土壌汚染、途絶える加工伝承「漢方生薬が中医学を危機に」北京高官が発言
国家中医薬管理局局長は12月6日、 中国中医薬の白書発表の席で、漢方生薬の問題で中医学が没落するという表現は、決して誇張ではないと発言した。
中国メディアが報じたところによると、国家中医薬管理局局長の王国強氏は、メディアからの質問に対し「中医学は漢方生薬の問題によって台無しにされたという人もいるが、それは決して大げさな表現ではない。たとえ中医学の大家の診察を受け、最適な処方箋を出されたとしても、使われた薬が良くなければ、それをいくら服用しても効果が出ない。その結果、中医学(の信頼性)が失墜することになる」と発言した。
ここ数年で、漢方薬の原材料はかつてのような天然ものではなく、畑で栽培されたものが使われるようになった。薬草が本来の植生とは異なる土地で無秩序に栽培されることや、過度の農薬散布、化学肥料過多、土壌に含まれる重金属の基準値超えなどが、いずれも生薬の品質に直接的な影響を与えている。
伝承途絶える生薬の加工法 道徳観の低下も要因
しかし、漢方薬の治療効果が芳しくない原因は他にも存在する。
北京中医薬大学卒業の楊超波氏は、あらゆる道徳観念が希薄になったことと、中国の現行体制のありかたによって、中医学は早くに変容してしまったと語る。また、さまざまな原因により、中医学の主な治療手段である漢方薬の、元々の薬効が失われて久しいとも指摘している。
楊氏によると、漢方薬の薬効の低下には三つの原因が考えられるという。一つ目は、一部の薬効の強い生薬が絶滅したり使用を禁じられたこと、二つ目は、伝統的な生薬加工の伝承が、ほぼ途絶えてしまったこと、そして三つ目は、漢方生薬市場が偽物であふれ返っていることだと同氏は指摘している。
中国メディアは以前、粗悪な漢方生薬は、中国のどの生薬市場にも存在すると報じている。2013年7月上旬には、中国国家食品薬品監督管理総局が、中国の代表的な漢方生薬市場である安徽省亳州(はくしゅう)市、河北省安国市、四川省成都市の荷花池市場、広州市清平市場、広西省玉林市とその周辺地域で内密に調査を行ったところ、全国の市場で販売されている漢方生薬のうち、粗悪品がかなりの割合を占めているほか、違法な経営や加工がなされている場合も多く見られることが明らかになっている。
(翻訳編集・島津彰浩)