(左)米国議会議事堂で演説するヤン・ジェキエレク氏。(右)ヤン・ジェキエレク氏著『Killed to Order』の表紙(Samira Bouaou/The Epoch Times, Amazon.com)

中共の実態を暴く新書『Killed to Order』がベストセラー

アメリカの著名ジャーナリスト、ヤン・エキレック氏が執筆した『Killed to Order: China’s Organ Harvesting Industry and the True Nature of America’s Biggest Adversary』(2026年)は、発売からわずか1週間でベストセラーリストにランクインした。

本書のベストセラー化は、決して単純な出来事ではない。これは、20年にわたり絶え間なく真実を掘り起こし、良心に問いかけ、注目を集め続けた結果であり、国内外を問わず、政界要人から一般市民まで、言論から行動へ、立法から裁判に至るまで、誰もが中国共産党による「需要に応じた殺害」という重大な問題に直視し、向き合い、解決せざるを得なくなった具体的な表れである。

不信

2006年4月13日、「アニー」と名乗る女性がアメリカでの記者会見において、中国共産党(中共)による生体臓器摘出の実態を初めて世界に暴露した。

アニーは瀋陽市・蘇家屯の病院の職員であり、元夫は脳外科医として2千件以上の法輪功学習者からの臓器摘出手術に関与していたという。彼女は2003年末にこの事実を知った。当時、夫は悪夢にうなされ、精神的に不安定な様子を見せていた。彼女が繰り返し問いただした結果、夫は真実を語った。

アニーは「元夫が直接話してくれなければ、とても信じられなかった」と語っている。この告発が公表された後も、多くの人々は信じようとしなかった。

この反応は、1943年にアメリカのフェリックス・フランクファーター最高裁判事が、ナチスによるユダヤ人大虐殺の報告を聞いた際、「そんなことはあり得ない」と述べた状況と似ている。

独立調査

アニーがこの問題を暴露した後、多くの医師、専門家、学者、弁護士、記者、さらには強制的な臓器摘出に反対する医師団体、中共の臓器摘出問題を研究する機関、中国における臓器移植乱用を終わらせる国際連盟、国際ジェノサイド研究協会、共産主義犠牲者記念財団、ロンドン人民法廷「法輪功迫害追跡国際組織」などが、この問題について大規模かつ詳細で綿密な独立調査を行った。

その中で最も著名なのが、カナダのデービッド・キルガー元アジア太平洋担当国務長官と、カナダのデービッド・マタス人権弁護士である。

2006年7月、二人のデービッドは調査報告を発表した。正式名称は『中国における法輪功学習者の臓器摘出疑惑に関する改訂調査報告(Revised Report into Allegations of Organ Harvesting of Falun Gong Practitioners in China)』である。

彼らは当初18種類の証拠手法による比較・検証を行い、その後52種類にまで拡大して検証した結果「この疑惑は実際に存在する」と結論づけた。この結論は彼ら自身にとっても大きな衝撃であり、「この地球上で前例のない邪悪」と表現した。

この結論は、国連のマンフレッド・ノワク拷問問題特別報告者から「極めて信頼性が高い」と評価され、また学術的な査読(ピアレビュー)も通過している。

2016年6月22日、10年以上にわたる調査を経て、キルガー、マタス、そしてアメリカのイーサン・ガットマン記者の3名は、ワシントンで『血まみれの臓器摘出/大虐殺:更新版(Bloody Harvest / The Slaughter: An Update)』を発表した。

三人の著者は、中国における臓器移植手術は年間約6万〜10万件に達し、2000年~16年までの累計では最大150万件に上ると推定している。また、これらの臓器の主な供給源は法輪功学習者である可能性が高いとした。マタス氏は「我々の報告にある2200以上の脚注は、すべて中共側のデータに基づいている」と述べている。

2010年3月、『南方週末』の記者が中山大学第一附属病院の副院長・何暁順に取材した際、「2000年は中国の臓器移植の分岐点だ。2000年には肝移植が1999年の10倍に増え、2005年にはさらに3倍に増加した。これらのデータは、中共による法輪功迫害の時期と一致している。1999年から2005年は迫害が最も激しかった時期である」との証言が得られた。

2013年11月5日、『鳳凰週刊』に掲載された「中国における人体臓器売買の闇」という記事では「臓器移植は時間制約が厳しく適合も難しいため、世界各地では患者が数年待つのが普通だ。アメリカでは腎臓の平均待機期間は1121日、肝臓796日、心臓230日、肺1068日、膵臓501日である。中国でも2000年以前は同様だった。

しかし2000年以降、特に2003年~06年4月にかけて、移植件数は爆発的に増加し、臓器供給が豊富なため待機時間も大幅に短縮した」と指摘している。中には「ほぼ即時に入手可能」な臓器もあり、1週間で提供される例や、平均待機期間が2週間というケースもあった。

