中共全国政治協商会議の副主席である胡春華は、2023年3月11日に北京の人民大会堂で撮影された。(Lintao Zhang/Getty Images)

胡春華の動向に再注目 中国共産党四中全会前の政界再編

中国共産党の第20期第4回中央委員会(四中全会)を10月に控え、改めて胡春華・全国政治協商会議の副主席の動向が注目されている。かつて、習近平の有力な後継者として注目された胡春華だが、2022年の第20回党大会で政治局から外れ、政界の表舞台から退いていた。その胡春華が短期間で複数の重要行事に出席したことで、政界内外で様々な憶測が広がっている。

8月20日、チベット自治区成立60周年記念行事にて、胡春華は中央代表団副団長として登場した。さらに8月22日には、ヤルンツァンボ川水力発電ダムや川蔵鉄道建設など国家的に重要事業を視察した。特にヤルンツァンボ川水力発電ダムは、三峡ダムを超える規模を持つ新規の大型事業であり、胡春華の訪問は大きな話題となった。

中国政界に詳しいジャーナリスト・顔純鈎氏は9月1日、SNSに分析を投稿した。習近平がチベットを訪問した後、代表団のメンバーが一斉に地方視察へ赴く中、胡春華によるヤルンツァンボ川水力発電ダムの視察は「特別な扱い」であり、習近平が特に重視する国家計画を代行した可能性があると指摘した。

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