国際社会で孤立深める中国、「原因は共産党自身」=トランプ前政権顧問マイルズ・ユー氏
トランプ前政権の対中強硬政策を踏襲した米国のバイデン政権は、対中包囲網を広げるために欧州やアジア太平洋地域の同盟国との連携を強めている。中国当局は、米国が他国を抱き込み「利益集団を作っている」と批判した。ポンペオ前国務長官の中国政策首席顧問を務めた余茂春(マイルズ・ユー)氏は、中国共産党の行動こそ、自国の国際社会での孤立を招いた原因だと指摘した。
米国、欧州連合(EU)、英国とカナダは3月、ウイグル人住民の人権を侵害したとして、相次いで中国当局者らに制裁を科した。今月上旬、米政府は北京冬季オリンピックを同盟国とともにボイコットする可能性を示唆した。国務省のプライス報道官は6日、ボイコットについて「世界中の同盟国や友好国と緊密な協議を行い、決定する」と述べた。
3月31日、日米英など13カ国は共同声明を発表し、中国共産党が世界保健機関(WHO)の中共ウイルス(新型コロナウイルス)の発生源をめぐる中国武漢市での現地調査を妨害したと糾弾した。
また、ドイツ、イギリス、オランダ、カナダ、フランスはこのほど、南シナ海における中国の支配権強化に対応して、同海域に軍艦を派遣する意向を表明した。
こうした動きに中国当局は苛立ちを見せている。中国の王毅外相は21日、ドイツのハイコ・マース外相とのオンライン会談で、「中国はイデオロギーの違いで境界線を引く行為は認めず、小さなグループごとに行動することや、新冷戦の吹聴に反対する」と発言し、欧米各国の連携が念頭にあるものとみられる。
余氏は大紀元の取材に対して、欧米各国の対中政策はイデオロギーと関係なく、「国際ルールと価値観に基づくものだ」と述べた。「米政府の対中戦略は中国の行動、中国共産党の本質に応じて策定された」という。
「各国の対中政策はそれぞれ違っているが、中国と長く付き合うなか、意見は図らずも一致するようになった。米政府は働きかける必要がない」と王毅氏の主張を否定した。
「例えば、中国による技術窃盗の問題。これは米国だけが直面している課題ではなく、英国やドイツなども対応を迫られている。中国当局の言動や政策が原因で、中国は国際社会で孤立している。各国は今、中国当局の挑発行為に対抗せざるを得なくなったのだ」
余氏は、世界各国の中で最もイデオロギーを強調しているは中国共産党政権だけだとし、「常に(共産主義イデオロギーという)色眼鏡で各国を見ている」とした。
「しかも、中国共産党は今まで、自身の行動をめぐる国際社会の批判を受け入れたことはない。いつも相手が悪いと一蹴して、反省の色を見せていない」
習近平国家主席は20日、海南省で開催された国際経済会議「ボアオ・アジアフォーラム」の開幕式でビデオ演説を行った。習氏は、対立を深める欧米各国を念頭に、「世界の運命はすべての国によって決められるべきだ。1カ国または数カ国が他国にルールを押し付けるべきではない」「世界は公正な道理を必要としており、覇道を求めていない」と述べた。
余茂春氏は、習主席のこの発言は「皮肉にほかならない」と切り捨てた。
「台湾の人々、香港市民、中国周辺国の国民にもこのことを平気で言えるのか。習氏は、西側諸国の対抗を不満に思っており、中国に対して『口出しするな』と言わんばかりだ。しかし、世界各国に対して指図しようとしているのは中国自身だ」
(記者・江楓、翻訳編集・張哲)