キューバの首都ハバナで先週末、政府に反対する抗議デモが起こった(YAMIL LAGE/AFP via Getty Images)

抗議デモ発生のキューバ、インターネット遮断 華為など中国企業の技術利用か

キューバ政府は先週末に起きた市民の抗議デモで、インターネットを遮断したことがわかった。同国政府は中国通信機器大手華為技術(ファーウェイ)などのインターネット技術を採用している。

11日、食料不足や物価の高騰に苦しむ市民が政府への抗議デモを行った。その後、同国ではチャットアプリやインターネットサービスが遮断されたと報告されている。

マルコ・ルビオ米上院議員(共和党、フロリダ州選出)は同日、ツイッター上の声明で、キューバの政権は 「抗議の動画が世界に伝わらないように、インターネットと携帯電話サービスを間もなく遮断するだろう」と警告した。同議員は、同国政府が中国が製造・販売・設置したシステムを使用していると付け加えた。

AP通信によると、デモ参加者はTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアで掲載された場所に集った。その後、当局は同日午後、一部の都市でインターネットサービスを停止し、反体制派がデモの様子を生中継できないようにしたという。

インターネット検閲を監視する組織Open Observatory of Network Interference(OONI)は12日、キューバ政府が抗議活動の中でWhatsApp、Telegram、Signalなどのチャットアプリのブロックを始めたと報告した。

ロンドンに拠点を置くインターネット監視会社NetBlocksのディレクターであるアルプ・トッカー(Alp Toker)氏は、AP通信に対し、Facebook、WhatsApp、Instagram、Telegramがブロックされたと述べた。Twitterはブロックされていないが、政府が望めば遮断することができるという。

キューバではインターネットへのアクセスが制限されており、利用料も高い。共産主義政権は2017年に、家庭用インターネットサービスを徐々に拡大すると発表し、2019年には家庭や企業にプライベートWi-Fiネットワークが認められた。また、2018年12月に一般市民のモバイル端末からのインターネット接続が解禁された。国営通信会社エテクサ(ETECSA)はネットアクセスを提供する唯一の会社に指定された。

しかしその結果、通信は広範囲にコントロールされるようになった。人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチによると、キューバ政権は、政府に批判的な情報を投稿する行為を「恣意的な逮捕」の対象とし、定期的に取り締まりを行っている。

米国の国際人権団体「フリーダム・ハウス」は、キューバのインターネットの自由度を「不自由」と評価し、100点満点中22点をつけている。

中国の技術はこれまでにも、キューバ政権が検閲に利用されている可能性があるとして、さまざまな団体から指摘されてきた。

ロンドン拠点のNPO戦争平和報告会(Institute for War and Peace Reporting)は2020年12月、エテクサ社の主な技術提供者は中国通信機器大手のファーウェイ、ZTE、TP-Linkの中国企業3社だと報告した。

ネット検閲監視団体のOONIは2017年、ファーウェイが 「キューバのインターネットインフラを支援していることが判明した 」と報告している。

「ブロックされたサイトのサーバーヘッダーは、ファーウェイの機器を指していた 」という。「キューバがファーウェイのアクセスポイントを使用していることは明らかだが、同社が実際に同国でインターネット検閲を実施しているかどうか、またその程度については依然として不明だと報告している。

また、キューバのWi-Fiアクセスポータル(Access Portal)に中国語のコードが使われていることや、エテクサ社のログインポータルのソースコードに「中国語で書かれたコメント」が含まれていると指摘している。これは、「エテクサ社がポータルの実装に中国の開発者を雇った可能性が高いことを示している 」と述べている。

さらに、サーバーのHTTPヘッダーには「V2R2C00-IAE/1.0」が含まれており、これはネットワーク管理システム「eSight」というファーウェイの機器に関連するものと思われるとしている。

ファーウェイは2000年に、キューバ政府から同国全土で光ファイバーネットワークを構築するプロジェクトを受注したという。

(翻訳編集・李沐恩)

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