悪魔が世界を統治している
九評編集部:悪魔が世界を統治している

第十章:法律を利用する邪悪

目次

1. 法律と信仰

2. 法律―共産党政権の道具

a. 法の支配を受けない国家テロ

b. コロコロと変化する善悪の基準

c. 堂々と法律を無視する中国共産党

3. 共産主義が欧米で法律を歪めるやり方

a. 道徳を破壊する法律

b. 立法と公布の権力を掌握

c. 邪悪な法律を作る

d. 法律の執行を制限する

e. 外国の法律でアメリカの主権を脅かす

4. 法の精神を復活させる

参考文献

 

1.法律と信仰

公正と正義を維持するための鉄則は法律の遵守である。法律は善を肯定し、悪を罰する。何が善で何が悪なのか、その概念は法律を作る者によって決まる。信仰があれば、その概念は神の教えに由来するだろう。実際、宗教の教義には人類社会を治めるための基本的な法が示されている。

世界最古の法典の一つ、古代バビロンのハンムラビ法典(The Code of Hammurabi)には、メソポタミアの太陽神シャマシュがハンムラビ王に法を授けるイメージが刻まれている。これは、神が王に法律を授け、民を治めさせることを意味している。

ヘブライ人にとって、旧約聖書の十戒は、この世の法律と共に神聖な戒律である。十戒が欧米における法文化の基礎をつくったと言っても過言ではない。4世紀のローマ皇帝、東ローマ帝国のユスティニアヌス1世、また英国アングロ・サクソン時代のアルフレッド大王など、多くの王たちがモーゼの十戒やキリスト教から啓発を受け、法典を編集した。【1】

宗教の信者にとっては、神が定めた善悪および宗教の教義に則った法律こそ合法である。ローマ皇帝はキリスト教徒たちにローマの神々を崇拝し、シナゴーグ(ユダヤ教の会堂)の前に皇帝の銅像を建てることを強制したが、信者たちは磔や火あぶりになることを選んだ。神の掟は世俗の法律を超越し、神聖で犯すことのできない法であるからだ。アメリカで見られる暴力を使わない市民的不服従の背後にあるのもキリスト教の教えである。

一般的に、十戒には二つの内容があるとされている。一つは神と人間の関係であり、神に対する正しい崇敬の念を示している。もう一つは人間関係であり、自分を愛するように隣人を愛しなさいという教えである。神への畏敬の念は、人類が公正や正義を変わらず維持するために不可欠な要素である。

古代中国にも同様の教えがある。歴代の皇帝(天子)は天地の摂理に従い、勅令を出して法律を発布した。この摂理とは、老子あるいは黄帝が唱える「道」という信仰である。漢王朝の学者・董仲舒(とうちゅうじょ)曰く、「偉大なる道は天に由来する。天は永遠に変わらず、道も変わることがない」。【2】 古代中国人が意味する「天」は自然現象ではなく、偉大なる神のことである。道の信仰が中国文化を支え、道徳を形成した。数千年にわたり、中国の法律は道の影響を強く受けていた。

アメリカの法学者ハロルド・J・バーマン(Harold J. Berman)は、法律は社会の道徳や信仰と共存しなければならないと主張した。教会と国家は分離しても、相互に依存している。どのような社会においても、正義や法律という概念の根源は、すべて神の領域にある。【3】

つまり、法律には公正と正義を実行する権限があり、それは神から与えられたものである。法律は公明正大であるだけでなく、神聖である。現代においても、法律の力を強化するために、多くの宗教的儀式を行うのはそのためである。

 

2. 法律―共産党政権の道具

共産党は反有神論を掲げるカルト集団である。彼らは法律の原則である神の教義に逆らい、古代から受け継がれた文化や価値観を断ち切ろうとする。共産党には最初から、公正や正義を貫くという発想などない。

 

a. 法の支配を受けない国家テロ

キリスト教は、自分を愛するように隣人を愛しなさいと説く。儒教では、仁者は他人に寛容であると教える。ここで説いている「愛」とは男女間の狭い「愛」、あるいは家族愛や友愛などに制限されるものではなく、寛容、慈悲、正義、無私、美徳など、より広い意味を含む。この文化的な基盤があって初めて、法律は神聖になり、人間社会の愛を体現する。

いくら法制度が整っていたとしても、すべての紛争に対応することはできず、対立する両者に公正な判断を下すことは難しい。従って、法律は具体的であるだけでなく、関係者すべての主観も考慮に入れるべきである。判事は法の精神に則り、博愛の原則に基づいて判決を下す。

イエスはエルサレム神殿でファリサイ派の信者たちに厳しく注意した。彼らはモーゼの十戒に忠実でありながら、正義や慈悲、誠実さなどに欠け、偽善的だったからだ。イエスは安息日に人々の病を治し、異教徒と過ごした。彼は律法の根底にある慈悲の精神を信じ、実践した。

一方、共産主義の根元は憎悪である。共産主義は神を憎み、神が与えた文化、生活様式、伝統を嫌う。マルクスは、彼自身が世界を破滅させる王者になると宣言している。「軽蔑と共に、世界の顔に俺の手袋を投げつける。俺は創造者として、廃虚を凱旋するのだ!」【4】

ロシアの熱狂的な革命家セルゲイ・ネチャーエフ(Sergey Nechayev)は、『革命の教理問答』(The Revolutionary Catechism)の中で、「革命家は、彼自身と、社会秩序、法律、道徳、習慣、常識にもとづく文明世界の絆を断ち切る」と述べている。「彼はそれら(文明)の敵であり、もし彼が引き続きそれらと共に生きるならば、それは文明を速やかに破壊するためである」【5】

ネチャーエフは世界を憎み、自分が法律の権限を超えると信じていた。彼は聖職者の言葉「教理問答」(カテキズム)を用いて、世界を軽蔑するカルト的な思想を説明した。「世界に少しでも同情する人物は、革命家ではない」

レーニンも同様の考えを持っていた。「独裁主義は、超法規的な強制によって治める。プロレタリアート(労働者階級)の革命的な独裁主義とは、ブルジョワジー(資本家階級)に対する暴力によって維持され、また法の支配を受けない統治である」【6】

