(大紀元)

高智晟著『神とともに戦う』(52) 道義が私を突き動かした②

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あの数年間、私はこの種の案件に多々関わった。出稼ぎ労働者の子供で、3歳になる楊偉国くんは市場に遊びに来た時、魚介を売る屋台に置いてあった「ミネラル・ウォーター」を手に取って飲んだ。

ところが、それは悪質な業者が魚介類を新鮮で艶があるように見せかけるために使っていた苛性ソーダの溶液だったのだ。そんなことなど全く知らずに飲み物だと思って飲んだ子供は、たちまち食道全体がやけどを起こして、くっついてしまった。すると病院は、食道全部を取り除いた後、小腸を少しずつ引き上げる手術を22回も繰り返すという治療方案を提示した。

子供の両親は事故の後、すぐさま屋台の店主と話し合った。店主は1万元(日本円で約12万円)を渡した上、借用証書も書いた。しかし、この子が手術を2、3回終えた時点で、一家は家財を使い果たして破産してしまった。そこで病院のある医者が、新疆に行って「高智晟」という弁護士を尋ねるよう子供の両親に勧めた。こうして一家は、ただこの名前だけを頼りに、電話番号も住所も知らないまま、はるばる新疆の私のところまでたどり着いたのだった。(訳注、この一家がどこから来たのかは原文未記載)

この裁判の相手は、被告10名に弁護士12名という巨大な布陣だった。彼らは皆、個人事業者でお金がある。一方、こちらは私ときゃしゃな身体つきの父親しかいなかった。法廷が始まる前から、彼らは地元の権力者や裁判官とのコネがあることを言いふらした挙句、「おい、高とかいう弁護士。裁判に勝とうだなんてバカなこと考えるなよ」とさえ言い放った。

裁判の冒頭陳述で、私は彼らにこう述べた。「もし皆さんに理性があるならば、この子に賠償金を払うことになりますが、皆さんはお金を失ったに過ぎません。しかし皆さんに理性がなく、カネの亡者となったなら、皆さんは道義とお金の両方を失うことになるでしょう」

当時、私はちょうど新疆の検察関係者向けに講義を担当していた。私の講義を受けていた人々は、私が無料で子供の裁判を引き受けたことを知ると、私のために車を手配してくれた。(訳注、裁判が開かれた場所がどこかは原文未記載のため不明)

新疆テレビ局もこの件を追跡報道して、強く私を応援してくれた。裁判所は最終的に、この子へ32万元(約400万円)の賠償金の支払いを命じる判決を下したが、何よりも不幸だったのは、勝訴したにもかかわらず、この子――楊偉国くんは治療が遅れたため命を落としたことだ。

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(続く)

 

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