年齢を重ねると、知恵が増し、自由に引退できるなど、多くのメリットがあります。しかし、栄養の取り込みが悪くなり、体力や筋力の低下、代謝の低下などの問題も出てきます。これらはすべて、心身の健康状態の悪化につながります。

45歳から55歳は、専門家が「人生の沼」と呼ぶ、最も困難な「ハイリスク期」だと言われています。つまり、この時期は人体の健康が著しく損なわれる可能性があるのです。加齢は避けることのできない自然の摂理ですが、正しい姿勢で向き合い、健康に気を配ることが大切です。

50歳を過ぎたら、栄養補給を怠ってはいけません。米国国立衛生研究所（NIH）によれば、高齢になると太陽光をビタミンDに変換する機能が低下するため、骨が弱くなる可能性があります。また、ビタミンB12の吸収は、胃酸の分泌量の減少によって影響を受け、疲労感や脱力感、認知力の低下などを引き起こすことがあります。そのため、免疫力を維持するビタミンDと、代謝を調整するB12の補給は、50歳以上の人にとって最も重要です。
 

ビタミンDとB12を摂取できる栄養満点のレシピ3選

ビタミンDとB12の不足を解消するには、これらの栄養素を多く含む食品を食事で補うのが一番です。 米国の健康情報サイト「Prevention」が推奨する、栄養価の高い3食をご紹介します。

■朝食：全卵

栄養成分：卵1個あたり、1日のB12摂取量の10％、1日のビタミンD摂取量の10％が含まれています。 卵白は卵黄に比べ低脂肪・低カロリーですが、卵黄を取り除くとビタミンDやB12が大量に失われるため、全卵がおすすめです。

おすすめレシピ：スクランブルエッグのほか、野菜炒めに卵を加えたり、ケチャップを混ぜて焼いたり、ホットケーキのトッピングに使ったり。また、週の初めに1週間分の固ゆで卵を調理し、炭水化物、健康な脂肪、タンパク質、リンゴ、洋ナシ、バナナなどの果物と組み合わせれば、栄養価の高い朝食になります。

■昼食：ツナ缶

栄養成分：まぐろはビタミンDとB12を多く含みます。ツナ缶1缶（約85g）には、1日の推奨摂取量の42％のB12と39％のビタミンDが含まれ、また、脂肪、カリウム、鉄分もヘルシーに摂取できます。しかし、米国食品医薬品局（FDA）は、水銀含有量の少ないライトツナ缶を選ぶことを推奨しています。

おすすめレシピ：ビタミンをより多く摂るには、ヨーグルトと一緒にツナサラダを作るとよいでしょう。乳製品は通常、ビタミンDを含み、B12の良い供給源でもあります。全粒粉のパンにサラダをのせ、緑黄色野菜や豆を添えてどうぞ！

■夕食：鮭

栄養成分：サーモン1切れ（約85g）あたり、1日のB12摂取量の80％、1日のビタミンD摂取量の112％が含まれています。ビタミンDは強化食品では摂りにくいことが知られていますが、鮭には1日に必要な量以上のビタミンDが含まれており、希少価値の高い天然の栄養食品といえます。また、サーモンはタンパク質とビタミンB6が豊富で、神経系や免疫系の健康維持に役立ちます。

お勧めのレシピ：地中海風のサーモン料理に、スプーン1杯のオリーブオイル（一価不飽和脂肪と多価不飽和脂肪を豊富に含む健康的な脂肪）と、カリウムを多く含む刻んだトマトを約85g のサーモンにかけてお召し上がりください！

淡白な食事だけではダメ

高齢者は薄味の食事をするべきだという考え方がありますが、管理栄養士は、それでは栄養不足になりかねず、バラエティに富んだ食事が基本であると考えています。食事は、高タンパク、低脂肪、高繊維のものを中心に、バリエーション豊かにすること。また、ワインや緑茶を飲むと、抗酸化物質の摂取量が増え、血行が良くなります。果物の場合は、糖分の摂取に気をつけましょう。はちみつを少し加えることで、風味が増すだけでなく、ミネラルやアミノ酸を体内に補給することができます。

若い心を持ち続ける

また、若い頃のように体が丈夫でないため、仕事や家庭でのプレッシャーに押しつぶされそうになることも少なくありません。うつ病になる人も多いので、感情のはけ口を見つけ、それを調節する術を身につけることが重要です。落ち込んだ気分は健康に大きな害を及ぼし、多くの病気はネガティブな感情によって引き起こされます。

要するに、心を広く持ち、運動し、よく食べ、趣味を持ってその方面の能力を伸ばすことが大切なのです。そうすると、この特別なステージで、もう一度人生の山場を迎えることができます。

（翻訳・井田千景）