劉邦永は人の運命を予知する師匠に出会った
広東省従化県(現広州市)出身の劉邦永は、子供の頃から他の人にはない才能を持っていた。山で薪割りをしながら生活していた劉邦永はある日、山中で隠士に出会った。劉邦永の非凡な才能を見抜いた隠士は古くから伝わる治療法を伝授した。その後、その奥深さを理解した劉邦永は、街頭で医術を行うようになった。
彼は患者を診る時、その顔や様子を見るだけで、どこが悪いかが分かった。薬の処方も、古来の処方にこだわらなかった。治療の方法は予測不可能で、一般人にはわかりにくいが、彼の処方箋は、毎回病気を治すことができた。地元の人たちは、その腕前に感心し、治療を受けに来る人が頻繁に往来した。
劉邦永の太素脈も非常に素晴らしく、指一本で脈を診るだけで患者の運勢や運命を予知することができた。 彼はまだ治りそうな患者には喜んで処方箋を出し、余命が幾ばくもないような患者には死ぬ日を告げた。
ある日のこと、劉邦永のもとへ、一人の老婦人が来て、あとどれくらい生きられるか知りたいと訪ねた。劉邦永は彼女の脈を診た後、竹を切った物を瓦の壺に入れて封をし、「これから毎年、この壺から竹を1つずつ取り出しなさい。終わった年のある月のある日に運命が訪れる」と告げた。その後、老婦人はその日に亡くなった。
また、ある地方奉行は痰が出る病気になり、具合が悪いので、劉邦永に治療を頼んだ。劉は脈を診た後、「この病気は治らない」と告げた。納得しない奉行は、船でよその土地へ渡り治療を頼んだ。劉邦永は遠出しない様に言っていたが、奉行は聞く耳を持たず、「帰ったら罰する」と怒り、劉邦永を監禁してしまった。
しかし、ほどなく奉行は船上で死亡した。彼は死ぬ前に劉邦永を思い出し、彼の忠告を聞かなかったことを悔やみ、遺言を残して、彼を釈放させた。奉行の訃報に接し、劉邦永は「帰ってこないのではと心配だったから、遠出しない様に言ったのに」と寂しげに語った。
その後、劉邦永は長年にわたり蓄積してきた処方を書き留めた。人々は彼の処方箋を使い続けた。彼の処方はよく効き、多くの人の病気を治した。
(翻訳・李明月)
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