苦しみに絶えられず自殺する人がいます。人は死んで本当に終わりなのでしょうか?洋の東西に関わらず、伝説や古典では自殺について考え方が同じで、自殺した人は罪を償うために死後も生前の何倍も苦しむと見ています。
『神曲』は13世紀から14世紀にかけてのイタリアの詩人・政治家、ダンテ・アリギエーリの代表作です。地獄篇、煉獄篇、天国篇の3部から成り、イタリア文学最大の古典とされ、世界文学史にも重きをなしています。
『神曲』において、地獄の世界は、漏斗状をしていて、最上部の第一圏から最下部の第九圏までの九つの圏から構成されます。地獄の階層は下に行くに従って罪は重くなり、受ける罰も重くなります。自殺した者は第七圏の第二環にいます。
第七圏の第二環は「自殺者の森」で、自ら命を絶った者がここでねじ曲がった奇怪な樹木と化して女面鳥身のハルピュイアに葉を啄ばまれます。
ピエロは神聖ローマ皇帝、フリードリヒ2世の大臣で、娼妓が彼を反対するよう多くの人に煽り立てたため、羞辱に絶えられず死によってこの侮辱から逃れると思い、自ら命を絶ちました。死んだ後、ピエロは「自殺者の森」に落ち、灌木になりました。もし誰かが木の枝を折ると、血が流れ、ピエロは激痛を感じます。
自殺の罪は、自分に暴力を振る舞い、肉体を消滅したという罪で、自殺した人はこの第七圏の「自殺者の森」に落ち、彼らの魂は種のように植えられ、 灌木となります。長年、毎日のようにハルピュイアが自殺者の身体である木の葉を啄ばみ、彼らに苦痛を与えます。彼らは永遠に解放されることのない罰を受け続け、人間として生まれ変わることは極めて難しいことです。
ダンテの『神曲』では例外もあり、自由のために戦い、敵への降伏を拒んで自害したカト(Cato)は、最後の審判の日の後、自分の体を取り戻し、天国に登りました。
参考資料:
『神曲』
(翻訳編集・唐玉)
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