中国の大気汚染

「まるで火事」 PM2.5濃度 中国東部でWHO基準の50倍 

「呼吸困難。どこかで火事が起きているみたい」。中国東北部に暮らすネット利用者がつぶやいた。同地では11月9日、微小粒子状物質PM2.5の濃度が史上最も高い数値を記録した。これはWHO(世界保健機関)が公布する最高値の50倍に値する。

東部の都市に住む市民らは、ひどいスモッグが発生している様子を撮影した写真とともに訴えている。人口800万人の吉林省長春市で撮られたとされる写真には、ビルがスモッグで覆われ、テナントの光だけが宙に浮いているように見えるものさえある。

AFP通信は、WHOが公表するPM2.5の濃度の24時間の平均最高値が1㎥当たり25μg(マイクログラム)に対し、9日には860μgを超えたと伝えた。

スモッグ悪化の原因に、冬の石炭による暖房が指摘されている。数十万人の早死にはスモッグと関係しているとの調査報告もあり、市民は、効果的な策を講じていない政府への不満が募っている。PM2.5は心臓病や呼吸器系疾患、肺疾患、ガンなどをもたらすと言われる。

 PM2.5 瀋陽市で歴史的数値

遼寧省瀋陽市では8日、PM2.5の濃度が一時1㎥当たり1400μgを突破。中国の環境基準(35μg)の40倍に達した。東北3省では2010年に大気汚染観測の新基準を導入して以降、「最も深刻」な状態になっている。

瀋陽環境保護局は中国版ツイッター・微博で今回のスモッグに対し、暖房のための石炭燃焼と他省から風で流れてきた事が原因と発表。するとネットでは「スウェーデンも同じ暖房を使っている。なぜ彼らはスモッグがないのか」と反論が上がった。

2013年、中国では43億トンの石炭を使用した。北京は二酸化炭素排出量を2030年までに制限することを決めたが、東北地方の吉林省や遼寧省ではいまだに石炭の上限値を定めていない。

「環境汚染による慢性病はますます普遍化している。中国人は新世紀の東アジア病になりそうだ」とネットユーザはつぶやいた。

(翻訳編集・山本アキ)

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