ケンブリッジ大学出版社は一時的に受け入れてた中国当局の検閲を拒否し、遮断されていた300以上の論文の復活を決定した。写真は2009年、ケンブリッジ大学のキャンパス(SHAUN CURRY/AFP/Getty Images)
言論統制

「学問の自由が根幹」ケンブリッジ大学、取り下げ論文を復活

ケンブリッジ大学出版局が中国当局の検閲を受け入れ、中国研究の論文315点を中国側から見られないようになっていた問題で、学内外から批判が相次ぎ、転じて、すべての論文を閲覧できるように復活させた。21日、公式声明で明らかにした。

声明によると、ケンブリッジ大学出版局は、中国側の検閲を受け入れたことは、他の文献もすべてシャットアウトするとの圧力を受けて「一時的な措置だった」と釈明。予定していた北京での会議に先立ち、「学問の自由は、大学の根幹をなすもの」とし、論文をただちに復活させた。 

中国側から見られなくなっていた論文をキーワード別に検索すると、中国共産党が社会へ与える影響を恐れ、厳しく統制する「敏感な用語」が入っていることが分かる。内訳は、文化大革命115、チベット45、台湾32、天安門25、毛沢東24本、ほか15本以下では新疆、紅衛兵、ウイグル、1989(注:天安門事件が起きた年)、法輪功、民主主義、香港など。

検閲対象となっていた同出版局の現代中国研究サイト「チャイナ・クオータリー」編集長ティム・プリングル氏は、方針転換を称えた。検閲の受け入れは「世界から尊敬される出版社の行うべきことではない」と述べた。

アクセス遮断中止の決定が、歓迎ムードにある。しかし、海外機関にも中国共産党政府が言論統制するとの問題が露呈した。プリングル氏は、一時的な閲覧不可の決定は「中国共産党のシステム外にある声を排除するという、対外検閲機関による強い力が働いたのでは」と懸念を示した。

ノッティンガム大学の中国研究者ジョナサン・サリバン(Jonathan Sullivan)は、「中国国内では報道機関、インターネット、NGO、弁護士、企業、共産党自身を含め『(党の)規律』の中にあることを強制する。海外の機関も例外ではない」と指摘した。

今後も、中国当局は海外機関への介入をエスカレートさせると見られている。今回ケンブリッジ大学出版局は、中国ミニブログ「微博」公式アカウントでも、論文の復活を発表。しかし数時間後、コメントは削除された。

(翻訳編集・佐渡道世)

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