法的制限のない殺戮や拷問、集団的罰則を行う政治とはつまり、国家テロのことである。この冷血で残虐な政策は、昔の共産党政権の特徴である。1917年にボルシェビキがロシア政府を転覆させた直後、政治闘争の中で数千人が虐殺された。ボルシェビキは秘密組織チェーカーを設立し、任意に人々を処刑できる権限を与えた。1918年から22年にかけて、チェーカーが裁判なしで処刑した人数は200万人を下らないと言われる。【7】

元共産党の宣伝部第一副部長アレクサンドル・ニコラエヴィチ・ヤコヴレフ(Alexander Nikolaevich Yakovlev)は、彼の著書『ビターカップ:ロシアボルシェヴィズムと改革運動』(Bitter Cup: Russian Bolshevism and Reform Movement)の前書きで述べている。「この1世紀だけで、ロシアでは戦争や飢餓、圧政のために6千万人が死亡した」。彼は公文書から、ソビエトでの迫害キャンペーンにより死亡したのは2千万人から3千万人であると推定している。

1987年、ソ連共産党政治局は委員会を設立し、ソビエト政権下で身に覚えのない疑いをかけられた冤罪について再調査を行った。数千件に上るケースを調査した後、ヤコヴレフは書き残している。「狼狽せずにはいられなかった。この暴挙に加担した奴らは精神的に狂っていると言えるが、しかしその説明では、この問題を単純化しすぎる危険性がある」【8】

つまり、共産主義下で行われた残虐な行為は、常人の考えや衝動が生み出したものではなく、入念に計画されたものだったことを彼は示唆している。この犯罪は世界全体の利益を目的としたものではなく、生命に対する深い憎悪のためである。暴挙を繰り広げる共産主義者たちは決して無知なのではなく、はっきりとした悪意に基づいている。

ソビエト政権が樹立すると、国家テロは中国、北朝鮮、カンボジアへと飛び火した。『九評共産党』の「第七章:共産党の殺戮の歴史」で述べられているように、中国共産党は改革開放期の前に、6千万人から8千万人の人々を殺害した。これは、2回の世界大戦における死者の数を超えている。【9】

 

b. コロコロと変化する善悪の基準

共産党は法律を無視して国家テロを実行する。しかし、彼らは欧米諸国に対して、法律を遵守するためにやったのだと主張する。欧米諸国をはぐらかしながら、共産主義は経済交流、文化交流、地域交流の名目で自由社会に浸透し、少しずつ転覆していく。

実際、中国で法律が遵守されたことなどない。改革開放が始まった1979年、中国共産党は「刑事訴訟法」を可決し、表向きには司法制度を強化した。しかし、これはうわべを偽装するために過ぎない。

マルクスによれば、法律は階級闘争の産物であり、支配階級の意志を体現する道具である。共産党の法律の由来は決して神ではなく、また人々に対する慈愛や、社会正義を追及する目的でもない。法律の目的は、支配階級である共産党に利益があるかどうかのみである。従って、共産党の目標や利益が変化すれば、それに従って法律も変わる。

中国共産党は政権を樹立すると、すぐに階級闘争を党紀に規定し、市民の権利を奪った。党は「反革命活動」という法律を発布し、党の政策を批判する者は取り締まりを受けた。共産党に反対する「反革命家」たちは投獄され、処刑された。

国有化という名のもとで、共産党は一般市民から莫大な富を奪うことに成功したが、今度はその富を維持する必要がある。そこで、党は経済成長に重点を起き、私有財産を保護する法律を施行した。

しかし、個人の財産が党の利益を超えることはない。土地開発のために立ち退きを強いられる大勢の人々がいる。共産党はいつでも個人の財産を脅かす存在であることが分かる。

1999年初旬、中国共産党は「法律に従って国家を統治する」と発表した。【10】 数カ月後、党は全国で真・善・忍を実践する修煉者たちを一斉に迫害し、当時設立した610オフィス(弁公室)に、すべての法律や司法手続きを回避する権限を与えた。610弁公室は公安や司法組織を操り、法輪功への弾圧を強めた。

共産党が人々を脅迫し、自分たちの卑劣行為を隠し、抑圧を継続するには、常に仮想の敵をでっちあげなければならない。彼らの敵はコロコロと変わる。地主、資本家、1989年天安門事件で殺害された学生たち、法輪功修煉者、人権弁護士などが標的になった。

敵の種類によって、法律も変化しなければならない。60年の政権下で、党は4つの憲法を発布し、そのうちの最後は1982年に発布してから4回改訂している。共産党は、度重なる政治運動で得た経験から、法律を微調整して偽装し、目的を達成することに長けている。時には、外見を装うこともなく、大胆にやってのける。

 

c. 堂々と法律を無視する中国共産党

共産党の憲法は格式ばった長ったらしい言葉で埋め尽くされているが、遵守されることはない。それに書かれている言論の自由や信仰と結社の自由などは、決して保護されないのである。

マルクス理論によれば、法律は支配階級の意志の体現であり、支配するための道具である。共産党にとって、敵を弾圧するために法律を作り、改訂するのは当然のことである。

この制度のもとでは、「支配階級の意志」に挑戦する者は誰であっても階級の敵であり、法的な罰を受ける。それは失業者であれ、傷痍軍人であれ、あるいは土地を追われた農民、人権弁護士、必死に生活する貧乏人であっても同様だ。

共産国家で働く弁護士はジレンマに陥る。法律に基づいて正義を訴えれば、彼は判事と検事から追放されるだろう。裁判所は共産党によって管理されており、党に従うべきだと露骨に言う判事もいる。彼らが言っているのは共産党政権下における法の精神である。

法輪功が関わる法廷審問で、中国の判事たちがよく口にする言葉がある。「なぜ法律を持ってくるのだ? 俺たちが気にしているのは政治だけだ。党は弁護を許していない。党指導者の言葉が法律である。共産党が裁判所を指導しているのだから、われわれは党に従うべきだ。法輪功問題については、何の法的手続きも必要ない。良心とか、そんなことは俺たちに言わないでくれ」【11】

イギリスの哲学者フランシス・ベーコン(Francis Bacon)は言った。「一つの不正な判決は、たくさんの不正な判例より害をもたらす。それを行う者は潮流を汚し、その他の者は水源を汚染する」【12】

