インドネシアで中国産唐辛子「生物兵器」の推測広がる 陰謀論も
在インドネシア中国大使館は、「生物兵器」の使用を否定している。これは、ジャカルタの農地で中国籍の男4人が、細菌汚染した中国産唐辛子の種を植えたため逮捕されたことについて、インドネシアのメディアが「中国は『生物兵器』を使った」と猛批判をしたことに対する回答だ。
中国人4人の逮捕に関するインドネシアの報道は、領海抗争や、中国人富裕層に対する嫉妬など、くすぶっていた国内の反中感情をあおる結果となった。
インドネシア初確認の細菌 中国「陰謀説」広まる
インドネシアの検疫当局は、ジャカルタに近い農地で、中国人により、ジャガイモに病害を引き起こす「黒あし病菌」に汚染した唐辛子の種が植えられていたのを確認した。 当局は種を焼却処分し、農地を廃止した。
当局によると今回、この菌は国内で初めて発見されたという。菌は人体へ害をもたらさないが、汚染した農作物は破棄されなければならないため、収穫量を減少させる。
インドネシアのインターネットでは、この細菌汚染した種について、一部のユーザが中国による「陰謀説」を唱えだし、注目を集めた。
「中国からのさまざまな攻撃があることを皆知らない。覚せい剤、不法労働者、そして唐辛子の細菌」と、ユーザ@BoengParnoはつぶやいた。
これについて、在インドネシア中国大使館は声明文を通じて、中国が「インドネシアの経済を破壊する生物兵器」を使用したとの疑惑を否定した。また、中国産作物からの細菌汚染の発見について、他人事と思わせるような懸念を示した。「中国とインドネシアの人々の相互関係、友好が、この問題により影響を受けないことを願っている」
インドネシアの一部の国民は、反中感情が強い。2014年に誕生したジョコ大統領政権は中国寄りの舵をとっているが、軍がこれに従わず、インドネシアから「違法操業」しているとみなされた中国漁船を爆破させている。スハルト政権下の1998年、ジャカルタ暴動が起きた際、比較的裕福な華僑(中国系インドネシア人)は嫉妬を買われ、暴徒化した市民から暴行を受けたり店舗が破壊されたりした。
(翻訳編集・佐渡 道世)