深圳のある工場で電子部品を組み立てる作業員。(AFP/AFP/Getty Images)

対中投資が鈍化 外資系企業リスク回避で「維持運営」へ転換

中国で外資系企業の投資行動に変化が出ている。統計上は新設外資企業が増える一方、実際に中国に流入する外資額は減少し、多国籍企業は「新たなリスクは負わない」として追加投資や拡張を見送っている。中国市場を成長エンジンから「維持運営」の拠点へと位置づけし直し、サプライチェーンを東南アジアなど複数拠点へ分散する動きが静かに広がりつつある。

中国共産党(中共)当局の統計データおよび複数の外国商工会議所による年次調査によると、中国における外資企業の新たな投資への意欲が低下していることがわかった。一部の多国籍企業は拡張計画を延期または撤回し、資本や生産能力の一部を中国以外の地域へ振り向けている。複数の外資関係者は記者に対し、こうした動きは外資が自社のグローバル投資戦略における中国の位置づけを再評価していることを示していると述べた。

中共商務部が公表した公式統計によれば、2025年の第3四半期までに新設された外資企業数は前年同期比で16%以上増加した一方、実際に利用された外資額は約10.4%減少した。専門家によると、新設企業数の増加は必ずしも実質的な資本投入の拡大を意味するものではなく、企業登録の活発化と資金流入の鈍化との間で明確な乖離が生じている。

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