共産党は法律をコロコロと変え、またそれを選択的に利用する。この法律には神聖で合法的な権威など存在しない。過去の世紀において、党を支配した「法の精神」のもと、発生した冤罪の数は計り知れず、およそ1億人に上る無実の人たちが処刑された。それらの血の負債に対して、誰が共産党を代表して償えるだろうか。

「負債者は金で、殺人者は命で償わなければならない」という言い方がある。もし本当に法律を適用するならば、共産党は血の歴史に対する責任を負うことになるだろう。

 

3.共産主義が欧米で法律を歪めるやり方

共産主義国家では、悪魔は法律を操って支配とイデオロギーを強化し、人々を抑圧する。一方、自由社会での悪魔の目的は、伝統的な信仰と道徳を破壊することである。善悪の基準を歪め、法の執行機関を掌握し、邪悪な慣習を植え付ける。

法律は、政治、宗教、教育やその他の分野と密接な関わりがある。長い間、アメリカは法治国家を実践していたが、昨今では共産主義の影響が深刻である。共産主義は世界中に触手を伸ばし、その浸透から逃れられる国家は非常に少ない。この章は、多面的に浸食されたアメリカの司法機関を検証する。

 

a. 道徳を破壊する法律

宗教と信仰に基づく法律は神聖である。しかし、世界に散らばる共産党とその追随者たちが無神論と進化論を宣伝し、神と法律の絆が断たれた。今日、法律は復讐、仲裁、取引、利益の分配をめぐる取り決めの道具になり下がった。すでに神聖さを失った法律は、公正や正義を維持するためではなく、流行りの概念や欲望を表現する手段となった。これにより、人類は共産邪霊に扉を開いた。邪霊は代理人を使って社会を根底から覆す法律を次々と作らせた。その目的は、人類の壊滅である。

共産主義のいわゆる「正義」と現代的なリベラル派(自由主義)の影響を受けたアメリカでは、自由、進歩、寛容が推進され、法律や社会の基礎となる道徳が破壊された。この自由主義の概念に影響を受けた判事たちが法律を作成し、その解釈に大きな影響を与えている。

結婚を例に説明しよう。結婚は伝統的な信仰に基づく神聖な契約であり、男女の結束を意味する。同性婚は神の教えに反し、その概念を社会に導入する場合、結婚法の定義や解釈の見直しが必要となる。もし人々が神に由来する社会基準に同意すれば、道徳が変化することはなく、法律も安定するだろう。神が2千年前に不道徳であると定めた行為(同性愛のこと)は、現代においても不道徳なのである。

一方、自由主義は伝統的な信仰と道徳を否定する。彼らにとって、道徳とは世俗的な契約に過ぎず、社会の発展に伴って変化するものである。彼らの結婚とは二者間で交わす単なる契約に過ぎない。表面的に自由と進歩を象徴しているように見える同性婚は、必然的に法の腐敗を招く。

自由主義と進歩主義は、正義から伝統的な道徳を切り離した。この現象は、1992年の堕胎に関する最高裁での判決が明確に表している。3人の判事は次のように述べた。「われわれの内の何人かは、個人的に、堕胎は基本的な道徳の原則に反すると感じている。しかし、それはわれわれの判決を左右できない。われわれの義務はすべての自由を定義することであり、われわれ自身の道徳律を命じることではない」【13】

つまり、法律は道徳よりも自由を優先し、自由の価値観と道徳は切り離して考える、と判事は言っているのだ。忘れてはいけないのは、アメリカ建国の父たちが定義した自由は「自明の」理であり、神から与えられたものである。創造主が定めた普遍的な道徳の基準を否定し、いわゆる「自由」の幅を広げることは、まさに悪魔が利用する手口である。それは法律を歪め、人類を堕落させていく。

 

b. 立法と公布の権力を掌握

新法が作られるまでには、さまざまな段階がある。法案の起草、政治的な働きかけ、合法性の判断、法執行機関による実施があり、専門家、団体、メディア、法曹界、芸能界などがその過程に影響を与える。

共産邪霊はこの過程を支配するために、社会の隅々に代理人を置いた。ロビー活動家たちは、司法機関に次々と左翼の人間を送りこんだ。彼らが判事や検事となり、司法界の重要なポストは左翼で埋まった。

大統領は彼の権限で、自分の思想に近い人間を最高裁の判事に任命できる。判事は法律を歪曲することも、その権力を行使して法の網をくぐることも可能である。歴史的に、自由主義のアメリカ大統領は、より多くの恩赦を与える傾向がある。つい最近の政権では、自由主義の大統領が1385人に減刑措置、および212人に恩赦を与えた。これはハリー・トルーマン大統領以降最多である。【14】 また、大統領は退任直前、209人に減刑、および64人に恩赦を与えた。恩赦の対象は主に暴力を伴わない麻薬犯罪者だが、中には70万件の軍事機密を漏えいして有罪となった者もいる。彼は大統領の寛大な措置により、35年の刑期を4年で終えた。【15】

歴史的に、大統領が政権末期に恩赦を与えるのは珍しくないが、やりすぎると法律の機能を害することになる。法律とはそもそも、犯罪者に罰を与え、善良な市民を守るためにあるのだ。

1954年、当時上院議員だったリンドン・ジョンソン(Lyndon B. Johnson、後に米大統領に就任)は、「ジョンソン修正条項」を導入し、教会を含む非営利団体(NPO)の政治活動を禁止した。違反すると免税措置を受けられなくなるため、一部の教会は政治的な話題を避けるようになった。牧師たちは、中絶、同性愛、安楽死、幹細胞研究などの問題に触れることができなくなった。

また、共産邪霊は政治団体を操り、選挙で就任した検事を通して司法機関をコントロールした。進歩主義の後援者を持つある首席検事は、就任最初の週に31人の検察官を解雇した。さらに彼は、「大量投獄」をストップせよとの号令のもと、マリファナ保持者に対する起訴を取りやめるよう命じた。同様の動きは他州にも広がった。政治団体の後ろ盾を得た検事が、あえて法律を無視するという現象が起きている。【16】

