インドネシア、3年間で防衛近代化に約13兆円相当を投入
インドネシアが今後3年間で13兆円相当(1250億米ドル)を支出して、軍備の改良と近代化を図る計画を発表した。
大統領令草案に概説された計画によると、同国政府は軍事装備に8兆2000億円相当(791億米ドル)、外国からの25年融資の利子に1兆5000億円相当(134億米ドル)、臨時費と保守費用に3兆2,500億円相当(325億米ドル)の予算を提案している。
同支出計画は、憲法に基づき第2期目の任期終了時に同国のジョコ・ウィドド大統領が辞任する2024年までの期間を対象としている。 同文書には政府が入手を計画している兵器の種類に関する言及は見られない。
同国のプラボウォ・スビアント(Prabowo Subianto)国防相の報道官を務めるダーニル・アンザール・シマンジュンタク(Dahnil Anzar Simanjuntak)博士は2021年6月2日、「2021年から2024年の間に行われる投資によりインドネシアは交渉上の優位性が得られるため、より手頃な価格で防衛装備を購入できるようになる」とし、「さらに、投資が比較的短期間で行われることから、購入品はすべて相互運用可能な機器となる」とツイートしている。
シマンジュンタク報道官はまた、支出に関しては、国内防衛産業、通信システム、諜報活動と国境警備、誘導爆弾と防空システムの強化が優先事項となると説明している。
インドネシア国防省によると、同国は国境侵犯、外国の介入、分離主義、テロなどの脅威に直面している。軍事以外の脅威には海賊行為やサイバースパイ活動が含まれる。
同国防省は2021年の国防予算を9,600億円相当(96億米ドル)と発表している。
スビアント国防相の発表では、同計画は国家開発企画庁と財務省および他の利害関係者との審議の末に策定されたものである。 中将として「コパスス(Kopassus)」と呼ばれるインドネシア国軍テロ対策特殊部隊を率いた経歴を持つ同国防相は、「当軍の防衛システムの多くが老朽化していることから交換は急務である」とし、「刻々と変化する戦略的環境に対応するためにはこれが非常に重要となる」と述べている。
シマンジュンタク報道官の説明によると、同国政府は2025年から2026年までを目処として最適な防衛体制を整える構えであり、これが実現すれば少なくとも2044年まではこれ以上軍事機器を購入する必要性が発生しないと見込んでいる。
インドネシアの戦略防衛総局長を務めるロドン・ペドラソン(Rodon Pedrason)少将はCNNインドネシアに対して、「政府は国家主権、領土保全、国家安保の維持ために長年良好に機能する高価でハイテクの防衛装備を取得して近代化を図るため外国から融資を受けることを計画している」と説明している。
2021年4月、インドネシアと韓国が共同で開発中のKF-X戦闘機試作1号機の出庫式に合わせてスビアント国防相が訪韓している。
2021年2月、インドネシア国防省はフランスからダッソー製ラファール戦闘機36機を購入する意図を表明し、2022年までに米国からボーイング製F-15EX戦闘機4機を購入する予定であると発表している。
2021年4月、44年前に建造されたインドネシア海軍潜水艦「ナンガラ402(KRI Nanggala 402)」の沈没により53人が死亡する事故が発生したことでインドネシアの軍事機器近代化計画が新たに緊急性を帯びることとなった。
6月上旬、インドネシア海軍の報道官を務めるユリウス・ウィジョジョノ(Julius Widjojono)第一大将が同沈没潜水艦の海底からの船体回収作業を断念したと発表した。水深0.5マイルの地点で3つに分断された船体が確認されているが、回収に伴うリスクが高すぎると判断されたためである。 ウィジョジョノ報道官が発表したところでは、ナンガラ402の沈没により4隻に減少した保有潜水艦を最大8隻まで増やすために、同国政府は審議を行うことを予定している。
インドネシアは潜水艦建造について韓国の造船会社「大宇造船海洋(DSME)」と提携している。2019年に進水した「アルゴロ405(KRI Alugoro-405)」は大宇造船海洋に発注した潜水艦3隻のうちの1隻でありインドネシア現地で部分的に組み立てられた初の潜水艦となる。
(Indo-Pacific Defence Forum)