(大紀元)

高智晟著『神とともに戦う』(39)弁護士の使命(6)

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高智晟著『神とともに戦う』(38)弁護士の使命(5)

3、弁護士使命の実践のために

弁護士はいかにして、自分の使命を実践するのか。ここで実際にまず向かい合わねばならない使命、それは「我々が直面する必要のある問題をきちんと理解する」という使命である。

今日の中国社会はまさに激動の変換期にあるため、思想領域および人の信仰や責任感、道徳など様々な価値観の論理的基盤が混乱している。人類が文明に目覚めて以降、地域によって実に様々な文化が形成された。しかし興味深いのは、人々がまるで申し合わせたかのように法律を「精神的な権威」として見る点で一致したことだ。人は権威に依存し、それを崇(あが)める。なぜなら、人は1人ではあまりに弱く無力であり、人にはよりどころが必要だからだ。例えば、法律の権威に従う以前の人々は、神を精神的なよりどころとしていた。

では、我々の中国では、今、法律の権威はどうなっているのだろうか。このような現状を熟知しておくことは弁護士の現実的な使命の1つだ。しかし、「これは弁護士のみが有する使命ではない」と強調しておく。この点も、ここで私が読者各位と語り合いたいと思う理由である。

先ほど私は、弁護士業が中国に導入された時から、それは外国の弁護士業とは異なる境遇にあると述べた。つまり、ばらばらに解体された「法の精神」の一部を、無理やりに19世紀末から20世紀初頭の中国社会に現出させたのだ。

その後の遥か長きにわたって、中国の主流社会全体が法律の価値をいささかも認めないうえに、法律とその精神を理解しようとせず疎遠になるという現実があった。中でもとりわけぞっとするのが、文化大革命の時、国家機関から検察と裁判所を剥離させるという、前代未聞の「喜劇」が起こったことだ。

1949年、つまり共産党がこの国に政権を樹立して以降、中国社会の功績を賞賛する時には、必ず「建国以降」という言葉がついて回る。しかしこの1949年を境にした後の、我々の法律や法律思想の存在および発展を振り返ってみると、読者各位の顔に浮かんでいた誇らしい笑顔が、たちまち曇ることだろう。

 (続く)

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