さらに、判事は行政部門からの命令を取り消す権限を持っている。例えば、アメリカ大統領は、アメリカ移民法に基づき、緊急事態の時には外国人の入国を拒否できる。一方、自由主義に影響された一部の連邦裁判事は、大統領が出した入国禁止令について、宗教的差別であると述べた。判事らによる執行差し止めにより、この大統領令は最高裁が認めるまで4カ月も据え置きとなった。

一方、弁護士も判決に大きな影響を与え、弁護士団体の政治色も法律を左右する。ある有名な団体の設立者は、自分が社会主義者であること、国有化を支持し、最終的には共産主義を目指していることを公に認めている。【17】 この団体は全国で数万人のメンバーを擁し、年間数百万ドルの報酬があるという。彼らが扱う訴訟は、同性婚、同性カップルの養子縁組、中絶の権利、同性愛偏見、バイセクシャル(両性愛)などである。

自由主義と進歩主義が主要な政治ポストを独占し、学界、メディア、社会運動に浸透している。そのため、悪魔が司法と裁判を強力に制御できるのである。

 

c. 邪悪な法律を作る

神への称賛を禁止する

アメリカにおいて、神は生活のどこにでも現れる。この国のモットーは、「われわれは神を信じる」である。このフレーズは広く知られており、1ドル紙幣にも印刷されている。アメリカ独立宣言は、創造主である神が人間に人権を与えたと明記している。大統領や判事を含むすべてのアメリカ政府高官は「神に誓って」と宣誓する。大統領演説の結びは「アメリカに神の祝福を」というのが定番だ。アメリカの公立学校で行う忠誠の誓いには「神の下の一国家」が含まれる。

一部の伝統は200年以上前から続き、ほぼアメリカ合衆国の歴史と同じである。しかし、ここ60年間、この伝統は共産主義者たちの脅威に晒されてきた。

例えば、ある弁護士協会は公衆の面前に飾られた十戒を撤去することを要求した。最も有名なのは、アラバマ州モンゴメリーで起きた訴訟である。2001年、協会は州裁判所の円形ドームに掲げられた十戒の板を取り外すよう要求した。当時の判事は民主党の大統領が任命した人物だった。76ページに及ぶ評決書に基づき、判事は協会に有利な判決を下したが、具体的な内容はバカバカしいものだった。判事によれば、「円形ドームの厳粛な雰囲気」、石板の後ろに書かれたフレスコ画、滝をイメージして描かれた窓の絵が、十戒を取り外すのに十分な理由になると言う。傾斜した石板の上部が聖書に似ているし、それを見た人に、「アラバマ州がキリスト教を推進し、承認し、えり好みしていると思わせる」という。【18】

この話には続きがある。1980年、最高裁は公立学校から十戒を取り外すことを命じた。この判決をきっかけに、十戒の撤去が全国で行われるようになった。ユタ州のアメリカ自由人権協会は、十戒の銘板や看板を通報したら報酬を与えるとまで発表した。【19】

2002年6月26日、ある巡回裁判所は、公立学校での「忠誠の誓い」を禁じる判決を下した。誓いの言葉に「神」という言葉が含まれているからである。この判決は、2004年6月14日に最高裁によって覆された。【20】

この法的な争いは今でも続いている。アメリカ国歌、国のモットー、忠誠の誓い、学校の礼拝などは全て、無神論者や左翼活動家たちの攻撃の対象となった。

ここで簡単に説明するが、上記に述べた「神」は一般的な神、あるいはアメリカ独立宣言にある「創造主」のことである。さまざまな宗教があり、またそれぞれに創造主に対する認識があるだろう。従って、「神」という言葉は特定の宗教を指すものではなく、またアメリカ憲法に違反するものでもない。

深い信仰を持っていた国家において、公に神を称賛することが禁じられた。悪魔が法曹界に浸透し、国の司法制度を支配しているのである。

 

憲法の精神を歪曲するー解釈と判例法

アメリカ憲法を起草するにあたり、建国の父たちは権力を分立させ、特に司法の権力を最小にした。連邦議会(立法)が法律を可決し、大統領(行政)は法に基づいて実行するが、最高裁(司法)には立法や統治の権限はない。

最高裁が「忠誠の誓い」についての審問を行っている間、アンケート調査では90%のアメリカ人が「神のもとで」という言葉を残したいと回答した。下院では、言葉の保持に賛同する416票に対して、反対は3票だった。【21】 上院では、99票が賛成、反対票はゼロだった。【22】 議会の決定は、アメリカ市民の意志を代表していた。

市民の代表として選ばれる大統領や議会メンバーの任期は2年から6年である。市民や主流社会が神の基準に導かれる限り、政治家が左翼に偏る危険は少なくなる。例えば、主流社会が同性婚に反対していれば、政治家たちはその運動を支持しなくなるだろう。政治家が民意に逆らえば、次の選挙で落選する可能性があるからだ。

一方、最高裁の判事は公衆の意見を聞く必要はない。彼らの任期は一生保障されているからだ。さらに、最高裁の判事はたったの9人である。主流社会の民意を変えるよりも、この9人の決定に影響を与える方が比較的簡単である。

判事は法律に従って判決を下す。法律は憲法に基づいて可決されたり、廃止されたりする。従って、法律によって社会を変えるには、憲法を変える必要がある。アメリカの憲法修正には、議会の3分の2の支持と、全州の4分の3の承認を必要とする。これらの厳格な規定が憲法修正を難しくしている。

従って、進歩主義者たちは憲法を変えるのではなく、その解釈を歪める戦略をとった。彼らは憲法を「生きた」「進化する」書面とみなし、最高裁で前例を作らせ、左翼の概念を法律にねじ込んだ。彼らはこっそりと憲法上に彼らの意図を刷り込み、憲法を破壊するに等しいことを行った。

今日、神の十戒は、すでに最高の原則ではなくなった。自由主義の最高裁判事たちによって、憲法の権威は地に落ちた。最高裁の判決は最終であり、大統領さえ敬意を払う必要がある。建国の父たちが定めた三権分立の中で、司法はさらに力を増してきた。

自由主義の最高裁判事たちがアメリカ社会にもたらした影響は深刻である。目下のところ、最高裁は審問を通して、学校や公衆空間からの十戒の撤去、刑事訴訟の書き換え、税金の値上げ、中絶や同性婚、ポルノの出版や掲示などを許可できる。

