ミャンマーのヤンゴンで3月11日、治安部隊との衝突で死亡したチト・ミン・トゥさん (25) を追悼するため、人々は花を供え、祈りを捧げた。(Stringer/Getty Images)

ミャンマーのクーデターを「内閣改造」と表現する中国 ヤンゴンと雲南間では空の便が毎晩往復

中国がミャンマーの軍事クーデターを暗黙に承認した、という噂を中国外務省(外交部)は否定しているが、クーデター後に軍事政権を積極的に支援している可能性がある。オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)2月23日の記事によると、2月下旬に1週間以上にわたりミャンマーのヤンゴン国際空港と中国雲南省の昆明長水国際空港を不定期の旅客機が毎晩のように往復している。

ASPIの記事によると、中国政府は水産物を運搬する貨物便であると主張しているが、両国政府がこれを秘密裏に行っていることから、これが単なる水産物輸送の可能性は低い。 「こうした便を手配した人物は、航空機の往復を必死に隠蔽しようとしている」という。

航空機のトランスポンダは切られており、空港のオンラインでチェックしてもこれは昆明長水国際空港の定期便ではない。輸入した魚類の冷蔵・冷凍食品が2019新型コロナウイルス急性呼吸器疾患(COVID-19)ウイルスの発生源であるというほぼあり得ない説を中国当局が繰り返し主張してきたことからも、ここに来て中国が頻繁に水産物を運搬するという行動も疑わしい。

しかも、衛星画像、ヤンゴン国際空港の労働者、ミャンマーで反クーデター抗議を繰り広げる市民等から詳細情報が収集されている。両空港間の往復には2つの理由が考えられるとする同記事には、「1つは、中国が『Tatmadaw』と呼ばれるビルマ軍による情報とインターネットへのアクセスを支援することを目的として、中国人部隊とサイバー専門家を派遣している可能性である。もう1つは、中国が軍に装備を提供している可能性である」と書かれている。

体制に対する異議を抑制するためにソーシャルメディアサイトを検閲するのは中国の得意技である。同記事によると、中国はとの活発な兵器取引を継続することで経済的利益が得られる。昆明市は中国人民解放軍・成都軍区の第4砲兵旅団の本拠であり、さまざまなシギント部隊やサイバー隊も存在している。

クーデター発生時、中国の国営通信社である新華社通信は国軍による乗っ取りを「大規模な内閣改造」と表現している。ミャンマー情勢について議論するため、開催された国際連合安全保障理事会(国連安保理)の非公開会合では、拒否権を持つ中国とロシアにより、クーデターを非難する国連安保理の取り組みが鈍化した。

ロイター通信によると、ミャンマーの人権状況を調査している国連のアンドリュース特別報告者は11日の国連人権理事会で、ミャンマーでのクーデター発生以降、軍事政権が少なくとも70人を殺害したと明らかにした。

 

(Indo-Pacific Defense Forum)

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