(Antonio Guillem/Shutterstock)

うつに悩む十代を救え

十代という年代は、人生の中で最もエキサイティングで前向きな時です。学校があり、友人に囲まれ、デートもして、ホルモンバランスの変化があり、自分の立ち位置を見極めるために自身を鼓舞したり悩んだりもします。導きや支援、家族、友人、専門家からのアドバイスが不可欠な時期でもあります。うつ病も深刻な問題です。学生の5人に1人がうつ病と言われており、十代でのうつ病は自殺のリスクが12倍に跳ね上がり、十代のうつ病罹患者の30%が薬物乱用の道に進むと言われています。

十代のうつ病の原因

十代のうつ病の原因を解き明かすのは困難ですが、解決のためにできることがあります。まずは、うつ病の主な原因を見てみましょう。



ホルモン

思春期はホルモンの変化が激しく、それがうつ病を引き起こす要因になります。

神経化学

脳内の神経伝達物質は脳と体に信号を送りますが、それが損なわれたり正常に機能しないと、うつ病を発症することがあります。

いじめや暴力

校内でのいじめや暴力、サイバー攻撃、レイプ、身体的あるいは精神的暴力を受けている子どもがいます。また、暴力行為を目撃してしまうなどの間接的なダメージもあります。そうしたことがトラウマとなり、うつを発症する子どももいます。

肥満

太っている子どもは、ばかにされたり無視されたりすることがあり、自分に対する自信を失う傾向があります。 51,000人の肥満の子どもを対象にした2017年の調査では、肥満とうつの間に明らかに相関関係があることが分かりました。

悲観的な思考

十代の中には、親、教師、権威者から救いのないことを言われてきた人たちがいます。このような精神的ないじめは、ネガティブな思考を捨ててポジティブな考え方を取り入れるように導けば解決できます。

遺伝的特性

家族歴を調べてみましょう。うつは血縁による遺伝的要素があります。

抗うつ剤を使わずに十代のうつ病を治療する方法

抗うつ剤や類似の薬がうつ病の治療に使われますが、若い世代には副作用の危険があり、自殺を誘因する可能性もあります。実際に、18歳未満の子どもは抗うつ剤を服用してはいけないという警告も出ています。十代のうつ病には、自然な治癒が一番なのです。

自然治癒の一つに、食事療法があります。十代の子どもたちは、加工食品を口にする機会が多いので、栄養価の低い食生活に陥りがちとなります。食事を抜いたり、ファストフード店に足繁く通ったりの生活の中で、人間関係や成績のストレスを抱えていたりします。栄養価の高い食事に切り替えたり、栄養を補うものとしてサプリメントを利用することが推奨されます。

甲状腺の検査や遺伝的疾患の調査も有効ですが、健康的な食生活への切り替え、補助的なものを使う治療法もあります。

マグネシウム

マグネシウムの欠乏は、うつ症状、興奮、不安症、方向感覚のずれ、困惑、不眠症、筋肉収縮に関連します。2017年の調査によると、うつ症状がありマグネシウムの摂取が足りない被験者が、一日500ミリグラムのマグネシウムの摂取を8週間続けた結果、うつの症状が緩和されたとのことです。サプリメントとして摂取する他に、緑黄色野菜やナッツ、豆類、全粒粉などを含むミネラル豊富な食事もお勧めです。

オメガ3S

脂肪酸がうつ症状に効果があることは、多くの研究で知られています。オハイオ州立大学の研究によると、ストレスが少ない若者は、心理療法と同時にオメガ3を摂取していたとのことです。別の研究では、エイコサペンタエン酸(EPA)を含むサプリメントがうつ症状に効果があり、ドコサヘキサエン酸(DHA)を含むサプリメントは効果がなかったとのことです。脂肪酸を含む冷水魚は、オメガ3Sの宝庫で、十代の若者が週に数回摂取することが困難であれば、サプリメントがお勧めです。

鉄欠乏症

鉄が不足すると貧血になることは知られていますが、うつの兆候、無気力、疲労などにも関連します。鉄分の不足は、思春期の女性の生理の始まりと関連しており、十代には、豆類、緑黄色の葉物、ドライフルーツ、シリアル、パスタ、シーフードなどの摂取が必要です。鉄分のサプリメントも、専門家のアドバイスを受けながら摂取することが推奨されます。

プロバイオティクス

有益なバクテリアを含むサプリメントや食品の摂取は、十代のうつ病への対処法として選択肢の一つです。カナダの研究で、「プロバイオティクスの使用により認知度の低下、気分の落ち込み、不安といった兆候が和らぐことが証明された」と伝えられています。ユニバーシティヘルスニュース(健康に関するウェブニュース)は、プロバイオティクスはうつ症状をコントロールし、気分を盛り上げ、ストレスや心配を軽減し、認知機能を改善すると伝えています。専門家によると、いくつかのプロバイオティクスが人間や動物のうつ症状や神経性疾患に効くとのことです。

ビタミンB2、他

ビタミンB1(シアミン)、B3(ニアチン)、B9(ビオチン)、B12などのビタミンB群の欠乏は、うつ症状に関連しています。特にビタミンB12の不足は十代によく見られますが、サプリメントで代用することも可能です。ビタミンB群は多くの食品に含まれており、素材そのままを活かした調理法での摂取が望まれます。食生活の変化を好まない若年層には、サプリメントによる摂取が必要でしょう。

低甲状腺

甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンのサイロキシンの低下と甲状腺刺激ホルモンの上昇が特徴で、うつ症状の原因として見落とされがちですが、簡単な血液検査で判明します。甲状腺機能低下症とうつ症状の両方をもつ十代は、抗うつ剤を服用せずに、甲状腺疾患の治療を受けるか、甲状腺ホルモンの低下を防ぐトリオドシロニン(T3)や甲状腺刺激ホルモンの低下を促すシロクシン(T4)を含む栄養素を摂取することが求められます。

瞑想

無数の研究が示しているように、うつ病の人には瞑想が有益です。ジョンズホプキンス大学医学部が発行した書籍の中で、「意識が形成される過程にある若者が一心に瞑想すると、ストレス、悩み、うつ症状などのコントロールに効果がある」と記述されています。

鍼治療

この古来の療法は、十代に有益です。うつ病治療センターは、次のように述べています。「鍼治療が十代に効果的なのは、うつを除けば彼らがとても健康体であるからです。鍼治療は、健康体に最も効果があるのです」

ヨーク大学の研究によると、755人のうつ病罹患者を無作為に、鍼治療、カウンセリング、通常の治療(医師によるケア、クリニックなど)の3つのグループに分け、実験を行いました。鍼治療のグループとカウンセリングのグループは、週に12回までの治療を行った結果、通常の治療のグループに比べて3ヵ月でうつ症状が劇的に軽減しました。

(文:デボラ・ミッチェル ※フリーランス・ライター、健康に関する記事を寄稿。動物と環境に情熱を注ぎ、著書は50冊を超え、広範囲なジャンルの記事を数多く手がける。当記事は、「NaturallySavvy.com」に掲載されました)

(大紀元日本ウェブ編集部)

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