司法の権力の増大、および自由主義の判事たちの判決は、共産邪霊にとって都合のいい道具である。邪霊は彼らを利用して目的を達成しようとしている。

 

自由の名のもとで推進される猥褻(わいせつ)物

1960年代はアメリカの転換期である。反戦運動、ロック、ヒッピー(反体制)文化、フェミニスト(男女同権論者)運動、性の解放、反伝統などが繰り広げられ、国全体が混乱した。

当時、最高裁長官を務めたのは自由主義派のアール・ウォーレン(Earl Warren)である。彼は任期中、学校内での礼拝の禁止【23】、性的な内容を含む本の発行許可など、あらゆる方面で影響力を行使した。【24】

法学者フィリス・シュラフリー(Phyllis Schlafly)は著書『至上主義者:判事の圧政とその止め方』(The Supremacists: The Tyranny of Judges and How to Stop It)の中で、1966年から70年にかけて最高裁が裁決した統計を紹介している。それによると、最高裁は下級裁判所が禁じた34件の猥褻な内容に対し、承認する判決を下している。【25】 最高裁の判決文に署名はなく、ほとんどは1行か2行である。つまり、判事たちはその決定の正当性について説明する気などない。

1966年、ハリウッドは猥褻な内容に対する規制を緩和した。あらゆる淫らなシーンが映画に盛り込まれ、社会の隅々に充満し、今日の状態に至った。

アメリカ合衆国憲法修正第1条は言論の自由を保障している。それは、政治的な意見を述べる権利のことであり、ポルノを製造して拡散するための権利ではない。

麻薬の合法化

新年を迎えようとする2017年12月31日、CNNは女性記者がマリファナを吸っている場面を報道した。明らかに彼女は頭が混乱し、周りで起こっていることが認識できなくなっている。その後、テレビ局には批判が殺到した。【26】

1996年、カリフォルニア州は全米で初めてマリファナを合法化し、その他の州も後を追った。2012年までに、コロラド州とワシントン州がマリファナの「娯楽使用」を承認した。つまり、麻薬の乱用を認めたのである。この二つの州では、マリファナの植栽、製造、成人への販売を法的に認めている。2018年6月、カナダ政府は、マリファナの使用は近いうちに、全国で合法化されるだろうと発表した。

人体への影響はともかく、麻薬は心理的な依存症を引き起こす。薬物中毒者は麻薬を入手するために、どんな不道徳なことでもやってしまう。一方、麻薬合法化支持者の言い分は、麻薬を合法化すれば、違法な密売が減少するという。合法化して厳しい規制をかければ、麻薬関連の犯罪を減らせると主張する。

麻薬の合法化により、州政府は数十億ドルの収入が期待できるという意見もある。しかし、大勢の人々が依存症になれば、勤労意欲の喪失、健康や生産性の低下といった社会問題が起き、経済的な損失は避けられないだろう。長期的に見れば、麻薬の合法化が政府の収入を増やすことはない。

さらに、善悪は経済的利益で決めるものではなく、神の基準で決めるべきである。人間の身体は神に似せて造られた神聖なものである。西洋の宗教では、人間の身体は「聖霊が宿る宮殿である」と伝えられている。東洋では、人間は修煉を通して、仏あるいは道に成就できるという信仰がある。薬物乱用は、神聖なものに対する冒とくである。

ロサンゼルス・タイムズ紙によると、アメリカで麻薬合法化のロビー活動を積極的に行っているのは、進歩主義の富裕層であるという。【27】 2017年3月、6人の上院議員が、ある人物が潤沢な資金を投入して保守的な政府を転覆させようとしているとして、調査依頼の手紙をアメリカ国務省に送っている。【28】

麻薬の合法化は、人間に対する抑止を取り外し、神との絆を失うきっかけとなる。社会が混乱し、景気が下降すれば、さらに共産主義が政治的権力を増すことになるだろう。

 

同性婚の合法化

旧約聖書の「創世記」に登場するソドムという都市は、神によって滅ぼされた。その地に住む民が同性愛の罪を犯し、神の怒りに触れたからである。同性同士の性交渉を英語で「ソドミー」(sodomy)とうのは、この逸話が由来である。聖書について少しでも知識のある人は、同性愛が神の意志に反することを知っているだろう。

2015年6月、最高裁は5対4の多数決で、同性婚を認める判断を示した。【29】 当時のアメリカ大統領はこの判決を支持し、ホワイトハウスの公式ツイッターにLGBT(性的少数派)を象徴する虹色の旗を掲げた。これにより、最高裁は同性間の結婚を認めない州法を違憲とし、事実上全米で同性婚が合法化された。

2015年8月、ケンタッキー州ローワン郡の公務員は、自身の信仰に反するとして、同性カップルに対する結婚許可証の発行を拒否した。連邦地裁は彼女を法廷侮辱罪で逮捕するよう命令し、彼女を5日間収監した。【30】裁判所は、憲法で保障されている信仰の自由を侵したのである。

最高裁が同性婚の合法化に有利な判断を示した時、元アーカンソー州の州知事で共和党のマイク・ハッカビー(Mike Huckabee)は、「司法による専制政治である」と言った。【31】

憲法学者のフィリス・シュラフリー(Phyllis Schlafly)は、判事が社会の道徳を破壊する9つの手段を挙げている。憲法の書き直し、神の承認の検閲、結婚の再定義、米国主権を脅威に晒すこと、ポルノの推進、フェミニズム(女権拡張運動)の支持、障がい者法の規定、選挙介入、税金の強制である。【32】

2017年の時点で、25の国と地域が公式に同性婚を認めた。その中にはアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、スウェーデン、ポルトガル、ベルギー、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどの先進欧米諸国が含まれる。これは不穏な事態である。法律が道徳基準を押しつけ、違う方向へと引っ張っている。伝統的な道徳律から逸脱した行為を合法化するというのは、政府や司法が人々を誘導して神の戒律を破らせているのに等しい。

