ドライアイから歯ぐきの出血まで:マヌカハニーに期待される健康効果

見た目は一般的なはちみつと変わらず、瓶の中では濃厚な琥珀色をしています。しかし、傷の治癒を助ける働きで知られるマヌカハニーには、皮膚だけにとどまらないさまざまな作用があります。近年、科学者たちは、マヌカハニーがドライアイを和らげ、副鼻腔(鼻の周囲にある空洞)の炎症を抑え、さらには歯ぐきからの出血を減らす可能性があることを明らかにしつつあります。

マヌカハニーは、強い抗菌作用や抗炎症作用を持つことで高く評価されています。近年の研究では、これまであまり知られていなかった健康効果についても報告されており、日常生活に取り入れる前に知っておきたい注意点も明らかになっています。
 

マヌカハニーが特別な理由

「すべてのはちみつが同じというわけではありません」と、管理栄養士のティナ・アレクサンダー氏はエポックタイムズへのメールで述べています。一般的な生はちみつは、過酸化水素(殺菌作用を持つ成分)によって細菌に対抗しますが、この過酸化水素は熱や光、体液に触れるとすぐに分解されてしまいます。一方、マヌカハニーは「非過酸化物(ノンペルオキシド)による抗菌活性」という独自の仕組みで抗菌作用を発揮します。この特殊な防御機構は非常に安定しており、過酷な環境でもその作用が保たれやすいとされています。

マヌカハニーは、ニュージーランド固有のマヌカという低木の花からミツバチが蜜を集めることで作られます。希少性が高いため価格も高く、純度や抗菌活性によっては1瓶20~200ドル程度で販売されています。高価である理由の一つには、その薬用面での価値があります。

マヌカハニーには、メチルグリオキサール(MGO)という成分が高濃度で含まれています。この成分には強い抗菌作用、抗炎症作用、抗酸化作用があるとされ、一般的なはちみつとの大きな違いとなっています。MGOはマヌカハニーの健康効果に大きく関わっていると考えられており、傷の治癒、喉の痛み、咳、消化器の健康など、さまざまな症状への効果が期待されています。

一般的なはちみつは、ミツバチがさまざまな花から蜜を集めて作られますが、マヌカハニーは主にマヌカの花から作られます。マヌカの花は年にわずか数週間しか咲かず、マヌカの木も主にニュージーランドの人里離れた地域に自生しています。マヌカハニーは一般的なはちみつより色が濃く、「チキソトロピー性(静置すると固まり、かき混ぜると液状になる性質)」を持つため、常温では固形状ですが、かき混ぜると流動性が高まります。

マヌカハニーの健康効果を期待して本物を選びたい場合は、ラベルに記載された「UMF(ユニーク・マヌカ・ファクター)」認証を確認するとよいでしょう。UMFは、ユニーク・マヌカ・ファクター・ハニー協会が管理する世界共通の品質評価基準で、ニュージーランド産マヌカハニーの純度、効力、本物であることを示す指標です。UMFは5+から25+までの等級があり、MGO濃度や抗菌活性の強さを示しています。
 

目の健康への効果の可能性

『フロンティアズ・イン・オフサルモロジー』に掲載された最近の研究では、マヌカハニー配合の点眼薬が、術後のドライアイを含む症状の改善において、従来の点眼薬より良好な結果を示したと報告されています。

「ドライアイは非常に一般的な症状で、何百万人ものアメリカ人が悩まされています」と、アメリカ眼科学会の広報担当であり、眼科専門医のナターシャ・ハーツ医師はエポックタイムズへのメールで述べています。

研究では、マヌカハニー配合の点眼薬は、白内障手術後の患者において人工涙液より良好な効果を示し、炎症やドライアイ症状の軽減がみられました。

この前向き対照試験では、白内障手術を受けた53人(53眼)の患者を対象としました。白内障手術は、アメリカだけでなく世界中で最も一般的な眼科手術の一つであり、術後にドライアイを引き起こすことも少なくありません。研究では、マヌカハニー点眼薬と、人工涙液によく使われるヒアルロン酸ナトリウム配合点眼薬を比較しました。

25人にはマヌカハニー点眼薬、28人にはヒアルロン酸ナトリウム配合の一般的な点眼薬が使用されました。研究者らは、手術前から術後1か月までの期間に、乾燥感や刺激感、充血や炎症、涙液が目の表面にどれだけ安定して留まるかを評価しました。

その結果、マヌカハニー群では術後1か月の時点で、乾燥感や刺激感が少なく、目の快適さが向上し、充血や炎症も軽減していました。

ただし、研究者らは、この研究は対象人数が少なく、期間も短かったと指摘しています。また、今回の結果は「仮説を生み出す段階」のものであり、有望ではあるものの、結論を出すには、より大規模かつ長期間の研究が必要であるとしています。

ハーツ医師は、この研究にはいくつか懸念点があると述べています。例えば、十分な対照条件が整っていなかったことや、参加者が他の点眼薬を使用していたかどうか、また使用していた場合はどの種類だったかが明確でない点であり、これらは結果に大きく影響する可能性があるとしています。

現在では、医療用グレードのマヌカハニーを配合した「オプティメル」など、点眼薬やジェル製品が市販され、さまざまな目の症状に使用されています。しかし、ハーツ医師によれば、マヌカハニー配合点眼薬はアメリカ食品医薬品局(FDA)の承認を受けていません。その主な理由は、はちみつが一般用眼科用医薬品の有効成分として認められていないためです。そのため、使用を検討する場合は、眼科医に相談し、自分に合った治療法について助言を受けることが勧められます。
 

