「シンガポール―マレーシア高速鉄道」 日中が再び受注争奪戦へ
マレーシアのナジブ・ラザク首相は、4月12日、首都クアラルンプールで開催された「マレーシア投資会議」において、シンガポールとクアラルンプールを結ぶ高速鉄道(総距離約350キロメートル)建設の備忘録が、年内に署名されるとの見通しを示した。プロジェクトの落札について中国と日本が最も有力だとみられる。米VOAが報じた。
シンガポールとマレーシア両政府が、2013年から構想してきた同高速鉄道プロジェクトは、来年1~3月期に本格的な入札を始める予定。その後に建設を開始し2022年に開通するとみられる。日本と中国のほかに韓国、ドイツ、フランスも入札に参加すると予想される。
シンガポール地元紙「海峡時報」(ザ・ストレーツタイムズ)によると、同高速鉄道の建設について最も有力な落札候補者が中国と日本だという。建設権の取得をめぐって、両国の政府関係者と企業代表は、相次いでマレーシア関連政府機関を訪れてロビー活動を始めた。日本大使館関係者と東日本旅客鉄道(JR東日本)の幹部が先月、マレーシア交通部の官員と面会したという。一方、マレーシア政府関係者によると、中国の李克強首相も先月、ナジブ・ラザク首相に書簡を送り、中国が同プロジェクトの受注獲得を強く望んでいると示した。
「海峡時報」によると現在、シンガポール政府は鉄道技術でより優れて安全な日本に興味を示しているが、マレーシア政府は日本と比べて、より少ない資金で建設できる中国のほうを好むとの見解を示した。
近年中国と日本は、アジアでの高速鉄道の受注獲得において常にライバル関係にある。インドの高速鉄道の受注をめぐって長い間競争してきた。昨年12月、インド政府が日本を選ぶことに決めた。インドメディアは「日本の技術は中国より100倍良い」と絶賛した。しかし、昨年9月のインドネシア高速鉄道建設では、中国がインドネシア政府に対して、建設資金面で有利な支援を提案したことが原因で、受注獲得有望とされていた日本が土壇場で敗れた。
中国当局はアジア諸国での高速鉄道建設やインフラ事業を通じ、その地域での影響力を拡大させようとの狙いがある。マレーシアのナジブ・ラザク首相が就任後、建設資金11億ドル(約1195億円)規模のペナン第二大橋の建設を含め、中国企業が同国の重要なインフラ設備建設プロジェクトへの参与に成功した。昨年11月24日の英フィナンシャル・タイムズの報道では、中国は今後東南アジアのインフラ事業に100億ドル(約1兆900億円)を投じると示した。
(翻訳編集・張哲)