世界がん研究の権威機関 アジア出身の教授3人解雇、中国に機密漏洩の疑いで
世界のがん研究の権威、米テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターはこのほど、機密研究情報の窃盗防止の措置として、アジア出身の教授3人を解雇したことがわかった。情報筋は大紀元に対して、教授3人は中国と台湾の出身で、1年前から米連邦捜査局(FBI)が捜査していたと述べた。
テキサス州の地元紙ヒューストン・クロニクル19日付によると、MDアンダーソンがんセンターは、中国当局に機密情報を渡す可能性があるとして、教授3人を解雇した。米国立衛生研究所(NIH)は昨年、同センターに所属する教授5人について、外国からも収入を受けながら報告してないと指摘し、同センターに措置を求めた。
MDアンダーソンがんセンター長のピーター・ピスタース(Peter Pisters)氏は米メディアに対して、教授5人のうち3人に対して、雇用関係を解消したと述べた。雇用契約解除の前に、3人のうち2人はすでに離職し、あと1人は現在辞職申請を出したばかりだという。この3人の名前や出身国などの詳細は不明だ。
また残りの2人の教授について、1人は「現在調査中」で、もう1人は「解雇処分の対象ではないと結論付けた」とした。
ヒューストン・クロニクル紙によると、5人はいずれもアジア圏の出身者で、少なくとも3人は「中国系」であるという。
MDアンダーソンがんセンターの研究者の1人、肖雲氏(仮名)は大紀元の取材に対して、解雇された3人の教授うち、2人が中国大陸出身で、もう1人は台湾出身だと話した。
中国大陸出身の教授2人について、1人は中国当局の長江学者奨励計画(国内でハイレベルな人材を育成するために、国内外の優秀な学者を中国の教育機関に招致する計画)の特任教授で、今年2月に中国に帰国した後、浙江大学医学院公共衛生学部の学部長兼同医学院附属第二医院の副院長に就任した。
もう1人は、海外のハイレベルな人材を招致する中国当局の「千人計画」を通じて、以前、中国の同済大学附属東方医院に勤めていた。妻とともに、中国海南省にある医療関連の大学のイベントに頻繁に参加したほか、過去にはヒューストンで中国共産党関連のパーティーの開催にも関わっている。
同報道によれば、トランプ米政権は、米国内科学研究施設で働きながら、知的財産権を盗み、中国国内で「影の実験室」を設立する中国人研究者に警戒している。
ピスタース・センター長は、「MDアンダーソンがんセンターは世界トップレベルの研究機関であるため、外国政府に狙われている」と述べた。
今後、米医療機関や他の大学で、同様の処分が増えるとみられる。
4月11日、NIHのフランシス・コリンズ所長は米上院での公聴会で、米政府の助成金を受けている研究機関で今後、機密情報を窃盗するスタッフへの処罰を強化することに言及した。
米メディアによると、昨年夏、FBI関係者はテキサス州学術界および医療機関責任者を集め、機密情報の窃盗に関して、疑わしい内部研究者やスタッフに警戒感を高めると同時に情報を提供するよう求めた。
ピスタース・MDアンダーソンがんセンター長は2015年に、FBIから情報提供するよう勧告を受けたと明かした。
米上院は昨年6月、中国当局の千人計画について公聴会を開いた。米情報機関の高官は、中国当局が千人計画を利用して、米で教育を受け、米の学術界で活躍する研究者を誘致していると指摘する。合法的および違法な方法で米のハイテク技術、知的財産権などを獲得することが千人計画の真の目的だという。これによって、軍事面や経済面で、競争相手の米国を打ち負かし、世界を支配しようと中国当局はもくろんでいる。
(翻訳編集・張哲)