(花咲かずなり / PIXTA)

炊いて楽しく、食べて健康「黒米って、いいかも?」

黒米(くろまい)と呼ばれるお米が、日本でも購入できます。

日本では、同じ種類の米を紫米(むらさきまい)と呼ぶこともありますが、後述するように、黒米と紫米は別種としてお考えください。

黒米は、その「殻」にアントシアニン系の色素が含まれているため、紫黒色の米になります。

この黒い殻のため、玄米より抗酸化栄養素であるアントシアニンが多く入っているのです。

アントシアニンには、老化を遅らせるはたらきがあります。

またロドプシンを作ることで夜間視力を保持し、毛細血管を強化し、血液循環を促進する作用があります。これらは視力衰退を防ぎ、目の疲労を軽減することにも有効です。

医学雑誌『Food & Nutrition Research(食品と栄養研究)』が2017年に掲載した記事によると、アントシアニンは心血管疾患を予防し、抗がん、糖尿病の予防、視力や健康を改善し、肥満の抑制、抗菌、神経を保護するなど各種の効能があると記されています。

また、伝統的な漢方医学によると、「黒は腎臓に入り、腎臓を補う」とされています。

黒米を食べることにより、髪は黒く、肌を潤すなどの美容効果があるうえ、脳を潤し、血液を補うとされています。そのため黒米には「補血米」「長寿米」などの別名もあります。

さて、黒米と紫米は混同されがちですが、どの点が違うのでしょうか。紫米にもアントシアニンは含まれていますが、両者は同じ種類ではありません。

紫米は「黒いもち米」なのです。粘りが強く、ちまきの米と同じで、多く食べると消化しにくいことがあります。これに対し黒米は「もち米」ではなく、白米よりは少し硬い食感ですが、日々の食事のなかで主食として活用することができます。

台湾の農業行政を統括する農糧署は、黒米と紫米を区別する簡単な方法を提示しています。それによると、紫米は黒い糠の層を取り除くと不透明ですが、黒米は透明になります。

黒米は豊富な栄養がありますが、リンカリウムナトリウムなどの微量元素を多く含むため、これらの摂取を制限する必要のある腎臓病患者は、黒米を食べることは控えてください。

また、普段から腸内ガスが溜まりやすく、消化不良、便秘、消化器疾患(胃潰瘍、12脂腸潰瘍など)のある人、および消化機能の弱くなった高齢者も、黒米飯を食べることは避けたほうがいいでしょう。

ただ、特に疾患がなくて消化不良をおこしやすい人であれば、白米を中心に黒米を少し入れたお粥にすると、とても消化しやすく滋養にあふれたお粥になります。

通常のご飯を炊くときは、白米のなかに少量の黒米を入れて炊きます。

皆さんの胃腸の調子に合わせて、黒米の混ぜ具合や炊き加減を調整してみてください。

(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)

関連記事
内なる不満を見つめ、愛を与える方法を通じて、心の癒しと新たな可能性を見出すヒントをご紹介します。
最新研究が脳損傷患者の意識の可能性を示し、医療や家族の対応に新たな光を当てます。
GoogleのAI「Gemini」が大学院生に不適切な発言をし、AI技術のリスクが改めて問題視された。企業の責任が問われる中、AIの安全性や倫理が注目されている。類似の事例も増え、技術の普及とリスクのバランスが課題となっている
健康な心血管を保つための食事、指圧、運動の実践方法を解説。心臓病予防のヒントが満載です!
専門医が語る乳がんリスクの主な要因と予防のポイントを解説。生活習慣の見直しで健康を守りましょう。