(大紀元)

高智晟著『神とともに戦う』(63) 2>163(2は163より大きい)④

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2、「強制立ち退き祝賀会」までの道のり

2003年4月および2003年8月、広州市政府は「芸術村の3つの別荘地区を強制撤去する」との通知を貼り出した。すると別荘の所有者たちは法によって自分たちの権利を守ろうと、広州市の謝振潤弁護士を代理人に立てて、関係当局および市政府に対して再討議を求めるとともに、司法に訴えた。

中国の憲法を守り、モラルを尊重し、法に基づき政務を行って、上述の不法な通知を取り消すよう関係当局に求めたのである。その結果はと言えば、2004年4月27日付の広州日報でも伝えられているように、謝弁護士は訴訟期間中、当局の野蛮な報復を受けたため、本件の代理人から退かざるを得なくなったのである。

2003年11月、所有者代表による地元の省や市への度重なる陳情も何ら実を結ばなかったため、所有者全員の委託を受けた30人が関係資料を手に、北京へ陳情に赴いた。全国人民代表大会や国務院の陳情受付事務所、国土資源部(訳注、部は日本の省庁に相当)、建設部、新華社、人民日報など10余りの機関とメディアに、合法的な支援が得られることを願って、それぞれ資料を渡した。

そのうち建設部のある官僚は、所有者に応対した時に、「広州大学都市の建設計画については、建設部への承認申請がなされていない。これは(広東省と広州市の)行政による違法行為だ」とはっきり伝えた。

この直前、この官僚が小谷囲島を訪れた際、案内役の市計画局職員に対し、将来の計画として小谷囲の今の生態環境を守り、島の自然村と芸術村3地区を保存する予定だと述べていた。ここは何と言っても、広州南部の緑の回廊だからだ。国務院(訳注、日本でいう内閣)から承認された広州市の全体計画でもこれははっきりしており、勝手に変えることは許されない。

「人民日報」系列の「市場報」(訳注、マーケット関係の新聞)は2004年1月2日の一面で、派手に「広州大学都市の調査について」との見出しで報道。広州大学都市の建設のために、「利益に駆られた勝手な開発、不法な土地の囲い込みで一面の更地に変わり果てた」とまとめている。

その後4月末まで、北京、上海などのメディアおよびサイトの約20余りのメディアが芸術村の所有者の権利を守る闘いを密着報道した。中国国外および香港のメディアも同様に報道し、上述の文章を転載した。

北京への陳情後も、所有者たちは各種ルートを通じて、省や市の関係部門の指導者に、所有者たちの権利が擁護されるよう意見を伝え続けるとともに、2004年2月、省の人民代表大会の開会中にも、代表者を通じて、芸術村の3地区を保存するよう、議案を提出した。芸術村の外国籍者(米国籍、カナダ国籍を持つ華人)、その家族、香港や台湾の同胞たちも広州華僑聯合会に保存を求める書簡を送付した。

それでも2004年2月、広東省人民代表大会の政治協商会議の開催中、芸術村の一部の所有者は、撤去同意書にサインするよう迫られて、建物がただちに取り壊された。麗しいたたずまいが跡形もなく壊されて、見るも無残な姿に変わり果てた芸術村。当局は逆にこの劣悪な環境を利用して、立ち退きに応じない他の所有者に署名を迫ったのである。

 

立ち退き担当の官僚が、所有者に立ち退きを迫るやり方。それは以下のように、手中の政治権力の全てを利用して経済面、政治面、環境面、心理面からの人為的な圧力を作り出した上で、立ち退き同意書に署名するよう、所有者に対して大っぴらに、しかも直接迫る方法である。

(1)所有者およびその家庭状況を分析し、立ち退かざるを得ないことを「人質」にとる。もし企業や工場を経営する事業主ならば、税務調査や安全生産調査、消防調査の名目で、署名をしなければ工商局(訳注、工商行政管理局の略。政府の市場管理監督部門)を通じて取引停止処分あるいは契約取り消しにすると脅す。(広州市番禺区新造鎮の醤油工場の事業主は、消防検査が不合格だったとの理由をつけて、署名しなければ営業を停止させ「整頓(強制閉鎖)」するぞと立ち退きを迫られた。結果、事業主はやむを得ず署名をしたため、別荘が取り壊された)。

(2)所有者が公職者や教師である場合は、彼らの職場の上司を通じて「政治談話」(訳注、公的身分の剥奪などをほのめかす脅迫)を仕掛ける。つまり、昇進試験にひびくぞ、規律違反と見なすぞ、などと迫って、立ち退きに同意するよう脅すのだ。広州市政府はかつて、4月29点xun_ネ前に、市レベルの公職にある所有者全員に対し、立ち退きを求めた。結果、この圧力の下、このような所有者数十名が4月20日前に、立ち退きへの署名を迫られた。最も典型的なのがすでに退職していた庭師の男性である。

市の規律委員会および各部門合わせて13人が、彼1人に対し「会議」を開き、「政治談話」を行った。その後、彼の30数歳になる息子が別荘の所有者だと知ると、息子に別荘取り壊しを同意させるよう父親に迫った。1年近くにわたり、小谷囲を管轄する番禺地方政府は100人近い職員をわざわざこの立ち退き工作のために現地に派遣したため、行政の通常業務はほぼ麻痺した。

広州市の立ち退き担当の主な責任者である蒙_qii_と楊和平は、所有者と取材記者に対して、居丈高に脅迫した。「こっちには強力な後ろ盾が控えている。どんなことがあっても取り壊すぞ」「今のところ俺たちはまだ手加減しているがな、最後には一切構わずにお前の家をぶち壊す。せいぜい『不適切な行政執行』程度の過失で済むはずだ」

(3)別荘の所有者に対するハイテクを駆使した通信傍受。特に何人かの代表者への盗聴や監視を行う。それによって、所有者が北京の弁護士・高智晟に依頼したことを知ると、その晩、警官が来て、戸籍調査の名目で別荘の所有者を調査した。このような「戸籍調査」など数十年来聞いたことがない。権利擁護を主張する所有者代表に対しては、更に各種の「通告」や「仲裁」を出す、あるいは電話で立ち退きを迫るのである。

(4)広州美術学院の芸術家が住む同学院の宿舎は、立ち退き担当の役人や芸術家の職場の上司、保安課の管理職が毎日家にやってきては「思想工作」を行った。やたら会議を開いては彼らを呼び出すので、芸術家の生活や平穏が大きくかき乱され、創作など全くできなくなってしまった。

一部の人はこのような脅しの下(今後の芸術家人生や子女の就職に影響する、自身が経営する芸術デザイン会社が全面調査を受ける、など)で、当局が指定した人物による強制的な「アセスメント」、つまり取り壊しの第一歩に同意せざるを得なかった。立ち退き担当役人の目には、法律や法規など全く眼中になく、好き勝手に手中の国家機関の権力を乱用している。上は市規律委員会から下は派出所の警官まで、あらゆる局面から別荘主を「撃破する」ための各種の立ち退き工作を行い、その弱みを握って「人質」としたのである。

 (続く)

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