「政治的に正しい言葉遣い」(ポリティカル・コレクトネス)が幅を利かせている社会で、この現象を批判すると、(個人、市民団体、あるいは宗教団体であっても)、すぐに法的・政治的な議論に発展し、最終的には言論の自由が抑圧され、批判した人は罰を受ける。不道徳な行為が合法化された結果、どんな反対意見も違憲として処罰の対象となる。そのいい例が性差別問題に対する反対意見の制限である。法律によって、人々は自分で道徳基準を判断する能力を失ったのである。法律が同性愛を推進し、人々を底なしの欲望と堕落へと導いているのである。

 

個人的な責任の放棄

伝統的な宗教は、個人の責任を重視していた。聖書の『エゼキエル書』には、善悪の例えとして父と子の寓話が書かれている。つまり、親子であっても、お互いはそれぞれの行動に対する責任を自分で負わなければならない。聖書にはさらに、「蒔いたものは刈らねばならない」と書かれている。中国では、よい人には善報があり、悪い人には罰が下ると信じられている。

自由は責任を伴う。人間は自分の考えや表現、行為を選ぶ権利を持つが、それに対して責任を負わなければならない。もし罪を犯せば、彼は相応の罰を受ける。これが正義の原則である。しかし、自由主義の判事たちは、その罪の原因を社会的な要因になすりつける。犯罪の原因は経済的な問題、あるいは人種問題、身体的・心理的な理由、その他の統計学上の理由だと主張し、犯罪者が負うべき法的責任を回避させるのである。

 

d. 法律の執行を制限する

自由主義の影響のもと、多くの判事は故意に法の執行機関を縮小し、犯罪に目をつぶる。共産邪霊の目的は国家機関を麻痺させることである。政府の権力を増大し、革命を起こすのに有利な環境を造る。

多くの州は極左の法律を適用している。いわゆる「聖域条例」である。聖域都市(Sanctuary City)では、逮捕した外国人の移民的地位を警察が尋問することは禁止されている。警察が外国人の移民状況を知る目的で活動することも禁じられている。

これが深刻な社会問題をもたらしている。2015年7月、不法移民のノゼ・ザラテ(Jose Ines Garcia Zarate)がサンフランシスコのフィッシャーマンズワーフで若い女性を銃撃し、殺害した。ザラテは麻薬、強盗、武器所持を含む7回の犯罪歴があり、5回も国外退去させられていた。サンフランシスコ市が聖域都市法を承認すると、ザラテは釈放され、連邦移民局による6回目の国外退去を免れた。

裁判では容疑者の権利を保護するために厳しい基準が設けられている。もし悪知恵の働く容疑者であれば、あるいは彼が法律に詳しく、敏腕弁護士を雇うことができれば、裁判をいくらでも引き延ばすことができる。明らかに有罪の容疑者に対しても、罰を科すことは難しい。

また、性の解放が浸透し、性的虐待によるダメージはほぼないとする研究結果を根拠に、性犯罪者に対する減刑も目立っている。【33】

政府予算や囚人の権利などの理由から、多くの犯罪者が減刑措置を受けている。しかし、その背景にあるのはポリティカル・コレクトネスである。これで法律の力を弱め、社会を混乱させ、政府を大きくすることが真の目的だ。

公平に法律を適用するならば、極悪非道な犯罪に対しては厳罰に処すべきである。古代、殺人に対する罰は死刑だった。一方、一部の国家や地域では、人類愛、寛容、生命の尊重を理由に極刑を廃止している。

歪んだリベラル(自由主義)の影響により、一部の人々は囚人の権利を主張する。しかし、彼らは囚人が犯した罪の重さや、被害者の気持ちについては黙止する。殺人者の食事や居場所は税金によって賄われている。犯罪者が自由を失うことと、殺害された被害者および遺族の悲痛は、果たして公平だと言えるだろうか?

アメリカの多くの研究者は、極刑が犯罪抑止に効果があると認めている。ヘリテージ財団のシニア政策学者デービッド・マルホーセン(David Muhlhausen)は、2007年上院司法委員会で、極刑は犯罪を抑止し、命を救えると証言した。

1990年代、エモリー大学のポール・ルビン(Paul Rubin)を含む3人の教授が犯罪と刑罰についての研究を発表した。全米3千の都市や町で起こった20年間の犯罪統計を分析した結果、「処刑一回につき、平均して18件の殺人事件が減少している」と報告した。【34】

死刑に反対する人でさえ、その抑止効果を認めざるを得ないだろう。

自由と司法の概念を極端に押し広げた結果、悪魔が法律を歪め、その神聖な領域を侵したのである。

 

e. 外国の法律に脅かされるアメリカ

自由主義の判事たちは、自分の意見の根拠となる言葉をアメリカ憲法に見つけられない場合、他国で可決された法律を引用する。

例えば、ローレンス対テキサス州事件(2003年)がある。これは、テキサス州が同性愛者による性行為およびオーラルセックス(口腔性交)を禁じたテキサス州刑法の規定を違憲無効とした、2003年のアメリカ最高裁の判決である。最高裁の判事は自分の意見の根拠として、アメリカ外の権威筋の言葉を引用し、同性愛は「多くの国で、人類の自由に不可欠な要素である」と述べた。【35】 この判決により、他の13州で同様の規定が廃止された。

共産主義がさまざまな形で世界に広がっている。アジア、ヨーロッパ、アフリカ、南米で社会主義が影を落としている。ジンバブエやベネズエラは社会主義を実施している。自由社会に見えるカナダでさえ、その影響から逃れられない。

グローバル化の潮流に飲まれ、各国の距離が近くなった。社会主義を国内に導入したいアメリカの判事たちは、世界の慣習に準じるという名目で判例法を使い、憲法の精神を汚している。自由社会のリーダーであるアメリカでさえこの有様だから、全世界が共産主義に対抗するのは非常に難しいのである。

 

4. 法の精神を復活させる

今日、神が与えた戒律に基づく法律が冒とくされている。悪魔は人類社会の道徳を破壊するために司法制度を利用した。反伝統で不道徳な司法制度が法律の権威を弱め、社会秩序を脅かしている。社会の混乱を「解決」するには、大きな政府が必要だという主張がまかり通る。

フランスの哲学者アレクシ・ド・トクヴィル(De Tocqueville)は、信仰を失った民を統治できるのは、専制国家のみであると警告している。歪んだ法律は正統な信仰を脅かし、社会はより独裁国家へとつき進む。

