昨年、1回目の緊急事態宣言が出された日本に「マスク警察」と呼ばれる人が出現した。
▼「自粛警察」もいた。マスクを着けていない人、営業自粛をしていない飲食店に、時として高圧的な態度で注意をする。店には、同様の「貼り紙」をする。「この大変な時期にオマエは何で協力しないのか」という同調圧力が肥大化すると、そこだけ突出した正義の「自主警察」がどうしても一部に現れるのだ。
▼日本人は武士道にもとづく「恥の文化」を有している。「人様の前で、恥ずかしいことをしてはならぬ」と幼少時から教育される。通常ならば、これで十分に社会秩序は保たれるので、宗教的な神様をいちいちお呼びしなくてもよい。日本人に合っているという点で、誠に結構な精神文化である。
▼そのため3・11大震災の際にも、日本人は世界が驚嘆するほどの理性的行動をとれた。ただし今回のコロナウイルス、つまり中共ウイルスは、感染症の危険とは別に、人と人との良い関係を分断するという恐るべき悪魔性をもっているのだ。これに対し、日本人の「恥の文化」は総じて弱い。ゆえに、その弱点を自覚して克服すれば、日本の強みとなるはずだ。
▼最近では「ウレタン素材のマスクを許さない」新たなマスク警察がいるらしい。2月2日に出た、筑波大学教授・原田隆之氏の論説「ウレタンマスクを注意する不織布マスク警察が話題。その心理と対処の方法は?」をネットで興味深く拝見した。
▼原田氏は「われわれ全員にできることがあります。コロナがたくらむ対立や分断に抗うことです」という。的確なご指摘である。
【紀元曙光】2021年2月3日
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