両会

習近平主席、上海団に「新たな成果を出しなさい」

中国の習近平国家主席は3月5日、北京で開幕した全国人民代表大会(全人代)の上海代表団会議に出席し、上海市での反腐敗キャンペーンを強化するよう指示した。上海は江沢民・元国家主席の本拠地。今後、市トップの韓正氏を含む江派閥人員がさらに多く失脚する可能性がある。

習氏は、浙江省トップだった時代の元部下で現上海市長の応勇氏ら7人に対して、反腐敗キャンペーンや厳しく党を統治する(従厳治党)ことや、上海自由貿易試験区改革などにおいて、「新たな成果を出しなさい」と要求した。特に従厳治党の面では、習氏は上海市幹部に対して、「党の管理や党の統治といった主体責任と監督責任を負わなければならない」「官僚らの党内政治生活を正すべき」などと話した。

時事評論員の李林一氏は、習近平氏の発言について「上海市における反腐敗や従厳治党の面で、自身の力が十分に及んでいないとの不満があるのではないか」と分析。

また「市党委員会書記の韓正氏はこれまで負うべき任務を果たしておらず、上海市の官僚をよく管理できていなかったと、習氏が暗に示している」と述べた。

李林一氏は、習氏は今後、江派閥の韓氏に対して問責するとの見方を示した。

中国の全国政治協商会議と全人代が開幕される直前の3月1日に、中国共産党中央紀律検査委員会(中紀委)は、上海市人民検察院の前検察長で、現在市法学会の会長を務める陳旭氏が「厳重な規律違反」の疑いで取り調べを受けていると発表した。

陳氏は、2015年11月に同じく「厳重な規律違反」で落馬した副市長の艾宝俊氏に次ぎ、上海市の二人目の「トラ」となった。

上海は江沢民の本拠地で、江の親族や側近らは今も権力を牛耳っているとされる。

中国国有鉄鋼大手宝鋼集団出身の艾氏は、江沢民の息子の江綿恒(現上海科技大学校長)と密接な関係を持っていたとみられる。陳氏は、江沢民の甥の呉志明(現中国人民政治協商会議上海市委員会主席)の元部下だった。

時事評論員の謝天奇氏は、習陣営は両会の前に呉志明の側近を失脚させたことは、党内の上海幇をけん制し、次の「トラ」として江沢民の甥の呉志明に狙うことを示したと分析。

「上海市では、すでに『トラ』2人が失脚したが、まだ大規模な反腐敗運動になっていない。習陣営は韓正氏に、市官僚らの深刻な腐敗問題について深く追及していくだろう」と述べた。

(翻訳編集・張哲)

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