「魔法の武器」NZの大学教授が報告書 中国共産党の統一戦線に警鐘

ニュージーランドの中国問題専門家、カンタベリー大学のアン・マリエ・ブレイディー教授の自宅に2月14日、何者かが侵入し、パソコンなどの物品が盗まれる事件があった。昨年12月に同教授の大学構内にある研究室にも同様の盗難事件が起きた。

同教授は昨年9月、米ワシントンDCで開催された学会で中国の浸透工作をまとめた研究報告「魔法の武器」(Magic Weapon)を発表した。ほかの貴重品が盗まれていないことから、同国のメディアは侵入事件が研究報告と関連があると分析している。

今年2月、同教授に届いた差出人不明の手紙では、これまで共産党に従わなかった者が受けた仕打ちを細かく記述したうえ、同教授が「次の報復対象だ」と書かれていた。昨年12月、中国にいる協力者が国家安全部門に尋問を受けた。同教授は一連の出来事が中国共産党による報復だとの認識を示している。

▶ 続きを読む
関連記事
在米中国人政商の郭文貴氏は5日米ワシントンにあるナショナルプレスクラブの記者会で、中国共産党の浸透政策について言及した。前日に予定された同氏のトークイベントが直前、中止に追い込まれ、「北京政府からの圧力があった」と郭氏は批判した。
中国北京市府右街135号に聳え立つ巨大屋敷には看板が見当たらない。全世界で中国共産党政権のソフトパワーを浸透させる大役を担う中央機関、党統一戦線工作部(以下、統戦部)の所在地である。英紙フィナンシャルタイムズはこのほど、海外での統戦部のプロパガンダ工作の実態を明かす調査報道を出した。以下の全文はその抄訳。
「米中国交正常化40年の歴史は偽りだったのか、疑問視されているところだ」。米国中央情報局(CIA)前中国担当局長は最近、ホワイトハウスで開かれた中国問題に関する公聴会で、中国共産党による海外浸透工作に対して危機感をあらわにした。