中国企業は「シベリアの理髪師」? ロシアで大規模な森林伐採
ロシアのメディアによると、中国企業に長期契約で貸し出されたロシア極東シベリアの森林は、広範囲にわたり伐採されている。切り倒された大量の木材と、切り株しか残っていない荒野と化した森林の映像が映し出され、ロシア国民の怒りを呼んでいる。
7月2日、「中国の理髪師―中国人はどのようにシベリアの森を壊すか」と題した長編記事は、極東トムスクにある中国企業が大規模な森林伐採を行ったことについて報じた。
報道によると、「敬業国際投資会社」という名の中国企業が2018年2月、ロシアの地元当局による13万7000ヘクタールの森林の賃借入札に手を挙げ、12億6000万ルーブル(約22億6000万円)を49年間借りる契約をした。1カ月当たりの賃料が約27円/1ヘクタールという破格値だ。
この契約について、地元の環境保護団体や知識者らは、ロシア当局を国益の売却を許したとして批判していた。
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記事によると、同社は以前、25万8000ヘクタールの森林の賃貸契約を結んでいたが、地方議員が行政トップと森林管理当局責任者の退任を求めたため、解約となった。
今回は、ロシア現地の関心を逸らすために、中国企業は4つのブロックに分けて森林を借り入れた。一つ当たりの規模は大きくないため、あまり注意が払われなかったという。
ロシアメディアによる注目の高さを受けてか、中国共産党機関紙・環球時報は反論記事を掲載した。中国の企業を調査した結果、入札は通常通りに行われ、賃貸契約は合理的で合法であると説明している。しかし、記事は、ロシアのメディアが何を批判し疑問視しているのか、なぜ中国の企業だけが入札に関与しているのかを明らかにしなかった。
環球時報によれば、ロシアの地元自治体も中国の企業への森林貸し出しに合意しているという。
さらに記事は、過密な森林には自然発火のリスクがあり、森林火災による被害を避けるためにも、地方自治体は森林賃借には前向きで、地域住民も伐採を強く支持していたと書いている。
ロシア連邦の新聞:元ソ連共産党中央機関紙「Pravda(プラウダ)」は、報告書内容を引用して、貸し出された森林の実際の価値は2000億〜3000億ルーブル(約3600億~5400億円)であり、契約額は実際の価値の0.5%程度だと指摘した。
ロシアの著名映画監督ニキータ・ミハルコフ氏は、自身が撮影した映画を引き合いに出して、この問題を批判した。「20年前に『シベリアの理髪師』という映画を製作した。スーパー伐採機を開発した米国人がシベリアで森林を伐採した。このためロシア人が故郷を離れざるを得ないという内容だ。まさかフィクション映画が現実になるとは。主人公は中国人に変わっただけだ」。
「中国の理髪師を野放しにしたら、私たちはいつか映画にいるロシア人と同じ結末をたどってしまう」とミハルコフ監督は警鐘を鳴らした。
(編集・佐渡道世)