中国当局、H&Mのボイコットを呼びかけ 人権問題巡るEU制裁に対抗
中国共産党の青年組織と官製メディアは24日、スウェーデンの衣料小売り大手、ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)の不買運動を呼びかけ始めた。背景には、欧米各国が22日、ウイグル人住民の人権を侵害したとして、中国当局者らに制裁を科したことにある。
中国共産主義青年団(以下、共青団)は24日午前、中国版ツイッター、微博(ウェイボー)で、H&Mが2020年10月に発表した声明のスクリーンショットを掲載した。H&Mはこの声明の中で、新疆ウイグル自治区における強制労働や少数民族の宗教信仰への差別をめぐる告発を深く懸念し、今後、この地域からの原材料の仕入れを中止すると示した。
この声明に対して、共青団は、「新疆の綿花をボイコットしながら、中国で金儲けしようとしているのか? 痴人のたわごとだ」とのコメントを付けた。共青団はこの後も、H&Mを糾弾する投稿を続けた。
24日夜、国営中央テレビ(CCTV)と新華社通信も次々と、H&Mをやり玉に挙げ、中国市場に進出している同社は「恩知らずだ」と非難した。
当局の煽りを受けて、多くの若い民族主義者はネット上で「H&Mをボイコットせよ」「中国から出ていけ」と呼びかけ始めた。ネット通販サイト「淘宝」「京東」「天猫」などでは、H&Mのネットショップと関連商品が消えた。スマホの「ファーウェイ」や「シャオミ」などのアプリストアでは、同社の公式アプリが取り下げられた。
欧州連合(EU)は22日、ウイグル人住民への人権侵害に関わったとし、中国の高官4人と1団体を制裁対象に指定した。EUの発表を受けて、中国当局は即座に、欧州議会の議員や学者などの個人10人と4団体に制裁を科すると公表した。
23日、フランスやドイツなどの欧州各国は相次いで、中国大使を召喚し、中国側の制裁措置を抗議した。
(翻訳編集・張哲)