「たくさん食べられる」低カロリー鍋のお薦め
「なべ奉行」という昭和時代の言葉は、死語と言っては悲しいので申しませんが、もう若い人の知らない「古語」のような扱いになっているかもしれません。
「なべ奉行」とは、職場の打ち上げや忘年会などで鍋料理を皆で囲んで食べるときに、頼まれてもいない1人が出てきて、具材を入れる手順などを、あれこれ細かく指図する「お奉行さま」のことです。
普段はさえない上司が、ここぞとばかりに張り切って見せる意外な一面。そんな哀愁ただよう「なべ奉行」も、遠い昔の幻のようです。とくに昨今のコロナ禍で会食が自粛され、「皆で楽しく、鍋を囲む」が全く許されない状況は(それ自体、やむを得ないこととは言え)社会全体をつつむ「巨大な理不尽」であることに変わりはありません。
お店の必死の努力は、もはや涙ぐましいほどです。しかし、勇気を出して食事に誘った彼女がアクリル板の向こう側にいるのでは、どこぞの施設の「面会室」のようで、せっかくの料理も味気ないものになってしまうでしょう。
早くも季節は秋。
旬の食材がそろうこの時季に、大勢で会食とはいきませんが、ご家族や「ひとり鍋」の単身者のために、たくさん食べられる「低カロリー鍋」のヒントをご紹介しましょう。
低カロリー鍋のポイントは2つ。魚介類、豆腐、野菜、海藻類、キノコ類など低糖質の食材をメインにすることと、市販の「鍋スープ」を使わずに、水から炊いて魚介や昆布の天然だしをベースにすることです。
市販の「鍋スープ」は、そのまま使えて便利なのですが、味が濃厚すぎることと、糖質や脂質が多いので、低カロリー食を目指す場合は避けてください。
メニューとしては、海鮮鍋、鶏肉鍋、石狩鍋(鮭鍋)、ちゃんこ鍋など、さまざまな鍋料理があります。いずれにしても、豚肉や牛肉は入れない(または少量)で野菜や豆腐を多く入れるようにします。
油揚げや厚揚げは、もとは豆腐ですが、揚げ油が入ってしまうので、できれば避けてください。鶏肉や鳥つくねは低カロリーで、良質のタンパク質ですので、適量入れることは構いません。
鍋の具材を食べながら、ごはんなど、適量の主食をとることはもちろん必要です。
ただ、1つだけ、ご注意ください。日本の宴会でよく行われる「鍋の〆(しめ)」つまり、残ったスープにご飯を入れて雑炊にしたり、うどんを煮たりする、あの最後の一品は、どんなに食べたくてもガマンしましょう。
鍋に残ったおいしいスープはボウルに移し、冷蔵庫で保存して、翌日のお楽しみにします。
以上、最近出番のない「なべ奉行」から皆様へ、低カロリー鍋のご案内でした。
(訳者補注:糖尿病などの治療のため、医師や栄養士による食事指導を受けている方は、必ずそちらにしたがって下さい)
(翻訳編集・鳥飼聡)