海外で臓器移植した韓国人、97%は中国=調査
韓国国内の調査によると、海外で臓器移植した韓国人患者2206人のうち、9割以上が中国で手術を受けていたことがわかった。中国では、ドナー希望者が少ないにもかかわらず移植手術件数が増加し、極めて短時間で臓器移植を受けられることから、収監された「良心の囚人」から強制摘出した臓器が利用されている可能性があると、専門調査家らは指摘している。
韓国・慶熙大学附属病院の移植血管外科教授アン・ヒョンジュン氏の調査を東亜日報11日付が報道。2000年から2016年の間に、韓国で移植手術を受けていないが、臓器移植後の免疫治療を受けた患者数は2206人で、そのうち97.3%にあたる2147人が、中国で手術を受けたことを認めたという。
ヒョンジュン教授は、ソウル峨山病院と他42カ所の主要な臓器移植患者リハビリテーション病院の患者を対象に調査を行った。この結果を示す論文「韓国人の臓器移植傾向」は、世界臓器移植学会誌『移植(Transplantation)』に掲載された。
「中国人」として移植手術を受けた韓国人患者たち
韓国人患者らは主に臓器を待つ患者間のSNS(ソーシャルネットワーク)を通じて仲介者と連絡をとり、臓器移植のために中国に行く。しかし、患者に移植された臓器が、誰のものか、どこから運ばれてきたのか、知る術はない。
韓国釜山では昨年9月、中国の病院と連携して韓国人患者を臓器移植ツアーに参加させたブローカー集団のボス・金(男、韓国国籍)が臓器移植法等違反の疑いで逮捕された。金は、「中国の病院なら移植までの待機時間は1~2週間以内」と宣伝していた。
釜山警察によると、金容疑者は2006年から2011年、仲間とともにインターネット上で「臓器移植患者協会」などの複数のサイトを開設し、慢性腎不全、肝臓癌、重度の肝硬変、心臓病などを患う人に対して臓器移植を仲介していた。
提示された金額は、腎臓が4000~6000万ウォン(期間中の年次平均為替レートで360~540万円)、肝臓は6000万~1億ウォン(同540~900万円)、心臓は1億ウォン(同900万円)など、世界平均より極めて安価だ。米国での手術の場合、デポジット料などが追加され数億円になる場合もある。
中国政府は2008年、外国人の臓器移植を形式上では禁止したものの、13カ所の上海の病院は金容疑者の組織と連携し、韓国人患者らを中国人の名義で入院させ、移植手術を行ったとされる。
釜山警察は、合計87回にのぼる肝臓、腎臓、心臓移植の仲介があり、「そのなかに『生きている人から臓器を摘出した』事例も含まれている」と強調した。
手術中に死亡した患者や、帰国後まもなく亡くなった患者も存在するほか、帰国後に副作用が現れて、再び手術が必要になるという症例も多いことを明かし、実際の数はもっと多い可能性があると考えられている。
国際人権報告書「中国の違法移植臓器は法輪功学習者から」
2016年6月、前カナダ外務省アジア太平洋州担当大臣のデービッド・キルガー(David Kilgour)氏、人権弁護士のデービッド・マタス(David Matas)氏、米国の著名ジャーナリストのイーサン・ガットマン(Ethan Gutmann)氏の3人は、中国における臓器収奪問題に関して米国連邦議会委員会の公聴会で調査報告書を発表、中国における臓器移植の主な供給源は、収監された「良心の囚人」で最も多い、法輪功学習者である可能性が高いと指摘した。
3人は中国共産党による生きている法輪功学習者からの強制臓器摘出を世界に暴露し、問題への関与停止を国際社会に呼びかけた功労を称えられ、2010年、2017年ノーベル平和賞にノミネートされた。
2008年の臓器移植に関する国際宣言「イスタンブール宣言」以降、臓器売買が疑われる国への移植ツーリズムの禁止や、患者を引率するブローカーの取り締まり、紹介した医師の懲戒処分など、厳しい規制を設ける国が増加した。患者も、帰国後に免疫抑制の治療を受けられなかったり、医療保険が適応されないなどの制限が課される。しかし、法的拘束力はないため、署名国の法整備が求められている。
参考:中国での臓器収奪停止EOP国際ネットワーク「世界の法規/政府の動向」
(翻訳編集・齊潤)