中国当局、新疆でウイグル語教材を使用禁止 人権活動家「洗脳のため」と批判

中国当局は新疆ウイグル自治区のウイグル族住民に対する文化・教育の統制を強めている。同自治区教育当局はこのほど、自治区内の学校で使われる教科書について、ウイグル語やカザフ語の使用を禁止し、中国語のみ使用と限定した。人権活動家の胡佳氏は大紀元の取材に応じ、当局はウイグル族の人々の思想を完全にコントロールするため、その文化を徹底的に破壊しようとしている、と非難した。

新疆ウイグル自治区教育庁は今月上旬『少数民族文字の副教材の選択・使用工作に関する通知』を自治区内の各学校に通達した。教育当局は自治区内すべての学校で、ウイグル語やカザフ語で書かれている「国語」副教材の使用を全面禁止した。また、現在使っているウイグル語の副教材をすべて封にして保管するよう要求した。

教育庁当局は2014年、各学校に対して授業でウイグル語の使用を禁止し、中国語に切り替えるよう指示した。

これに対してウイグル族の住民は中国語教育によって、自らの文化や歴史など民族のアイデンティティが失われてしまうと危機感を抱いている。

ある住民は米ラジオ・フリー・アジアに対して、「当局がこの数年間に、少数民族の学校を漢民族の学校と合併したため、数学や物理と科学の授業は全部中国語で行われている。今やウイグル語を使った国語の授業もだめになった」と嘆いた。

中国民族区域自治法の下で、少数民族の言語・文字・風習が保障されているため、この住民は当局の措置が「全く法に従っていない」と批判した。「当局は少数民族の漢民族化によって、われわれ民族の文化を滅ぼそうとしている」

「ある民族を消滅させようと思うなら、その民族の信仰を奪い、その民族の言語と文字を除去すればよい」こう話したのは人権活動家の胡佳氏だ。

中国当局がウイグル族住民に対して、保育園から中国語教育を行っている現状について、胡佳氏は「今後の洗脳教育のためだ」と批判した。

ウイグル族の若い世代の母語を中国語に変えれば、「若者の思想をコントロールすることができる」と胡氏が分析。そのため、当局にとって教育現場での中国語教育は非常に重要だという。

 漢民族への文化破壊

胡氏は、中国当局は1949年政権奪取以降、ウイグル族、チベット族だけではなく、実に漢民族に対しても同様に、その文化・言語・歴史を滅びさせてきたと指摘した。

中国共産党は1930年代、「ラテン化新文字」計画を実施する専門機関を設立し、漢字の使用を禁止してローマ字を普及させようとした。49年共産党政権になってから、毛沢東は「文字を必ず改革して、世界言語に通じる拼音(ピンイン)方向に進むべきだ」と文字改革機関を設置した。

しかし、当時の知識人が強く反発し、毛の「拼音計画」が失敗した。その代わりに、漢字の簡体化が行われた。

漢字が簡体化された後、漢字が持つ本来の意味が変えられたり、失われてしまった。 台湾漢字学者の張福章氏はかつて、「簡体化に慣れた中国の若者がもう中国の古書を読むことができなくなった」と憂慮した。古典には中華文化の真髄が含まれていると張氏がその重要性を指摘した。

「中国共産党は中国人、ウイグル人、チベット人、さらに今の香港市民に小さい時から、共産党の赤色思想を染み込ませようとしている」と胡佳氏が強く懸念を示した。

(翻訳編集・張哲)

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