「中国が自主開発した」ブラウザー、米グーグル技術を使用 企業が謝罪
「中国初の自主開発」と謳(うた)ったインターネット閲覧ソフトは実は、米IT大手グーグル社の技術を使用している。米トランプ政権が中国の技術盗用を問題視する中、「恥だ」と国内から批判が高まっている。
問題となったのは北京のIT企業・紅芯時代科技。同社は最近、「アメリカの独占を打破し、中国独自の技術で初めて開発した」インターネット閲覧ソフトRedcore(レッドコア)を公開した。15日、2.5億元(約40億円)の融資を受けたと発表した。
現在の閲覧ソフトはマイクロソフト社のIE、Google社のChrome、アップル社のSafari、Mozilla社のFirefoxなど四社の製品が主流だが、レッドコアは5番目の製品として米企業が独占した市場に楔(くさび)を打ったと持ち上げられた。
しかし、15日夜、中国版Twitter微博のユーザー@Toukoは、レッドコアのインストールファイルを繰り返して解凍すれば、最後にchromeのファイルが現れたと投稿した。
この投稿は瞬時に拡散され、注目を集めた。同ソフトをインストールした別のユーザーによると、閲覧画面はChromeと酷似しているほか、Chromeのロゴが残っている箇所もあるという。
「他社製品のパッケージを変えただけ。中国の恥だ」というネットユーザーからの批判を受け、同社の共同経営者高婧氏は疑惑を否定し、「巨人の肩に立って自主開発に取り組んだ」と弁明した。
一方、同社CEOの陳本峰氏はChromeの技術を利用して開発を進めたと認めた。
16日午後、同社ホームページからRedcoreのダウンロードページが削除された。17日、「今後グーグル技術の使用を明記し、国産を強調しない」と謝罪声明を出した。
同社HPによると、CEOの陳本峰氏は名門大学・中国科技大学を出て香港科技術大学の大学院に進学。2006年、マイクロソフト社に入社、IE8,9,10の開発に携わっていた。退社後、香港で起業。2015年に「特別招聘(しょうへい)専門家」として11回目の「千人計画」(海外のハイレベル人材招聘計画)にリクルートされた。かつてインタビューで「大学在学中、ある有名企業の主要メンバーとして製品開発に携わった」と述べたが、同企業の関係者は「当時は実習生だった」と証言した。今回の騒動で、同氏の履歴粉飾疑惑もメディアに大きく取り上げられた。
共同経営者の高婧氏は騒動後、HPにある「米ハーバード大卒」の経歴を「交換留学生としてハーバード大に在籍していた」に修正した。
(翻訳編集・李沐恩)