(大紀元)

高智晟著『神とともに戦う』(68)

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では、誰が懸案となっている土地の占用者なのか。実のところ、この問題は非常に簡単で、道路優先権者が誰なのかを見ればいいのだ。道路優先権は敷地の所有権によって決まる。本案件に関する土地の所有権は集団に属し、道路優先権が姚坑村に属している点に疑いの余地はない。

つまり、姚坑村こそが本案件に関わる土地の実際の占用者なのだ。たとえ今回土地の使用が犯罪となったとしても、犯罪者は間違いなく土地の実際の占用者、すなわち道路優先権を持つ者であって、林樟旺らではないはずだ。林樟旺らが本案件の投資で得られる合同権益は、姚坑村の土地権益上における一種の副次的権利に帰属するものである。

道路整備で土地を占用する必要があるのか、あるとすればどれほどの土地を占用し、どのように占用するかなど、これらの権利は法律が定める権利であり、すなわち所有権者の持つ法律で定められた権利であり、契約の取り決めによって獲得できる権利ではない。

この点から分かるように、契約を交わした双方とも法律を理解してはいなかった。しかし権利や処分の取り決めに関する契約書の内容を見てみると、双方とも素朴な権利意識を備えている(この点、法律に無知な警察よりずっと優秀だ)。

双方が契約で交わしたのは道路優先権のなかの副次的権利、すなわち収益権に過ぎない。一方、林樟旺ら3人にとって本案件における唯一の権益は、投資義務に基づき獲得する、契約期間中の収益取得権に過ぎない。どんなに強引に解釈しても犯罪とはつながらない。

もう1つ、本案件で取り上げなければならない問題がある。この公安局(訳注、日本では警察に当たる)が林樟法ら3人から保釈金を取ると同時に、それぞれ2万元の罰金も徴収していたが、これは違法である。このような違法行為を「行政上の問題にならない」とするのは簡単ではないはずだから、これは典型的な職権の乱用なのである。

中国の行政処罰法では、1千元以上の罰金を「比較的高額の罰金」とみなしている。比較的高額の罰金においては、立件、送検、証拠取得、権利・義務の告知、公聴、処罰の決定などの各手続きの、1つでも欠けることは許されない。この公安局の今のやり方は、マフィアと何が違うのか。これこそ、真の意味で文明社会に対する犯罪である。

ここで強調しなくてはならないのは、村の道路整備のための土地占用は、刑法が禁ずる土地用途変更の犯罪行為には属さないことである。道路整備自体は合理的な土地使用、つまり農業用地としての価値を有効に実現する合理的な利用法であり、決して刑法と土地管理法が定めた土地用途変更や社会に危害を与える農地横領の行為にはなり得ない。

「中華人民共和国刑法」第342条が定めた違法な農地占用罪は、一種の土地管理法規に反する行為であり、「中華人民共和国土地管理法実施条例」第74条の違法な耕地占用行為には、トラクター用道路の整備の状況や内容は含まれていない。

違法な農地占用の犯罪とは、刑法が明確に定めた主観的な故意の犯罪に属する。しかも犯罪のそれぞれ異なる主観的な故意の形態は、いかなる刑事犯罪をも備えるべき必要条件なのである。本案件では、姚坑村であろうと林樟旺であろうと、誰が主観的に故意に罪を犯そうとしているのか。司法機関による目下のやり方の論理は、もはやでたらめに近い。

 

姚坑村の村民が代々にわたって、厳しい自然条件のため世間からほぼ隔絶された苦しい日々を送っていた数十年間、村民は政府が彼らに払うべき配慮を得ることはなかった。つまり、豊かになるための道路を造ってほしいと何度となく政府に訴えても、政府は一切存在感を見せてこなかった。

村民が、やっとの思いで10万元余りの資金を工面して、道路造りにまでこぎつけたものの、中途で資金不足になって頓挫した時も、政府は影も形も見せなかったのである。姚坑村のトラクター用道路が整備される数年間、および本案件の出資者がこの道路を整備した1年余りの間、龍泉市岩樟郷林業站と龍泉市森林公安分局は道路整備の行為を制止することもなく、整備行為における違法な点や不適切な点を指摘することもなかった。

ところが、村民の先祖代々の夢が実現しかかったその時になってから、政府は、ずうずうしく出しゃばってきたのだ。これには嫌悪と失望を覚えざるを得ない。この事件を受け、ネット上では、これらの官僚は何を考えているのかとなじる声が広く聞かれた。そうだ、官僚よ、君らは一体何をしているのか!

2005年5月18日北京にて

 (続く)

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