料理に欠かせない「うまみ調味料」 それは安全なのでしょうか?

「うま味調味料」は私たちの日常生活で、よく使われる食品添加物です。これは食品を美味しくしますが、健康的かどうかについては議論が続いています。では、果たして健康的なものと言えるのでしょうか? 詳しく探ってみましょう。

「うま味調味料」の成分

「うま味調味料」の主な成分は一種の遊離グルタミン酸(Glu)です。遊離グルタミン酸は食品に美味しさをプラスしてくれます。しかし反対に、非遊離グルタミン酸は他のアミノ酸と結合し、たんぱく質の一部となり、味を豊かにする作用はありません。

実は、多くの食品にはこのような天然の遊離グルタミン酸が含まれており、例えば、トマト、チーズ、キノコ、グリンピース、いくつかの穀類などです。

「うま味調味料」は天然のグルタミン酸ではないですが、化学合成物質でもありません。それは食品の加水分解や発酵によって生成されます。人体は「うま味調味料」に含まれるグルタミン酸と天然のグルタミン酸を区別できないので、体内での代謝過程は同じになります。

「うま味調味料」の起源と議論

では、「うま味調味料」は誰が発明したのでしょうか?

1908年、日本の教授である池田菊苗氏は彼の奥さんが作る昆布だしが特別な味であることを知りました。このような味は、酸味、甘味、苦み、辛味では言い表せないものでした。その後、彼はこの風味を生み出す成分を抽出し、調味料を作りました。それが、「うま味調味料」です。それから100年以上もの間、「うま味調味料」は人々の食生活に欠かせないものとなりました。

「うま味調味料」の悪評はどこから来たのでしょうか? もともとは60年代に、あるアメリカ人教授が中華料理店に食事に行ったのがきっかけです。その人は食後、家に戻ってから気分が悪くなり、頭痛、手足のしびれ、頭がハッキリしない、気持ちが悪いなどの症状が出ました。

そして、彼は公開書簡を用いて、彼の症状を事細かに書きました。また、これらは「うま味調味料」の摂取が原因ではないかと推測されました。それ以後、人々はこの一連の症状に「中華料理店症候群」と名前をつけました。

その結果、すべての中華料理店が苦境に立たされました。多くの人は中華料理には「うま味調味料」が入っているといい、「うま味調味料」には様々な健康リスクがある、と中華料理をボイコットする動きも現れました。同時に、多くの中華料理店は経営難から逃れるために、店では「うま味調味料」を使っていないことが明記されるようになりました。

「うま味調味料」に副作用はあるのか

「うま味調味料」を摂取すると、様々な症状が出るというのは本当なのでしょうか?  実際、それを証明する証拠を見つけるのは不可能に近いです。このアメリカ人教授は、スプーン一杯の「うま味調味料」を食べただけではありません。そして反応が起こるというより、「うま味調味料」がいろいろな種類のご飯や料理に混ざって、症状が現れたのです。したがって、彼の副作用が「うま味調味料」の摂取によって引き起こされたということにはなりません。

その後、多くの科学研究者が「うま味調味料」を研究しましたが、これが「中華料理店症候群」を引き起こすという証拠は見つかりませんでした。

本当にそのような反応を起こす人はいるのでしょうか?  常識的に考えて、物質に対する感受性には個人差があるので、「うま味調味料」を含むものを摂取したときに、頭痛、倦怠感、吐き気、嘔吐、発疹などのアレルギー反応を起こす可能性は否定できません。しかし、そのようなケースは非常に稀です。したがって、「うま味調味料」が健康に有害であるという噂は根拠のないものであるといえます。

「うま味調味料」に関する発見

「うま味調味料」は健康に無害と言われますが、しかし、日常的にこれを使いすぎると体重が増えるという研究結果が明らかになっています。さらに、人体の新陳代謝にも影響が出ると言います。

どうしてでしょうか?  それは、「うま味調味料」を入れると通常よりもおいしく感じ、食の感じ方を変え、食欲を刺激し、カロリーや塩分の過剰摂取につながります。そのため、間接的に体重や代謝の問題にもつながるのです。

健康な成人752人を対象とした研究では、「うま味調味料」を摂取している被験者は、摂取していない被験者に比べて肥満度(BMI)指数が高く、太りやすいことが明らかになりました。 また、摂取者は非摂取者に比べ、動物性タンパク質、脂肪、コレステロール、カロリーを多く摂取し、植物性タンパク質、総炭水化物、デンプン、食物繊維、マグネシウムの摂取量が少ないという結果が出ています。

以上の研究の他に、「うま味調味料」の摂取による反応を調べたハーバード大学の研究があります。

研究チームは、「うま味調味料」に対する反応を調べるため、130人のボランティアを募集し、彼らに5グラムの「うま味調味料」またはプラセボのいずれかを与えました。 陽性反応は、摂取後2時間以内に10症状のリストから2つ以上の症状が存在するものとして定義されました。数回のテストの後、研究者は、「うま味調味料」摂取の長期的または重篤な影響は観察されず、反応は再テスト時に一貫性がなかったと結論づけました。

注意すべきこと

「うま味調味料」が有害であるという直接的な証拠はありませんが、注意すべき状況が2つあります。

1つは、グルタミン酸は一種の興奮性の神経伝達物質であり、記憶や認知、情緒の調節に非常に重要な役割を成しています。もし、夕食に非常に多くの「うま味調味料」を加えたとすると、睡眠障害が発生する恐れがあります。

もう1つは、「うま味調味料」入りの食品を食べて不快に感じたら、今後それを摂取しないようにしましょう。

実際、「うま味調味料」は中華料理だけでなく、ほとんどすべての加工食品に添加されています。しかし、食品のラベルにはその存在すら表示されていないことがあり、「うま味調味料」が主成分である場合にのみ、ラベルへの記載が義務付けられているのです。

 

何蔚