悪魔が法律を支配したら、人類を堕落させるのは容易である。とすれば、人々に残された選択肢は二つである。権力に従うことを拒否するか、あるいは良心に反して堕落した法律に従うか。前者は法律の破壊を意味する。アメリカの法学者ハロルド・バーマン(Harold Berman)が述べたように、「法律は信じられなければならない。そうでなければ、それは名ばかりのものになってしまう」。【36】 後者は、道徳の堕落に拍車をかけ、社会と法律が競って人々を底なし沼へと引きずりこむ。どちらにしても、社会はこの邪悪な渦から逃れられない。

1958年に出版された著書『裸の共産主義者』(The Naked Communist)には、共産主義者がアメリカを転覆するために掲げた45の目標が書かれている。そのうちの7つは司法に関するものだ。【37】

16番目の目標:アメリカ政府の行為は市民権を侵害していると主張して、裁判所にアメリカの基本的な機関を弱めるような判決を出させること。

24番目の目標: 検閲、表現の自由の侵害、芸術の自由の侵害を理由にして、わいせつ物を取り締まる法律を無くすこと。

29番目の目標:米国憲法を、不十分で、古臭く、現代の必要性に合致しておらず、世界各国との協調の妨げになっているとして貶めること。

33番目の目標:共産党組織の運営を妨げるあらゆる法や手続きを無くすこと。

38番目の目標: 逮捕権の一部を警察から社会福祉機関に移転させること。精神科医にしか理解できず取り扱えない、精神失調のような行動上の問題を全て取り扱うこと。

39番目の目標:精神科の専門職を独占し、精神医学を共産党の目的に反対する者を強制的に制御する手段として使用すること。

45番目の目標:Connally Reservationを無効にし、アメリカの国内問題に国際司法機関が介入するのを防げないようにすること。国際司法機関の権限が国家と個人に同様に及ぶようにすること。

上記に掲げられた目標と、これまでに実現された法律を見れば、共産主義がすでに根を張りめぐらし、アメリカの法律と司法を脅かしていることが分かるだろう。

共産国家、あるいは欧米諸国であっても、国が憎悪の政策を勧める真の目的は、法の精神を汚すことである。つまり、神に対する畏敬と伝統的な道徳に対する攻撃である。

もしわれわれが、神の定めた道徳を放棄し、善悪の基準が分からなくなったら、われわれは独立した司法を失い、共産邪霊に降伏することになる。共産主義に染まった邪霊の代理人たちは法律を利用して高潔な人を抑圧し、邪悪な人を持ちあげるだろう。代理人たちは、人類を壊滅させるという邪霊の計画を無意識に実行している。この潮流を巻き返すのに、時間はあまり残されていない。

 

参考文献

[1] Harold J. Berman, The Interaction of Law and Religion (Nashville: Abingdon Press, 1974), 51–55.

[2] 班固,《漢書·董仲舒傳》.

[3] Berman, The Interaction of Law and Religion.

[4] W. Cleon Skousen, The Naked Communist (Salt Lake City: Izzard Ink Publishing, 1958, 2014).

[5] Sergey Nechayev, The Revolutionary Catechism, 1869. https://www.marxists.org/subject/anarchism/nechayev/catechism.htm.

[6] Vladimir Lenin, The Proletarian Revolution and the Renegade Kautsky,  https://www.marxists.org/archive/lenin/works/1918/prrk/common_liberal.htm.

[7] 李玉貞, 〈一部顛覆性著作:《二十世紀俄國史》〉,《炎黃春秋》2010年第十期.

[8] A. N. Yakovlev, “To Chinese Readers (Preface to the Chinese Edition),” Bitter Cup: Russian Bolshevism and Reform Movement, trans. Xu Kui et. al., (Beijing: Xinhua chubanshe, 1999), 10.

[9] “Commentary Seven: On the Communist Party’s History of Killing,” Nine Commentaries on the Communist Party, The Epoch Times, http://www.ninecommentaries.com/english-7.

[10] On March 15, 1999, the “Amendment of the Constitution of the People’s Republic of China” adopted at the Second Session of the Ninth National People’s Congress inserted in Article 5 of the Constitution: “The People’s Republic of China implements the rule of law and builds a socialist country ruled by law.” See An Linxian, “Constitutional Principles and Governing the Country by Law,” www.people.com.cn, November 2, 2006, http://legal.people.com.cn/GB/43027/73487/73490/4990833.html.

[11] 歐陽非:〈紅色荒唐言論〉,明慧網,2015年1月8日,http://www.minghui.org/mh/articles/2015/1/8/302850.html.

[12] Francis Bacon, “Of Judicature,” Essays, Civil and Moral, http://www.notable-quotes.com/b/bacon_francis_viii.html.

[13] Planned Parenthood of Southeastern Pennsylvania v. Casey (Nos. 91–744, 91–902).

Quoted in “The Supreme Court; Excerpts From the Justices’ Decision in the Pennsylvania Case,” The New York Times, June 30, 1992,

https://www.nytimes.com/1992/06/30/us/the-supreme-court-excerpts-from-the-justices-decision-in-the-pennsylvania-case.html.

[14] Tom Murse, “Number of Pardons by President,” ThoughtCo, March 09, 2018, https://www.thoughtco.com/number-of-pardons-by-president-3367600.

[15] Gregory Korte, “Obama Commutes Sentence of Chelsea Manning in Last-Minute Clemency Push,” USA TODAY, January 17, 2017, https://www.usatoday.com/story/news/politics/2017/01/17/obama-commutes-sentence-chelsea-manning/96678814/.

[16] Paige St. John and Abbie Vansickle, “Here’s Why George Soros, Liberal Groups Are Spending Big to Help Decide Who’s Your Next D.A.,” Los Angeles Times, May 23, 2018, http://www.latimes.com/local/california/la-me-prosecutor-campaign-20180523-story.html.

[17] Affidavit of Roger N. Baldwin, December 31, 1938, Investigation of Un-American Propaganda Activities in the United States. Hearings before a Special Committee on Un-American Activities, House of Representatives, 75th–78th Congress, 3081–3082.

[18] Phyllis Schlafly, The Supremacists: The Tyranny of Judges and How to Stop It (Minneapolis, MN: Richard Vigilante Books, 2006), 26–27.

