この写真の花は花菖蒲(はなしょうぶ)です。あやめの仲間で、開花期は5月下旬から6月ですね。今の時期水辺を訪れると美しく群生しています。
何れ菖蒲か杜若(いずれあやめかかきつばた)という言葉を知っていますか?
「あやめ」も「かきつばた」も区別がしにくいところから、どれも優れていて選択に迷う時に使います。
「太平記」にこんな伝説があります。
時の帝・近衛院(このえいん)に命じられ、源頼政は鵺(ぬえ)という頭は猿、胴は狸、手足は虎、尻尾は蛇という、見るからに恐ろしい怪物を退治しました。帝は褒美として粋な謀りごとをされました。源頼政の片思いの相手である、菖蒲前(あやめのまえ)という宮中に仕えている美女を妻にしてもよいことになったのです。しかしそれには条件がありました。
菖蒲前と別の美人12人に同じものを着けさせて対面させ、 どの人が菖蒲前かを当てれば、
2人の中を取り持ちましょうと約束されたのです。
夕暮れ時で少し暗い事もあって頼政には分からなかったので、歌で答えました。
「五月雨に沢べのまこも水たえていづれあやめと引きぞわづらふ」
(五月雨が降り続き沼の石垣から水があふれ出しております。草も水中に隠れてどこにあやめがあるのか、引くのさえ思い煩うのでございます)
帝は、すばらしい歌に感動して、2人の中を取り持ち、頼政は念願かなって菖蒲前を妻にすることができました。
花菖蒲とアヤメとカキツバタ、実は見分けることができます。
花びらの基のところが、黄色は花菖蒲、白がカキツバタ、アヤメは網目状の模様です。
何れ菖蒲か杜若(いずれあやめかかきつばた)
どれも、見分けがつきませんが、美しい花です
(文・蘭三郎)
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