人気アプリ「WeChat」中国番号で登録後、国外でも引き続き検閲=研究
中国の携帯番号でチャットアプリ「WeChat(微信)」を登録した場合、ユーザが中国を出て海外の電話番号に変わったとしても、中国当局はメッセージや関心ごとなど個人情報を、引き続き検閲している。トロント大学の研究機関シチズン・ラボが調査のなかで指摘した。
通話やメッセージができるWeChatは、8億4600万人のアクティブ・ユーザを抱え、中国で主流の交流手段となっている。しかし、中国共産党が定める「敏感用語」をユーザが使用した場合、メッセージが不達となる。この現象は、たとえば香港や米国の携帯番号で登録した場合などは起こらない。
シチズン・ラボ研究員ジェイソン.Q氏は「(ユーザ)登録すれば、押しつけられた検閲から逃れられないというのは問題だ」と指摘する。
研究によると、WeChatを運営するIT大手テンセント(騰訊)は、注目度が高いと考えられるニュースを中心に検閲し、これを話し合うユーザ同士の会話を、しばしばブロックする。
さらに、ユーザはメッセージが不達であることが通知されることはないため、検閲に気づきにくいという。
これについて、テンセントは「国の法規に従っている」としている。
研究チームは、他の中国のウェブサイトで検閲された2万6000のキーワードを試すと、174の言葉がブロックされた。その大部分は1989年天安門事件に関連するもので、他は香港の民主化運動、法輪功、共産党の高級幹部に関する話題など。
これらの敏感用語や情報は、中国国内情勢により、追加されたり、ユーザが見られるようになったりする。ほかにもニュースサイトを含む41のサイトが、WeChatからでは見られないという。
テンセント(騰訊)は、厳しい共産党の情報監視に協力する大企業の一つ。シチズン・ラボによると、交流アプリ「ライン(LINE)」中国ユーザも、キーワード検閲されていると指摘する。
世界最大SNSのFacebookは中国進出に際し、中国当局から情報開示を要求されるのではないかと予想されている。グループ間のやり取りが公になるなどの特徴から、中国ユーザのみならず他の国のユーザの情報漏えいにつながるのではないかと、専門家は懸念している。
(翻訳編集・佐渡 道世)