[19] Phyllis Schlafly, “Pots of Gold Behind Crosses and Ten Commandments,” The Eagle Forum Report, June 4, 2004, http://eagleforum.org/column/2004/june04/04-06-23.html.

[20] “The U.S. Pledge of Allegiance: Circuit Court Decision, Reactions, etc.,” Religious Tolerance, http://www.religioustolerance.org/nat_pled3.htm.

[21] Passed/agreed to in House: On Motion to Suspend the Rules and Agree to the Resolution Agreed to by the Yeas and Nays: (2/3 required): 416 – 3, 11 Present (Roll no. 273) https://www.congress.gov/bill/107th-congress/house-resolution/459.

[22] Submitted in the Senate, Considered, and Agreed to without Amendment by Yea–Nay, 99–0, June 26, 2002, https://www.congress.gov/bill/107th-congress/senate-resolution/292.

[23] Schlafly, The Supremacists: The Tyranny of Judges and How to Stop It, 30.

[24] 同上. , 58.

[25] 同上. , 60–61.

[26] “CNN Revels in Pot Smoke during New Year’s Eve Report from Denver,” Fox News, January 1, 2018,  http://www.foxnews.com/entertainment/2018/01/01/cnn-revels-in-pot-smoke-during-new-years-eve-report-from-denver.html.

[27] Patrick McGreevy, “Billionaire Activists like Sean Parker and George Soros Are Fueling the Campaign to Legalize Pot,” Los Angeles Times, November 2, 2016,  http://www.latimes.com/politics/la-pol-ca-proposition64-cash-snap-20161102-story.html.

[28] Adam Shaw, “GOP Senators Ask Tillerson to Probe US Funding of Soros Groups abroad,” Fox News, March 15, 2017, http://www.foxnews.com/politics/2017/03/15/gop-senators-ask-tillerson-to-probe-us-funding-soros-groups-abroad.html.

[29] Ariane de Vogue and Jeremy Diamond, “Supreme Court Rules in Favor of Same-sex Marriage Nationwide,” CNN News, June 27, 2015, https://www.cnn.com/2015/06/26/politics/supreme-court-same-sex-marriage-ruling/index.html.

[30] Todd Starnes, “Kentucky Clerk: ‘This is a fight worth fighting,” Fox News, September 3, 2015, http://www.foxnews.com/opinion/2015/09/03/kentucky-clerk-am-prepared-to-go-to-jail.html.

[31] “Attorney for Kim Davis Speaks out, Huckabee Blasts ‘Judicial Overreach’ in Case,” Fox News, September 8, 2015, http://www.foxnews.com/transcript/2015/09/08/attorney-for-kim-davis-speaks-out-huckabee-blasts-judicial-overreach-in-case.html.

[32] Schlafly, The Supremacists: The Tyranny of Judges and How to Stop It (Minneapolis, MN: Richard Vigilante Books, 2006).

[33] The Stop the Kinsey Institute Coalition, “Kinsey Helped Undermine Laws Protecting Women & Children,” http://stopthekinseyinstitute.org/more/undermining-laws/.

[34] 曹長青:〈絕不應廢除死刑〉,《中國報導週刊》,2015年6月7日, http://www.china-week.com/html/6405.htm.

[35] Schlafly, The Supremacists: The Tyranny of Judges and How to Stop It, 49.

[36] Berman, The Interaction of Law and Religion.

[37] Skousen, The Naked Communist.

 

つづく 第十一章 芸術を冒涜する

 

『悪魔が世界を統治している』

目次

序章

第一章   人類を壊滅する邪悪の陰謀

第二章   始まりはヨーロッパ

第三章   東側での大虐殺

第四章   革命の輸出

第五章   西側への浸透(上)

第五章   西側への浸透(下)

第六章   神に対する反逆

第七章   家族の崩壊(上)

第七章   家族の崩壊(下)

第八章   共産主義が引き起こした政治の混乱(上)

第八章   共産主義が引き起こした政治の混乱(下)

第九章   共産主義がしかけた経済的な罠(上)

第九章   共産主義がしかけた経済的な罠(下)

第十章   法律を利用する邪悪

第十一章  芸術を冒涜する

第十二章  教育の破壊(上)

第十二章  教育の破壊(下)

第十三章  メディアを乗っ取る

第十四章  大衆文化―退廃と放縦

第十五章  テロリズムのルーツは共産主義

第十六章  環境主義の裏にいる共産主義(上)

第十六章  環境主義の裏にいる共産主義(下)

第十七章  グローバル化の中心は共産主義

第十八章  中国共産党のグローバルな野望(上)

第十八章  中国共産党のグローバルな野望(下)

おわりに

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長い歴史の中で、人類は壮麗かつ輝かしい文明を築いたが、一方で幾多の悲劇と災難をも経験した。歴史を振り返ると、道徳は公正な政治、経済力、成熟した文化、国家の繁栄をもたらすことが分かる。一方、道徳が退廃すれば国家は衰退し、文明は壊滅する。
東欧の共産主義陣営はすでに崩壊した。しかし、共産主義の邪霊が消滅したわけではない。実際、この悪魔はすでに世界を統治している。人類は決して楽観視することが許されない。
ソビエトと東欧を支配していた共産主義政権の崩壊は、半世紀にわたって続いた東西冷戦の終わりを告げた。多くの人々は共産主義をすでに消失したものとみなし、過去の遺物になったと楽観的だった。しかし、実際には、共産主義のイデオロギーは変質した形で世界中に浸透し、着実に根を下ろしていた。
人類を壊滅する邪悪は何世紀にもわたって、系統的で緻密な陰謀を仕掛けてきた。その企みは社会現象から大衆運動、政府の上層部にまで至り、歴史をまたにかけ、世界中で人類を誘導し、根絶するために、絶え間なく実行されてきたのである。
すべてのドラマには終わりがある。悪魔は人類を壊滅させるべく按排したが、全能の創造主は、彼の方法で世界を覚醒させ、悪魔の束縛から解き放ち、人間を救い済度しようとした。今は、創造主が到来する前の末劫の時期である。現在、繰り広げられているのは、最終的な善と悪の戦いである。