参考写真、中国の自動車組立工場 ( AFP/AFP/Getty Images)

日本の対中直接投資16.3%減 上半期 昨年に続く減少

中国商務部ははこのほど、2015年1~6月の日本からの対中直接投資(実行ベース、金融除く)が、前年同期比16.3%減の20億1千万ドル(約2,500億円)になったと発表した。世界における対中投資が、前年同期比8.02%と増加する中、日本の投資は減少傾向にある。

昨年に続く対中直接投資減少の主たる要因は、日中関係の悪化であろう。2012年9月、中国で起きた大規模な反日デモで、日本企業はいわゆる中国リスクについて改めて意識することとなった。デモの収束後も日中関係の改善が進展しない中で、対中投資を控える動きが、日本企業の間で広がった。

また、中国経済の構造変化に起因する様々な要因もある。人件費や中国人民元の上昇など事業コストの上昇、日系を含む他の外国企業や地場企業との競争激化なども大きく影響している。中でも人件費の上昇は、製造拠点としての魅力を削いでいる。「人件費や土地代などコスト高が重なり、従来のような単純なモノづくり主体の事業展開は難しくなった」(電機大手)とする声が多い。米国からの投資も37.6%減少している。

日本の対中直接投資は、2014年に前年比38.8%減となった。統計による対比が可能な1985年以降で、最大の落ち込みを記録した。今年に入ってマイナス幅は縮小傾向にあるが、工場新設や生産ラインの増設などを見送る製造業は多く、回復のペースは鈍い。

「世界の工場」としての魅力が薄れてきた、中国への直接投資構造も変化している。15年上半期の対中直接投資を産業別でみると、サービス業への投資額は全体の63.5%を占め、過去最高のシェアとなった。成長ポイントは、多国籍企業の研究開発の現地化にあり、イノベーションに積極的に資金を投入した結果となっている。一方、製造業への投資額は前年同期比8.4%減で、全体の3分の1程度の30.5%に留まった。

(翻訳編集:林語凡)

関連記事
最近、アフガニスタンの政治情勢は世界の関心を集め、国際社会がアフガン国民の今後を心配するなか、中国のSNSは、米軍のアフガン撤退とアフガニスタンの政策を嘲笑する書き込みが溢れている。有識者の間では、中国のナショナリズムは「暴走する野生の馬のようだ」と評した。本記事は一部の事例をピックアップし、専門家の見解を交えて、中国新時代のナショナリズムの背景を分析した。
中国の実業家・郭学明氏は、2012年の尖閣諸島をめぐる領海争議で日中それぞれの相手国感情が最悪レベルとなったとき、日本企業との交渉に失敗した経験をつづった。郭氏は、「愛国心」のような不安定要素が市場経済の基盤をそこなってはいけないと警鐘を鳴らす。郭氏の微信アカウントで今年3月7日に発表されたものを抄訳した。
【大紀元日本11月10日】日中両国政府は7日付の合意文書で、東シナ海の領有権問題に異なる見解を持っていると確認し、「不測の事態を回避するため」、危機管理体制を構築することに同意した。 中国共産党政権の
【大紀元日本10月9日】尖閣問題に端を発し、在中の日本企業の財産が不当に毀損、略奪された反日暴動から約1年が経とうとしていますが、中国政府からは約100億円を超える損害の補償はおろか、謝罪の意思表示も