっすぐに武道や書道や舞踊などの伝統文化を披露してくれました。

その華やかさと力強さに圧倒された私は、翻って自分自身の自国文化に対する無知さに気付かされ、 絶望的な気持ちになりました。

「私は、海外の人に伝えられる日本文化を、何一つきちんと修得していない」と、この時に痛感。もちろん中国の人々との交流自体は、互いの言葉と気持ちを尽くし、友好的に終了したのですが、私の心に何かしこりが残りました。

それから私は大学を卒業し、京都内で就職して、大変に忙しい生活がスタート。日々の仕事や瑣末な出来事に忙殺され、派遣中に感じた日本文化への渇望もいつしか忘れかけていました。

しかし、一度目の転職をして時間的余裕が生まれ、新しいことを始めようとして、あの時の思いが蘇り「そうだ、着物を自分で着ることができる女性になろう。そして、あの時出会った人々のように、いきいきと自国の文化を体現できるようになろう」と考え、着付け教室へと通い出し、続いて、書道、墨絵、折り紙、かるた、三味線と、次々に趣味を広げてきました。

最近では、外国青年に着物姿で 折り紙を教えるイベントも開催し、昔の夢が少しずつ花開いてきたのを感じます。

さらに、今秋からは、京都の大学へと転職を果たしました。和文化の殿堂ともいうべき都市で、より一層着物と日本に関する見識を深め、一人でも多くの外国の人々に着物や日本の良さを知ってもらえるよう、これから精進していきたいと思っているところです。

(文・鈴木 ちよ)