2020年3月1日、ロンドンの独立人民法廷は160ページに及ぶ判決報告と、300ページの証言・陳述を公表した。その中で、中共による良心の囚人からの臓器摘出が長年にわたり大規模に行われ、現在も継続しているとし、主な供給源は法輪功学習者であると結論づけた。

長年この問題に関心を寄せてきたイスラエル移植学会のヤコブ・ラヴィ会長は次のように述べている。「信じるかどうかを決める前に、まず事実を知るべきだ。事実はそこにあり、本もあり、研究結果もある。それを読めば、信じざるを得なくなるはずだ」

映像作品

この20年にわたり、中共による法輪功学習者からの大規模な臓器摘出に関する独立調査は、前述の報告書や記事、書籍だけでなく、多くの映像作品としても発表してきた。その中でも主なものは次の5作品である。

(1)「法輪功迫害追跡国際組織」が制作した映像『鉄の証拠』(全32話)。

(2)2014年、カナダ在住の中国系監督・李雲翔が制作したドキュメンタリー『活摘(Human Harvest:別名Davids and Goliath)同作品はアメリカの放送界で最高の栄誉とされるピーボディ賞を含む9つの賞を受賞した。

(3)2015年、エミー賞受賞監督ケン・ストーンが監督し、ニューヨークのSwoop映画会社が制作したドキュメンタリー『Unbelievable(信じがたい)』。ホーボーケン国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞など11の賞を受賞し、アメリカのPBS(公共放送)で40回以上放送した。

(4)2017年、韓国最大の日刊紙『朝鮮日報』傘下の「朝鮮TV」が制作したドキュメンタリー『殺してこそ生きられる』。YouTubeで公開し、現在までに13万回以上再生されている。

(5)2023年、カナダ在住の中国系監督・章勇進氏によるドキュメンタリー『国家の臓器』この作品は台湾、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、スウェーデン、フランス、日本、シンガポール、韓国など10以上の国と地域で上映されている。

これらの映像作品は、中共による大規模な臓器摘出の実態を広く伝えるうえで重要な役割を果たしている。

中共の自白

2025年の「9月3日軍事パレード」を前に、習近平とロシアのプーチン大統領が天安門の城楼に上がる際「臓器移植」や「150歳まで生きる」といった話題について会話を交わした。

習近平は「昔は(人生七十古来稀なり)と言われたが、今では70歳はまだ子供のようなものだ」と述べ、プーチンは「バイオテクノロジーの発展により、人体の臓器は次々と移植され、ますます若返り、さらには不老不死も可能になるだろう」と応じた。すると群衆の中から笑いが起こり、習近平はさらに「今世紀には人は150歳まで生きられると予測する人もいる」と語った。

このやり取りの映像と音声は、中央テレビによって国内外に生中継された。中央テレビと提携関係にあるロイター通信は、この会話を約4分の映像に編集し、世界中の1千以上のメディア顧客に配信した。

しかし、この「習・プーチン会話」が予期せず流出し、海外で大きな反響を呼んだことを受け、中国当局は直ちに一連の緊急対応を行った。

第一に、中国中央テレビ(CCTV)のYouTubeチャンネルにあった該当映像は「非公開」に設定、閲覧できなくなった。

第二に、中国国内のすべてのメディア、微信や微博などのSNSでもこの話題を全面的に遮断し、インターネット上から削除した。

第三に、CCTVはロイターに対して弁護士通知を送り、映像使用の許可を取り消した。ロイターはこの映像を削除し、配信先にも削除を要請せざるを得なかった。

なぜ中共当局はこの映像が世界中に広まることをこれほど恐れたのか。

最も重要な理由は、この会話が、中共がこれまで隠そうとしてきた大規模な臓器摘出問題への関心を呼び起こすためである。

2022年12月9日、元中国文化部副部長の高占祥文聯党組書記が北京で病死した。

同年12月11日、中国人民政治協商会議の朱永新副秘書長は追悼文の中で、「高占祥は長年病と闘い、体内の多くの臓器を交換しており、自分の体は多くの部品が自分のものではないと冗談を言っていた」と記している。

高占祥は移植された臓器を「部品」と軽く表現しているが、1つの健康な臓器は1人の命に関わる可能性があり、多くの臓器は多くの命に関わることである。それらの臓器がどこから来たのかについては疑問が残る。

また、2015年3月15日に鳳凰網が公開した映像の中で、中共の元衛生部の黄潔夫副部長は「周永康は大物であり、政法委書記で元政治局常務委員だった。彼の背景は皆が知っている。では死刑囚の臓器の供給源はどこか 、それは明らかではないか」と発言している。

国際社会の動き

中共による臓器の強制摘出に関する情報がアメリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアの五大州に広まるにつれ、多くの国の議会、欧州議会、オーストラリア上院、イタリア上院、アイルランド議会、アメリカ下院、カナダ議会などは次々に決議を採択し、法輪功学習者など良心の囚人からの臓器強制摘出を非難した。

