新疆ウイグル自治区カシュガルの旧市街、2007年9月撮影(China Photos/Getty Images)

カザフ族2000人の中国国籍離脱と出国を許可 中国当局、批判かわす狙いか

カザフスタン外務省によると、中国当局は国内在住の2000人あまりのカザフ族に対して、中国国籍の離脱と出国を許可した。AP通信が1月9日報じた。

中国政府は新疆ウイグル自治区で100万人に上る少数民族の住民を拘束しており、カザフ族もその対象だった。中国政府がこの度カザフ族の出国を認めたのは、国際的な批判の要因を取り除こうとする動きと考えられる。

カザフスタン現地のメディアは2018年12月、中国は2000人以上のカザフ人の出国を認めたと報じた。カザフスタン外務省情報局はAP通信の電子メールによる取材に対して、この報道内容を認めた。

中国政府は、理由を明らかにしていない。カザフ政府によると、中国国籍を放棄したカザフ族は帰国後、カザフスタンの国籍または永住権を申請することが可能だ。

米ラジオ・フリー・アジア(RFA)の報道によると、2017年1月に中国当局はカザフ族に対して、中国のパスポートまたはカザフスタンのグリーンカードを地元政府に預けるよう命じた。カザフスタンにいる親族の帰国も求められた。多くの場合、帰国すると再出国できなくなる。

人口1800万人のカザフスタンは、中国からの投資と融資に依存しているため、今まで中国当局による民族弾圧への批判を避けてきた。中央アジアは、中国共産党政府主導の経済圏構想・一帯一路の主要な開発地域のひとつ。

しかし、昨年5月から国際社会が新疆の再教育センターを注目するようになり、カザフスタン国内で同国政府に対する圧力が高まった。

海外カザフ人の権益保護を目的とする同国NGOはRFAに対して、出国を認められたカザフ人は再教育センターに拘束された経験のある人で、カザフスタンにいる親族が彼らの釈放を求めてここ数カ月、政府に強く働きかけてきたと述べた。出国はカザフスタン政府の要請に基づいたものだとの見方を示した。

中国官製メディアは再教育センターを「過激思想からの離脱」「職業訓練センター」などと説明しているが、その目的は現地の民族文化と信仰を放棄させ、共産党のプロパガンダで党の政策に従うよう教化することにあると言われている。数カ月、収容されていたカザフ国籍のウイグル人は2018年10月、英語大紀元の取材に対して、収容所では虐待や粗末な食事、窮屈な部屋、女性に対するレイプ、そして突然の失踪が常態化していると語った。

(編集・佐渡道世)

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