「今夜は、ぐっすり眠りましょう」薬に頼らず不眠を解消する方法(1)
「心が落ち着かず、なかなか寝つけない」「眠りが浅くて、前日の疲れがとれない」。
そんな不眠で悩んでいる方は、いませんか。
「不眠は万病のもと」今夜から改善を
不眠の状態が長く続くと、次第に疲れがたまり、本当に重大な病気を招いてしまいます。
さらに、日中いつもイライラしている、仕事や学業に集中できない、記憶力が衰える、などの不健康な症状が現れやすくなります。
そんな時は、すぐに睡眠薬や睡眠導入剤に頼るのではなく、その根本的な問題を解決するよう努めましょう。
以下に挙げるいくつかの原因について、ご自身に思い当たることがないかどうか確かめてください。
まず、就寝の1時間前にはスマートフォン、タブレット、パソコンなどの「3C製品」を使用しないでください。3C製品とは、主に台湾などの中華圏で使われる、これらの機器の総称です。
3 C製品の光の刺激はかなり強く、人体の交感神経を活性化させてしまいます。また、画面から発せられるブルーライトはメラトニンの分泌を抑制します。
この2つが原因で、眠りに就くべき時間にかえって精神が高揚してしまい、安らかな入眠を妨げるのです。
睡眠リズムをつかさどるメラトニンは、眠気を誘う重要な要素です。
通常、メラトニンは夜に多く分泌されます。規則正しい生活をしていると、メラトニンは眠りにつく1~2時間前に分泌され、翌朝目が覚める1時間前には止まります。
「昼間に活動する」が基本
適度な運動は、健康維持に必要なことです。
そこで、「日中は運動する時間がないので、仕事帰りにジムヘ寄ったり、帰宅後に自宅近くで運動する」と言われることも多いのですが、不眠の改善に重点を置くならば、夜に運動するのは避けた方がいいかもしれません。
夜に激しい運動をすると交感神経が興奮して、床に就いてからよく眠れないこともあるからです。
昔の人は「日が昇れば働き、日が沈めば休む」という生活リズムを重んじていました。
昼間に、太陽の下で活動するのは、体に陽気を養うことです。夜は十分に休んで、体に陰気を養います。夜はよく眠ってこそ、明日へのエネルギーを蓄えることができます。
また、「よく眠るために飲酒する」という人もいます。
確かに、お酒を飲むと眠くなる人もいるのですが、不眠の解決方法としてはお勧めできません。
アルコール摂取は眠気を感じますが、深い眠りは得られないのです。浅い眠りのまま覚めてしまい、かえって睡眠の質が低下します。
食事のリズムを整える
睡眠を改善する食事法としては、その内容よりも「食事のリズムを整える」ことが大切です。
多くの不眠症に悩む人は、「睡眠に良いのは、どのような食事ですか?」と私に聞きます。
簡単に言うと、例えば日本食の納豆などの大豆食品はお薦めすることができます。ただ、人それぞれ体質や食事の好みが異なりますので、私が提案した食材に合わない人もいるかもしれません。
実は、何を食べるかよりも、「食事のリズムを整える」ことが重要なのです。
まずは、朝食と夕食の時間を一定にしてみてください。朝と夕方、決まった時間に食事することで、肝臓や小腸の代謝リズム、および体温変化のリズムが改善され、就寝してから深い眠りに入りやすくなります。
ただし、就寝の3時間前には食事を終えてください。遅い時間の食事は「夜食」になってしまい、睡眠の質を落とします。また、夕食に脂っこいものを多く食べると胃腸への負担が大きく、肥満の原因にもなりますので、これも睡眠の妨げになります。
太陽に当たりましょう
そのほかにも、睡眠の質を高める生活上のちょっとしたコツがあります。
1、太陽に当たる
簡単な「日向ぼっこ」でもいいのです。
早起きをしたら、窓ぎわで朝日を浴びてもいいですし、バルコニーで朝食をとりながら30分ほど日光浴するのも効果があります。
「週に3日、午後の日差しを1時間浴びる」という選択肢もあります。
日中に日光を浴びることで、体内でのメラトニン分泌のリズムなど、人間の生体リズムが自然に調整されます。
2、お風呂を活用する
就寝の30分前ならば、ぬるめの40度ほどのお湯にゆったりと。
少し熱めの42度のお湯がお好みならば、就寝の1時間前までに、さっと入ります。あまり体が熱くなりすぎると、入眠しやすい体温に下がるまで時間がかかるからです。
「内臓の温度と、手足の温度との差が小さいほうが熟睡しやすい」という研究があります。お風呂に入って適度に温まることは、両者の温度差を小さくすることにもなります。
3、足湯も効果的です
家にシャワーしかなくて、お風呂に入ることができない場合は、足湯を代用しても安眠を得ることができます。
やや熱めのお湯に、就寝の50分前と30分前、それぞれ20分ほど足をつけます。
神経が高ぶって眠れないときは、まるでオーバーヒートした機械のように「頭」が張りつめているのです。そのような場合は足湯を用いて、頭部に詰まった「気」を下に引くことで、気持ちを静めることができます。
(次稿に続く)
(口述・呉国斌/翻訳編集・鳥飼聡)