在米シンガポール人、中国のために諜報 司法省が起訴(GettyImages)

在米シンガポール人、中国のために諜報 罪を認める

米司法省は7月24日、中国政府のために諜報活動を行っていたとして起訴したシンガポール人が、外国代理人としての違法行為に及んだとして罪を認めたと発表した。

米捜査当局はシンガポール人のジュン・ウェイ・ヨー(ディクソン・ヨー、Dickson Yeo)被告を、2019年11月に米国入国後に逮捕した。このほど、米首都ワシントンの連邦裁判所が開かれ、出廷した。司法省は、公式ページの最新公開情報のなかで、ヨー被告の裁判について詳述した。

それによると、ヨー被告は2015~19年の間に、中国の情報機関のために「高度な安全保障情報を持つ米軍や、非公開情報にアクセスできる米政府関係者らと接触し、評価していた」。

ヨー被告は米国の高レベル層の人材に、自身が運営するコンサル企業から「アジア地域の顧客」の名目で報告書の執筆を依頼した。一件あたり2000ドルで、報告書は結果的に中国政府に送付されていたという。

ジョン・デマーズ(John Demers)司法次官補(国家安全保障担当)は発表文書で、ヨー被告が「キャリア関連のネットワーキング(人脈づくり)サイトや、偽のコンサルティング企業を使い、中国政府が関心を持つ可能性のある米国人を雇用していた」と指摘した。

裁判記録によると、ヨー被告は、中国の諜報機関の支援を受けてコンサルティング企業を設立。中国政府が入手を図る情報を持つ米国人400人以上の履歴書を受け付けていた。そのうちの90%は、米軍や政府関係者のもので、中国の諜報員が興味を持ちそうな人物の履歴書も、中国側に提出していた。

さらに、仕事への不満や資金難に直面しているなど弱みを持つ人物を選び出していた。そのなかには、米空軍のF-35Bステルス戦闘爆撃機プログラム開発に関わった民間人、アフガニスタン紛争に参加経験のある国防総省将校、国務省の関係者などが含まれる。

ヨー被告は、シンガポール国立大学教員時代に中国の諜報機関にスカウトされた。中国渡航の際に何十回も中国の工作員と面会し、特別な訓練を受けていたという。

デマーズ司法次官補はさらに、昨今の米中関係の悪化から、米国人が中国共産党に対して疑心暗鬼になっていると前置きして、「中国政府は(外国人を利用するなど)さまざまな欺瞞的な戦術を用いている」と声明で述べた。また、中国政府が米社会の開放性を悪用した最新事例の一つと付け加えた。

(翻訳編集・佐渡道世)

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