アメリカ心理学会が発表した最近の研究によると、目標を諦めないで人生をポジティブに捉えている人は不安、うつやパニック発作に陥る可能性が低いようである。本研究では数千人の米国人を18年間にわたって研究した。
異常心理学ジャーナル(the Journal of Abnormal Psychology)が発表した研究は、過去に行われた自制や運命を制御しようとする感情が認められなかった研究とは異なり、18年間に及ぶ参加者のメンタルヘルスへの影響を認めた。
「忍耐はうつ病、全般性不安障害やパニック障害への抵抗力を生み出したり、病状を和らげる可能性がある。不運な出来事の明るい側面を見ることは、人生を意味深く、理解可能で、対処可能なものであると感じるので同様の効果がある」と、本研究の主執筆者ペンシルバニア州立大学のナル・ハニ・ザイナルは述べた。
精神疾患で衰弱する場合がある
精神疾患の多くの患者や彼らの家族は不安、うつやパニック発作は慢性的なものであり、体を衰弱させて、肉体的健康を危険な状態にする場合があることをよく知っている。
本研究の共同執筆者であり、ペンシルバニア州立大学の一員でもあるミシェル・G・ニューマンは、「よくあることだが、これらの疾患の患者はさらに状態を悪くし得るネガティブな思考パターンと行動のサイクルに陥っている。我々はどのような具体的な対処法略がうつ、不安やパニック発作の程度を和らげる効果があるのか理解したいと思っていた」と説明する。
本研究は18年間に渡って研究に参加していた3294名の大人のデータを用いて行った。被験者の平均年齢は45歳で、ほとんど全員が白人であり、半数より若干少ない人数が大学教育を受けていた。データを集める研究中3回のインターバルがあった。
各インターバルで、被験者に目標へのこだわり(例:問題がある場合、解決するまで諦めない)、自制(例:心に決めたことはなんでもできると分かっている)およびポジティブな見直し(例:どんな状況でも明るい面を見ることができる)を記録するように依頼した。うつ病、不安障害及びパニック障害の診断も各インターバルで集めた。
本研究では、最初のアセスメント中、楽観性があり、目標へのこだわりがあった被験者は、18年間に渡って記録された間、不安、うつ、パニック発作の軽減がより強かったことが示された。数年を通して、メンタルヘルスの問題を抱えたものは本研究を始めてから、人生の目標に向かっての決断力が上昇し、不幸な出来事のポジティブな面に焦点を当てるようになっていった。
本研究の知見は、不安、うつ及びパニック障害を患うクライアントに寄り添う心理療法士にとって有益なものである。ザイナルが言うには、「臨床医は、専門的かつ人間的熱意で、諦めにより生ずる悪循環をクライアントが理解するのを手助けすることができる。諦めは一時的に感情的に安らぎを与えるかもしれないが、後悔や落胆が生じると挫折のリスクが増大し得る。障害に関わらず夢を達成するように具体的な行動をとることで、患者の楽観性や抵抗性が増大し、よりポジティブな気分や目的意識が生じうる」
(大紀元日本ウェブ編集部)
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