シリアには軍事関与、渦中の北朝鮮には急接近し、また南シナ問題を抱えるベトナムには武器供与と、衝突の裏にロシアの影がちらついている。画像は一帯一路サミットで習氏の顔色を伺っている様子のプーチン氏 (THOMAS PETER/AFP/Getty Images)

ロシア、ベトナムに軍事支援 中国が難色示す

ロシアが今年秋にベトナムに軽護衛艦2叟を引渡すことがわかった。ロシア側の情報によると、中国は南シナ海の一部領有権を巡って対立するベトナムへのこうした軍事支援に難色を示しているという。米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)が報じた。

ロシアのゴーリキー造船所は数年前すでにベトナムに軽護衛艦、チーター級護衛艦2叟を納品している。造船所の責任者はこのほど、今年9月、11月に「より強い戦闘能力を持つ」同型艦2叟を新たにベトナムに納入すると明かした。

これまでロシアはベトナムに手厚い軍事支援を行ってきている。ベトナムで製造中のミサイル巡視船及び新型地対艦ミサイルに技術を供与しているほか、数年前には新型空対艦ミサイルシステムを提供した。またキロ型潜水艦6叟を供与し潜水艦部隊の結成にも大きな貢献をしている。

ベトナムは、ロシアから供給された武器で南シナ海の領有権紛争で大国の中国に対峙しようとしている。

ロシア国内の情報によると、この対越軍事支援を快く思わない中国はいろんな機会でロシアに圧力を講じている。ウクライナ紛争による2014年7月から始まった欧米諸国の対露制裁により、ロシアは航空宇宙事業に必要な電子部品・設備は中国以外の国から輸入できなくなった。中国はそれらの部品設備の供給の交換条件として、南シナ海問題でベトナムを支援せず中国の味方になることを迫ったという。

昨年に南シナ海で行われた中露両国の合同軍事演習は、こうした背景で中国の提案により実現したものだった。ロシアの東南アジア問題学者ムシャコフ氏は「 (共産圏の元仲間だった)両国は通常、対立や摩擦を水面下で解決し、公にすることはない」と話す。

中越両国ともロシアの武器輸出先。この三角関係について、前出のウシャコフ氏「露越関係は露中関係より遠いとも言えない」とみている。露越両国は近年、首脳が相互訪問し、軍事、宇宙開発事業、農業・畜産業など幅広い分野で連携を深めている。

(翻訳編集・叶清)

関連記事
シリアへ空爆を続けるロシアは、過激派組織IS(イスラミックステート)の拠点50カ所以上を破壊したと成果をアピールし、今後、空爆を強化する方針を示した。一方、米英諸国は、ロシアの空爆はISの壊滅ではなく、アサド政権の支援が目的と批判。ロシアの介入により、シリアの情勢がさらに複雑化するとの懸念を示している。
オランダ・ハーグにある常設仲裁裁判所は12日、国連海洋法条約に基づき、中国が南シナ海で設定した境界線である「九段線」について、「中国が歴史的に、この海域と資源を排他的に支配していた根拠がない」とし、中国の主張を否定した。