また、イスラエル、スペイン、イタリアなど20か国以上が、「域外適用(extraterritorial)」による臓器移植乱用防止の立法を実施している。

2025年5月5日、アメリカ下院は「法輪功保護法案(Falun Gong Protection Act, H.R.1540)」を全会一致で可決し、中共による法輪功学習者からの臓器強制摘出に関与した者に対して、資産凍結、アメリカ入国禁止、既存ビザの取り消し、刑事罰・民事罰、最高20年の懲役などの制裁を科すことを定めた。

さらに2025年5月7日、アメリカ下院は賛成406票、反対1票という圧倒的多数で「臓器強制摘出停止法案」を可決した。

民衆の覚醒

かつて中共による臓器の強制摘出は主に法輪功学習者が対象だとしていたが、現在では他の人々にも広がっている。

江西省の中学生・胡鑫宇氏の死亡事件から、湘雅病院の研修医・羅帥宇氏の死亡、広西チワン族自治区貴港市で少女が路上で5人に強制的に連れ去られた事件、河南省新蔡県で13歳の少年の遺体が校内で発見された事件、武漢で多数の大学生が失踪した件、さらに多くの青少年や幼児の行方不明に至るまで、中国本土では臓器強制摘出に関する問題が、いまや人々の間で広く語られる話題となっている。

2026年3月22日、海外のX上であるユーザーが「臓器の強制摘出について、以前はあまり信じていなかったが、今は完全に信じている……」と投稿した。このわずか20文字の投稿は大きな反響を呼び、多くのネットユーザーがコメントでそれぞれの見解や情報を共有した。

以下はその一部である。

「以前は私も信じていなかったが、河南新蔡の事件の経緯や、削除される前の保護者の動画、そして公式の拙い警察発表を見て、ついに信じるようになった。彼らは人命を奪い臓器を摘出することを、まるで流れるように、非常に効率的に行っている」

「同級生の友人の医者は法医学者で、何年も前に死刑執行に立ち会った際、銃で即死しなかった受刑者が救急車に運ばれ、そのまま臓器摘出が始まったと聞いた。血まみれのその受刑者は『まだ死んでいない!』と叫んでいたという」

「すべて本当だ。今、若者が最も危険だ。学校の健康診断や病院での採血はすべて適合検査のためだという。どの都市でも毎日のように子供がいなくなっている。共産党はなんて邪悪だ」

「完全に腐敗している。異常な死亡や失踪の多くが、いわゆる需要に応じた臓器摘出と一致しており、すでに組織的かつ常態化した流れ作業になっている……。さらに、カンボジアの詐欺拠点では数十万人規模の施設があり、乳児から骨髄を採取し、再生医療用の幹細胞として販売しているという情報もある」

「ホラー映画ですら描けないようなことが、21世紀の中国で起きている。毎年多くの子供が失踪し、その後行方不明のままだった理由が、今になって理解できた。彼らは臓器供給源にされているのだ」

「健康な若者が資源のように扱われている……臓器摘出は公然の秘密となり、腎臓を抜かれるという言葉が流行語になっている。これが本当に人間社会なのか。すべては共産党がもたらした結果だ」

また、3月8日には広州市の住民・高飛氏が、全国人民代表大会常務委員会弁公庁、国務院弁公庁、公安部、国家監察委員会、国家衛生健康委員会の5機関に対し「緊急提言書」を送付した。26日時点で、連署者はすでに784人に達している。

提言書には次のように記されている。

「すべての生命は神聖で唯一無二の存在であり、国家機構や利益集団によって分解され、流通される部品では決してない」

さらに提言書は、中国で臓器移植の「合法化」を強制的に推進して以降、社会不安が高まり続けていると指摘している。特に若年層に集中する「脳死」事例や、不透明な分配プロセス「隠蔽された犯罪」や「臓器の闇市場」といった疑念が広がり、社会の信頼と安全感を大きく損なっている。

そして提言書は臓器移植事業の全面的な見直しと一時停止を求めており、関係当局に対して透明性ある説明を行うよう強く求めている。

結語

3月24日、元アメリカ国際宗教のブラウンバック自由担当大使は、中共による臓器の強制摘出について次のように述べた。

「これは単に非人道的というだけではなく、人間の行為ですらない」

「その実態を明らかにしなければならない。このレベルの邪悪さは衝撃的だ。『赤い龍』は平和を愛する人々に災いをもたらしており、これは必ず終わらせなければならない。これを終わらせるには、世界中が立ち上がり、この道徳的堕落に抵抗する必要がある。そして人々が、中共が中国国民に対して行ってきた数々の残酷な行為を認識する必要がある。本書はそれらの罪を明らかにしている……。これを終わらせるには、中共の世界的覇権に対して『ノー』と言わなければならない」

ブラウンバック大使の言葉は的を射ている。世界中の良心ある人々が、中共による「需要に応じた殺害」に対して「ノー」を突きつけるならば、犯罪は抑止され、邪悪は封じ込められ、正義は実現されるだろう。

その日が一日も早く訪れることを切に願う。

(大紀元初出)

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