米当局、中国政府幹部をビザ不正取得で起訴 米国で「千人計画」を主導
米マンハッタンの連邦裁判所は9月16日、中国政府幹部をビザ詐称の共謀罪で起訴した。訴状によると、同幹部は、海外の研究者を中国に招く共産党の計画のために、他の中国政府職員の米国ビザ取得をほう助した。
検察によると、中国国際人材交流協会のニューヨーク事務所元代表の柳忠三(57) は、海外ハイレベル人材を招致するプロジェクト「千人計画」の在米責任者として、米国内でリクルート活動を行っていた。
米捜査当局によると、2017年に米国に赴任した柳は最近まで、助手として勤務予定の中国政府職員が大学の研究員を装って、「J-1調査研究者ビザ」を不正に取得するのを手伝った。このビザを取得した外国人は米国の大学、博物館、図書館、その他の機関に在籍し研究活動することが許可される。助手はニューヨークで勤務するが、ジョージア州の大学で研究するためのビザを取得した。
検察によると、柳は助手に対して、大学を定期的に訪問するよう指示した。柳に最高5年の禁固刑が下る可能性がある。
柳は、外国人の専門家を誘致する「中国国家外国専門家局」(外専局)直属の機関で党書記を務めていた。2018年、機構再編で現職となった。
柳は2017年度活動報告で、アメリカの「トップレベル大学」から複数人の専門家と学生をリクルートしたと自らの業績をアピールした。柳は定期的に在米中国大使館、在ニューヨーク中国領事館を訪れ、指示を受けていた。さらに、職員のビザ取得を容易にするために、「海外赴任者を中国大使館員として扱う」と提案した。
柳は2018年3月、上司への報告書で、「トランプ政権は、外国人の学者や学生のビザ審査を厳格化した」と言及した。
連邦捜査局(FBI)副長官ウィリアム・スウィーニー・ジュニア氏は柳の起訴に関する司法省の声明で、「社会に有益で自由な研究を行う、という誠実な目標を誰もが共有しているわけではない」と警告を発した。
司法省の国家安全保障担当高官で司法省副長官ジョン・デマース氏は同じ声明の中で、「私たちは中国を含む海外からの留学生や研究者を歓迎するが、(外国)政府のためのビザ詐称は受け入れない」とした。さらに「米国の研究とノウハウを中国に転用し自国の利益を促進しようとする中国政府の試みに、引き続き対抗する」と付け加えた。
(翻訳編集・佐渡道世)