鼻腔と副鼻腔への効果

マヌカハニーは、その抗菌作用と抗炎症作用から、古くから風邪やインフルエンザの症状を和らげる目的で利用されてきました。その抗菌作用は、主に豊富なポリフェノール(植物由来の抗酸化成分)と高濃度のMGOによるもので、酸化ストレスや炎症から体を守るほか、細菌の細胞壁に作用して増殖を抑えると考えられています。

こうした性質により、マヌカハニーは抗生物質耐性菌を含む鼻腔内の病原菌にも効果が期待されています。一般的な抗生物質は単一の仕組みで細菌を攻撃するため、細菌が適応して耐性を獲得することがありますが、マヌカハニーは複数の仕組みで同時に作用するため、耐性が生じにくいと考えられています。研究者らによる長期間の観察でも、マヌカハニーに対する細菌の耐性獲得は確認されていません。

また、実験室での研究では、マヌカハニーがインフルエンザウイルスの増殖を抑える可能性も示されています。2014年に実施された、さまざまな種類のはちみつをインフルエンザウイルスに対して比較した研究では、マヌカハニーが最も高い効果を示し、ウイルスが細胞内で増殖する能力を大幅に低下させました。

さらに、マヌカハニーを抗インフルエンザ薬のオセルタミビル(タミフル)やザナミビル(リレンザ)と併用すると、同程度の効果を得るために必要な薬の量が、通常の約1000分の1まで減少したと報告されています。

慢性萎縮性鼻炎(鼻の粘膜や粘液を分泌する腺が萎縮する慢性疾患)の患者19人を対象とした研究では、10%濃度のマヌカハニー鼻腔スプレーを片方の鼻に、生理食塩水を反対側の鼻に8週間使用しました。その結果、マヌカハニーを使用した側では、鼻粘膜の炎症がより改善し、鼻腔内の有益な細菌も増加しました。

現在では、医療用グレードの精製マヌカハニーと生理食塩水を組み合わせた鼻腔スプレーも市販されています。これらは鼻腔を保湿し、空気中の刺激物を洗い流し、鼻づまりを和らげ、細菌から鼻を守ることを目的としています。ただし、製品によってMGO濃度や作用は異なるため、慢性的な感染症がある場合は自己判断で使用せず、医師や耳鼻咽喉科専門医に相談することが勧められます。
 

口腔内の健康への効果

甘いものを口腔ケアに使うことは意外に思えるかもしれませんが、マヌカハニーは精製糖とは異なる働きをします。研究者たちは、マヌカハニーを一般的な甘味料ではなく、栄養価の高い天然食品として評価しています。

複数の研究により、マヌカハニーは有害な口腔内細菌の増殖を抑え、歯垢(プラーク)の蓄積を減らし、歯肉炎の改善に役立つ可能性が示されています。また、口腔乾燥症(ドライマウス)の患者にも有効である可能性が報告されています。

2025年に実施された、口腔乾燥症の高齢者42人を対象とする無作為化比較試験では、マヌカハニー配合の洗口液は、通常のはちみつや生理食塩水を用いた洗口液よりも唾液分泌量が増え、利用者の満足度も高い結果となりました。

別の研究では、マヌカハニーはキシリトールガムよりも歯垢を効果的に減少させ、歯ぐきの出血や歯肉炎を抑えるために歯科で使用される、強い殺菌作用を持つクロルヘキシジン洗口液と同程度の効果を示しました。

さらに、小規模な予備研究では、マヌカハニーを固めた「レザー(薄く固めた食品)」を毎食後に10分間、1日3回噛んだボランティアは、21日後に無糖ガムを噛んだグループよりも、歯垢と歯ぐきの出血が大幅に減少しました。

マヌカハニーは、強い抗菌作用と抗炎症作用を持つことから、喉の痛みのケアにも広く利用されています。粘度が高いため喉を覆い、炎症を起こした組織を和らげるとともに、ミュータンス連鎖球菌などの細菌に対して抗菌作用を示すとされています。一般的には、大さじ1~2杯をそのまま摂取するか、ぬるま湯やお茶に溶かして飲む方法が用いられます。
 

摂取量と注意点

マヌカハニーを日常生活に取り入れる前に、いくつか注意しておきたい点があります。

一般的な摂取量の目安は、小さじ1~2杯です。

「これを大幅に超えて摂取すると、血糖値やインスリン値が大きく上昇し、余分なカロリーを摂取することになりますが、それ以上の治療効果は期待できません」とアレクサンダー氏は述べています。

また、マヌカハニーを含むすべてのはちみつは、乳児ボツリヌス症(ボツリヌス菌による重い食中毒)の危険があるため、生後12か月未満の乳児には与えてはいけません。

糖分が多いため、糖尿病のある人は摂取量に注意が必要です。

「栄養学的には、はちみつは果糖とブドウ糖を主成分とする糖類であり、血糖指数(GI値)も高めです」とアレクサンダー氏は説明しています。「そのため、毎日の健康食品というよりは、目的を持って活用する機能性食品として考えるのが望ましいでしょう」

また、多量に摂取すると、お腹の張りや軽い下痢などの消化器症状が現れることがあります。

はちみつは古くから世界各地の伝統医療で利用されてきましたが、マヌカハニーは一般的なはちみつにはない特徴を持ち、より幅広い健康効果が期待されています。さまざまな用途が考えられることから、キッチンだけでなく、家庭に常備する食品の一つとして取り入れる価値があると言えるでしょう。

(翻訳編集 井田千景)

鍼灸医師であり、過去10年にわたって複数の出版物で健康について幅広く執筆。現在は大紀元の記者として、東洋医学、栄養学、外傷、生活習慣医学を担当。