2024年5月31日、アメリカと中国の防衛トップがシンガポールで対話を行い、誤解による軍事衝突の発生を防ぐことを目指す。写真は会議終了後、会場を出るアメリカの国防長官オースティン(右)である。(ROSLAN RAHMAN/AFP via Getty Images) 2154756984
中共の思惑はお見通し

米中防衛トップの緊張会談、アメリカが中共に警告

5月31日、アメリカのオースティン国防長官中国共産党の董軍防衛長官はシンガポールで開催された「シャングリラ・ダイアログ」で約1年半ぶりに直接会談を行った。この会談は、増加する地政学的緊張と南シナ海台湾海峡を巡る軍事的挑戦を背景に、誤解を防ぎ、直接的な軍事コミュニケーションの重要性を再確認する場となった。

アメリカ国防総省によると、5月31日にシンガポールで開催されたシャングリラ・ダイアログで、アメリカのオースティン国防長官と中国共産党の董軍防衛長官が会談を行った。

会談では、オースティン長官が台湾海峡や南シナ海での中国共産党の挑発的な軍事行動に対して警告を発し、さらに中国共産党がロシアのウクライナ侵攻を支援していることを指摘した。

米国防総省は5月31日、オースティン長官が米中間の直接的な軍事コミュニケーションの維持が重要であると強調し、最近の台湾海峡での中国軍の挑発行動に深い懸念を示しているとした。

オースティン長官は、中国は台湾の政治的移行期間を利用して圧力をかけるべきではないと述べ、台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性を再度強調した。この移行期間は通常の民主的プロセスの一環である。

オースティン長官は、「アメリカは、安全かつ責任ある方法で飛行、航海、活動を続け、特に南シナ海での国際法に基づく公海での航行の自由の重要性を強調している」と述べた。さらに、中国共産党がロシアのウクライナ侵攻を支持していることについて深い懸念を表明した。

オースティン氏は会談で、「ロシアの無理なウクライナ侵攻を、中国が国防産業を通じて支援している」と指摘した。また、アメリカは北朝鮮の最近の挑発的な行動を懸念している。その中には北朝鮮がロシアのウクライナ侵攻を支持していることを含んでいる。

米中関係の緊張、軍事高官間の対話、誤解防止

アメリカ国防省は5月30日に記者会見を開催し、サブリナ・シン副報道官が質問に応じ、アメリカと中国共産党軍の高官とのコミュニケーションは、誤解を防ぐ上で重要だと強調した。

シン副報道官は、中国軍による先週の台湾近海での軍事演習にアメリカは注目しており、「中国がフィリピンの一部の島々や台湾近海での活動について、双方が話し合いを持つことに期待をしている」と述べた。

5月23日から24日にかけて、中国共産党は台湾近海で軍事演習を行なった。これを新たに中華民国総統に就任した頼清徳の就任スピーチへの「報復」としている。

5月20日、頼清徳総統は就任式で、中華民国と中華人民共和国は「互いに独立している」と宣言した。

台湾海峡で中国共産党の軍事活動が増加する中、台湾軍は警戒して、中国共産党の「露骨な挑発行為」を批判した。

中国共産党はフィリピンの間でも、南シナ海における領土の争いをエスカレートさせている。フィリピン政府は、セカンド・トーマス礁で、中国共産党の海警船が放水砲を使用してフィリピンの補給船を攻撃し、乗組員が怪我し、船体にも損害を受けたとして、中国を非難している。

31日の夜、「シャングリラ・ダイアログ」でフィリピンのドゥテルテ大統領は基調講演を行った。彼の講演の主なテーマは「南シナ海の領土問題」だった。

関連記事
数百万円のコストで船舶に甚大な被害を与えられるドローンが普及する一方で、現状、ドローンを撃墜するのに1発当たり約1億円を超えるミサイルで対応している。費用対効果の見直しは喫緊の課題だ。ドローンの飽和攻撃に対抗できる武器はあるのか
米国のインド太平洋軍司令官、海軍大将サミュエル・パパロ氏が、ロシア・ウクライナ戦争と中東の紛争が米国の弾薬在庫を減少させていると警告。パパロ氏は、中国共産党との潜在的な衝突に備え、アメリカ軍は在庫補充と拡充が必要だと述べました。
米国海軍では、今後、新規に浸水する潜水艦より、退役する潜水艦の方が多いという状況が生まれてしまうかもしれない。
「アメリカ原潜シーウルフ、日本到着」 2022年、アメリカ海軍のシーウルフ級潜水艦シーウルフ(SSN 21)が日本に到着。高度な秘密を保持されるこれらの潜水艦は、情報収集や特別任務を主に行う高速攻撃潜水艦であり、地上攻撃巡航ミサイルや魚雷も装備しています。
レーザー兵器を搭載したアメリカの駆逐艦プレブルが、中共対策として日本の横須賀に配備された。低コストで無人機やミサイルを破壊できる新型レーザー、Heliosの試験が進行中。